2024.12.07
営業力

心理的安全性の上げ方〜脱属人化!売れる営業組織のための成功循環モデルと学習する組織

◾️【営業マネージャー必見!】なぜ営業チームは行き詰まるのか?

「売り上げがジリジリと下がってきた。それなのに、部下が思うように動かない。」
「なぜ、俺がやってきたようにできないんだろう。」

営業マネージャーの多くが、チームでの営業がうまく行かない、という壁に当たります。
中でも、できる営業であればあるほど、自分のようにできない部下にもどかしさを感じるものです。

なぜできる人がマネージャーになって、部下に指導してもうまく行かないのでしょうか?
それは営業が属人的なものだからです。

その人でなければわからない知識や、商談のやり方、コミュニケーションがあるし、顧客もそれぞれだからです。

しかし「属人的だからしょうがない」と諦めてしまうとそのまま進歩もありません。

◾️ なぜ営業は属人的になるのか?

なぜ営業は属人的になるのでしょうか?それは、営業個人個人の知見が社内に「形式知」として溜まっていないからです。

そしてさらにその形式知を「集合知」として使えていないからです。

営業個々が持っている目に見えない知見は暗黙知
暗黙知を"形"として見える化してある知見、たとえば数値化してあるとかSaaSに入力してあるとか、が形式知
でもこれだけでは単なる情報の蓄積に過ぎません。

見える化した知見は「見ておこうね」とリマインドすることによる"見せる化"が必要です。
このひとこと、1つのアクションであなたの部下たちはその知見を初めて見るのです。

そして、この見える化された知見を共有することによって、知恵を出し合うのが「集合知」です。

この暗黙知を形式知に変え、知恵を出し合う集合知に変えることで、初めて営業が属人かから抜け出ることができるのです。

◾️属人化から抜け出るチームマネジメント

脱属人のために、営業組織のマネジメントで目指すところを2つ紹介します

1つ目は営業組織を「学習する組織」にしていくことです。

学習する組織とは、ピーター・センゲ教授が提唱している考え方です。
学びを継続しましょう、という意味ではなく、うまく行ったこと、失敗やピンチから学びを得て、それを次に活かしていくことを組織としてやろう、という意味です。

詳しくは書籍としてまとめられているので読んでみてください。
学習する組織 (Amazonへのリンクです)

特に、管理をしすぎる組織と比較するとわかりやすく、「だから僕たちは組織を変えていける」の著者の斉藤徹氏は次のように書籍に書いています。(理央 意訳)

だから僕たちは組織を変えていける(アマゾンへのリンクです)

目標を決めてそれを管理し、問題が起きたら責任を明確にする管理するのが「管理する組織」だが、えてして目標を達成することが目的になりがちである。

学習する組織とは、社員自らが「自発的に目標/計画を立てて、そのプロセスも共有するのが学習する組織。問題が起きたら、次につながるチャンスだと考え全員で取り組むことができるのが特徴」であるのことです。

もちろん、明日から「学習する組織になろう」というような簡単なことではありません。

◾️ 学習する営業組織になるための成功循環モデル

どうやったらこの学習する組織のような営業チームにしていけるのでしょうか?

弊社の研修先では、ダニエル・キム氏の「成功循環モデル」という考え方を取り入れています。
(成功循環モデルの導入方法や心理的安全性の上げ方についてはこちらの記事を参考にしてください
営業で成果を出せる組織の心理的安全性の上げ方:マーケティング思考で成功循環モデルに心理的安全性を入れるステップ

ダニエルキム 成功循環モデル 営業に必要な2つのスキル .png

キム氏は「成果を出している企業の組織には共通点がある。それが成功循環だ。一方で、失敗循環もある」と言っています。

失敗する企業の多くは、結果から始める。結果の議論ばかりするからうまく行かない。
「売上の結果が出なかった。なぜだ?誰の責任だ」と出なかった結果を問題にしがちです。

こうなると上司と部下は対立して関係性が悪くなり、部下は怒られるから失敗を避ける思考になってしまいます。そうすると「どうせ怒られるから」と消極的で自分中心の行動をするようになり、さらに結果が出なくなる、というのが失敗循環モデルです。

キム氏は、成功循環モデルとは「出発点を結果ではなく関係性を作ることから始めるのだ」と言っています。

順番を1つずらして関係性から始める、ということはまずは社内の関係性を再度考えてみるということです。具体的には以下のようなイメージです。

  • 関係:指示とか責任追求ではなくて相手を尊重する対話から始める
  • 思考:いろんな多様な見方があるんだなと気づく 思考の幅が広がる
  • 行動:やってみようと挑戦したり、それ俺が得意さからやるよ、と助け合う行動が生まれる
  • 結果:結果が出るから:成果を実感して
  • 関係:さらに信頼関係ができる 

といった具合です

成功循環モデルの回し方は、オーケストラのようなものです

オーケストラで美しい音楽を奏でるためには、個々の奏者が高度な演奏技術を持っているだけでなく、指揮者の指示に従って全体で演奏することが重要です。

営業組織も同じです。個々の営業担当者が優れた営業スキルを持っているだけでなく、マネージャーの指示に従ってチーム全体で目標達成に向けて協力することが重要です。

関係性の質を向上させることは、オーケストラのメンバーが互いに信頼し、協力し合って演奏できるようにすることと同じです。

まずすべきは、責任の追求とか叱責ではない関係性を作ること。上下ではなく、水平にを作ることです。そのために対話が大事なのです。

オーケストラに例えてステップを考えていくと、

1. 共通の目標を設定する(楽譜を共有する)

オーケストラのメンバー全員が同じ楽譜を見ながら演奏することで、演奏がまとまります。
営業組織においても、チーム全体で達成したい共通の目標を設定することで、メンバー全員が同じ方向に向かって努力することができます。

2. 定期的なコミュニケーションの場を設ける(練習時間を設ける)

オーケストラのメンバーは、練習を通して互いの演奏を聴き、合わせていきます。
営業組織においても、1on1ミーティングやチームミーティングなど、メンバー間が定期的にコミュニケーションを取れる場を設けることで、互いの考えを共有し、協力しやすくなります。

3. メンバー間の相互評価を取り入れる(演奏会を開く)

オーケストラの演奏会では、観客から評価を受けることで、メンバーは演奏の改善点を見つけることができます。
営業組織においても、メンバー間の相互評価を取り入れることで、メンバーは互いの強みや弱みを理解し、より良い関係性を築くことができます。

4. チームビルディングを行う(合宿を行う)

オーケストラのメンバーは、合宿を通して親睦を深め、チームワークを向上させます。
営業組織においても、チームビルディングを行うことで、メンバー間の信頼関係を築き、チームワークを向上させることができます。

5. 情報共有を徹底する(楽譜を共有する)

オーケストラのメンバーは、楽譜を共有することで、演奏の全体像を把握することができます。
営業組織においても、営業活動に関する情報をメンバー間で共有することで、個々のメンバーが全体像を把握しやすくなり、連携した行動が可能になります。

6. 上司と部下の信頼関係を築く(指揮者と奏者の信頼関係)

オーケストラの指揮者と奏者の間には信頼関係が築かれており、奏者は指揮者の指示に従って演奏します。
営業組織においても、上司と部下の間で信頼関係が築かれていると、部下は上司に対して積極的に意見を言うことができ、上司も部下の意見に**耳を傾けるようになります。

7. 失敗を許容する文化を作る(演奏ミスを許容する文化)

オーケストラでは、演奏中にミスしても、全体でカバーし、演奏を続けることが重要です。
営業組織においても、失敗を許容する文化を作ることで、メンバーは安心してチャレンジすることができます。

8. メンバーの成長を支援する(練習機会を提供する)

オーケストラのメンバーは、練習を通して演奏技術を向上させます。
営業組織においても、メンバーの成長を支援することで、スキルを向上させ、組織への貢献度を高めることができます。

という具合です。

営業組織のリーダーが心理的安全性を重視し、成功循環モデルを導入することは、チーム全体を成功へと導く方法の1つです。

営業組織の活性化を図りたいと考える営業リーダーにとっては、有効な手段になります。

この記事は動画でも詳しく説明しています。

執筆者

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役 理央 周(りおう めぐる)

石油会社、家電メーカー、大型車両メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、法人営業にマーケティングを注入する社員研修を提供。 2013年より2023年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で23冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典 

この記事にある、成功循環モデル、学習する組織の実践事例集が欲しい方、または、営業をチームを活性化したい、営業組織をマーケティング思考にしたいなど、この記事についてのご不明点やご質問、お問い合わせは、マーケティングアイズ株式会社のフォームからお問い合わせください。追ってご連絡いたします。
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