【徹底比較!】できるマーケターとそうでない人の決定的な違いとは?:スキル・マインドセットからひもとく必要な習慣と勉強法

◾️ 【マーケター必見‼️】できるマーケターは何が違うのか?
マーケターという言葉が広く使われるようになった今、企業の中で肩書きとしてマーケターを名乗る人も増えてきました。しかし、名刺にマーケティングと書いてあるからマーケターなのではなく、「実際に売れる仕組みをつくり、成果を出しているかどうか」で、できるマーケターかどうかが決まるのです。
この記事では、35年以上マーケティングの現場に携わってきた私、理央周が、「できるマーケターとそうでないマーケターの違い」を、定義、スキル、マインドセット、そして日々の習慣に分けて、具体例を交えて解説します。
- 目次
■ マーケターとは何か?
まず、「マーケター」とは何者なのでしょうか?
マーケターとは、マーケティングの実務を担う人のことです。具体的には、顧客のニーズを理解し、それに応える商品やサービスを提供するための戦略を立案し、実行する役割を担います。広告運用やデータ分析、プロモーション企画など、その業務範囲は広範囲にわたります。
しかし、単に業務をこなすだけでは「できるマーケター」とは言えません。真に優れたマーケターとは「成果を出せる人」です。成果とは、売上や利益だけでなく、顧客満足度やブランド価値向上といった定性的なものも含まれます。
■「できるマーケター」の条件〜スキルとマインドセット
「成果を出せる"できるマーケター"になるには何が必要なのでしょうか?まず、ここでいう成果とは、単に売上を上げるだけでなく、
- 新規顧客の獲得
- 顧客単価の向上
- ブランドの認知や好感度の向上
- 売れる仕組み(営業・商品・広告)をつくる
といった、売上につながる継続的な活動のすべてを指します。
これらの活動で成果を出すには、スキルとマインドセットの両方が不可欠です。それぞれについて具体的に見ていきましょう。
マーケターに必要な3つのスキル
成果を出すためには次の3つのスキルが欠かせません。
1. データ分析力
現代のマーケティングはデータなしでは語れません。Google AnalyticsやCRMツールなどを活用し、顧客行動やキャンペーン効果を数値化・分析する力が求められます。例えば、あるECサイトで売上が伸び悩んでいる場合、データ分析によって離脱率が高いページや購入までの障壁を特定し、それに対する改善策を講じることができます。
マーケティングは感覚ではなく、数字と仮説で回すものです。売上データ、クリック率、顧客の行動履歴などを読み解き、「この商品が売れるのはなぜか」「この広告が反応しないのはなぜか」という仮説を立てて改善を繰り返す力が必要です。
【事例】あるECサイトの売上不振からの脱却
以前、支援先のECサイトの売上が伸び悩んでいました。担当のマーケターは、様々な広告施策を試していましたが、どれも効果が出ず、手詰まりの状態だったのです。
そこでまず、徹底的なデータ分析をしたのです。アクセスログ、購買履歴、顧客属性など、あらゆるデータを洗い出し、分析していくうちに、ある重要な事実に気づきました。それは、「特定の流入経路からの顧客の離脱率が異常に高い」ということ。
さらに深く分析すると、その流入経路からの顧客は、サイトの特定ページで操作に迷い、離脱している可能性が高いことがわかりました。
このデータに基づいた洞察から、その特定ページのUI/UX(=サイトの使い勝手)を改善する施策を提案しました。結果、離脱率は大幅に改善し、全体のコンバージョン率も劇的に向上、売上V字回復に大きく貢献することができ他のです。
この事例からわかるように、勘や経験に頼るのではなく、客観的なデータに基づいて現状を正確に把握し、そこから本質的な課題を見抜く力は、成果を出すマーケターにとって不可欠なスキルなのです。
2. 戦略的な思考力と計画力
マーケターの仕事は、収益を上げられる計画を作り、実践し、成果を出すことです。そのためには、全体を俯瞰し、ゴールから逆算して「いつまでに、誰が、何をすべきか」という戦略を立てるスキルが必須です。
事例:新規事業立ち上げにおける顧客獲得戦略
ある企業の新規事業立ち上げのプロジェクトに参画した際、初期の顧客獲得戦略の立案を任されました。そのクライアント企業の担当のマーケターは、当時流行していたSNS広告を打ったり、インフルエンサーマーケティングを実施したりすることを提案していました。しかし、この様に何をやるか?から入るというのは得策ではありません。
ターゲット顧客像がはっきりしていなく、どのチャネルが効果的なのか、費用対効果はどうなのか、といった戦略的な視点を固めるのが先なのです。
そこで、まず徹底的な市場調査と競合分析を行い、ターゲット顧客のペルソナを詳細に設計しました。そのペルソナにもとづいて、コミュニケーションチャネルを選び、段階的な顧客獲得目標とKPIを設定した、マーケティング戦略と実施計画を立てたのです。
結果として、初期の顧客獲得目標を大幅に達成し、新規事業の立ち上げを成功に導くことができました。
この事例が示すように、目先の施策に飛びつくのではなく、長期的な視点を持ち、目標達成のために逆算思考で戦略を立て、具体的な計画に落とし込む力は、マーケターが成果を出すための重要なスキルです。
3. コンテンツ制作力
顧客に響くコンテンツを作り出す能力も必要です。SNS投稿からブログ記事まで、多様な形式で価値ある情報を発信する力が求められます。例えば、あるブランドがInstagramでフォロワー数を急増させた背景には、ターゲット層に刺さるビジュアルとメッセージ性の高い投稿があります。
商品には必ず背景や想いがあります。できるマーケターはそれを言語化し、「誰に、どんな価値を、どう届けるか」というストーリーに落とし込みます。
事例:顧客エンゲージメント向上施策の成功
ある時、支援先のBtoB企業で、顧客エンゲージメントの低下が課題となっていました。担当のマーケターは、メールマガジンを定期的に配信するだけでしたが、開封率もクリック率も低迷しており、効果が出ていませんでした。
そこで、従来のメールマガジンに加え、ウェビナーの開催、ターゲットを絞ったコンテンツマーケティング、SNSを活用した情報発信、顧客コミュニティの運営など、多様なマーケティング手法を組み合わせた施策を提案・実行しました。
それぞれの施策において、ターゲット顧客のニーズや興味関心を深く理解し、最適なメッセージとタイミングで情報を提供することを意識した結果、顧客のエンゲージメントは大幅に向上し、顧客からの問い合わせ増加、商談機会の創出、ひいては売上向上に大きく貢献することができました。
この事例からわかるように、一つの手法に固執するのではなく、多様なマーケティング手法の知識を持ち、それぞれの特性を理解した上で、戦略的に組み合わせ、実行する力は、複雑化する現代のマーケティングにおいて、ますます重要になっています。
マーケターに必要な3つのマインドセット
スキルと並んで重要なのが「マインドセット」です。以下の3つが、できるマーケターには共通しています。
1. 顧客ファーストを追求する共感力
常に顧客視点で考え、「自分たちの商品・サービスは本当に顧客の役に立つか?」という問いかけを忘れない姿勢。例えば、大手企業でも成功している商品は顧客インサイトから生まれています。
マーケターは、顧客のことをどれだけ深く理解できるかで勝負が決まります。商品を売る立場でなく、「使う人」の視点で考える力。自分の都合ではなく、常に「お客様はどう思うか?」という問いを持てるかがポイントです。
表面的な「30代女性向け」ではなく、「どんな課題や悩みを持ち、どんな状況でその商品を使うのか」まで想像し、データと実地で確認する力が必要です。
事例:顧客の声から生まれた大ヒット商品
ある商品のマーケティングを支援していた時、SNSや顧客の声分析ツールを通じて、顧客が商品に対して抱いている潜在的な不満やニーズを把握しました。
担当の開発チームは、既存の仕様に固執していましたが、顧客の声という「事実」を根拠に、顧客の視点に立った大幅な商品改良を提案しました。
当初は反対意見もありましたが、テスト的にやってみることが、改良された商品は顧客から圧倒的な支持を得て、大ヒット商品となりました。
この事例からわかるように、自分の主観や思い込みではなく、常に顧客の立場に立って考え、顧客の感情やニーズに共感し、それをマーケティング活動に反映させる力は、顧客の心を掴み、成果に繋げるために最も重要なマインドセットと言えるでしょう。
2 常に「なぜ?」を問い続ける探求心
事例:あるキャンペーンの意外な成功要因
私が会社員時代に担当したキャンペーンで、当初想定していなかった層からの反響が大きかったことがありました。多くのマーケターは、目の前の成功に満足してしまいがちですが、私はそこで立ち止まり、「なぜこの層に響いたのか?」「当初のターゲット設定は本当に正しかったのか?」と、徹底的に「なぜ?」を問い続けました。
データ分析や顧客へのヒアリングを重ねるうちに、当初の仮説にはなかった、意外なニーズやインサイトを発見することができました。この発見を次の施策に活かすことで、さらに大きな成果を上げることができたのです。
この事例からわかるように、現状に満足せず、常に「なぜ?」という疑問を持ち、本質を深く探求しようとする姿勢は、マーケターが新たな発見や改善点を見つけ出し、成果を出し続けるために不可欠なマインドセットです。
3. 失敗を恐れずトライする成長志向
変化の激しい業界だからこそ、新しい知識や技術への好奇心が重要です。マーケティングは仮説と検証の繰り返しなので、100発100中はありえません。失敗から学ぶ姿勢を持ち、改善して前に進める人が強いです。例えば、新しい広告プラットフォームが登場した際、それに対応できるかどうかは学び続ける姿勢次第なのです。
また、マーケターの学びは、書籍やインターネット上に限りません。机上の空論に終わる人は、現場の空気感を知らずに企画を進めてしまうし、逆に現場だけに没頭する人は、全体の戦略が見えていません。できるマーケターは、この両者をつなぐ視点を持っています。
マーケティングは単独では完結しません。他部署との連携やチーム内での協力が不可欠です。「自分だけ成果を出せればいい」という考え方ではなく、「チーム全体で成功する」という意識が求められます。
事例:新しいマーケティングツールの導入と失敗からの学び
支援先が新しいマーケティングツールがリリースされた際、積極的に導入を検討し、チームでトライアルを実施しました。しかし、初期設定のミスやチームの習熟不足などから、期待した効果を得られず、一時的に業務効率が悪化してしまった時期がありました。
もしここで諦めていたら、そのツールの潜在的な可能性を見過ごしていたかもしれません。しかし、この企業は失敗を恐れず、原因を徹底的に分析し、ベンダーのサポートを受けながら、チーム全体で使い方を学び直しました。
その結果、最終的にはそのツールを使いこなせるようになり、大幅な業務効率化と成果向上を実現することができたのです。
この事例が示すように、失敗を恐れて現状維持に甘んじるのではなく、常に新しいことに挑戦し、失敗から学び、成長の糧にするマインドセットは、変化の激しいマーケティングの世界で生き残っていくために非常に重要です。
■ できるマーケターを目指すための習慣
では、どうすれば「できるマーケター」になれるのでしょうか?以下のような習慣を取り入れてみてください。
最新情報のインプット:
マーケティングの世界は常に変化しています。業界ニュース、トレンド、新しいテクノロジーに関する情報を、日々のルーティンとしてインプットする習慣をつけましょう。GoogleアラートのようなRSSリーダーの活用、業界ニュースレターの購読、SNSでの情報収集などが有効です。
データ分析の習慣化:
毎日、あるいは定期的に、担当しているキャンペーンや施策のデータをチェックし、数値の変化に敏感になりましょう。なぜその数値になったのか?背景にある要因を考える習慣が重要です。
アウトプットの機会を作る:
学んだことや考えたことを、ブログ、SNS、社内勉強会などで積極的に発信する機会を作りましょう。アウトプットすることで、理解が深まり、新たな視点やフィードバックを得ることができます。
社内外のマーケターとの交流:
セミナーやイベントに参加したり、オンラインコミュニティに所属したりして、他のマーケターと積極的に交流しましょう。成功事例や失敗談を共有することで、多くの学びを得られます。
振り返りの時間を持つ:
一日の終わりや一週間の終わりに、自分の活動を振り返る時間を作りましょう。何がうまくいったのか?何が課題だったのか?次に向けてどう改善すべきか?を考えることで、成長を加速させることができます。
■ 学びを自分ごとにする勉強法
一朝一夕で、できるマーケターになれるわけではありません。目指すには、無理なく学びを続けられること、習慣にすることが大事です。以下にいくつかの勉強法を挙げておくので、自分の目的に合わせてやってみてください。
体系的な知識の学習:
マーケティングの基礎知識を改めて体系的に学ぶことは非常に重要です。書籍を読んだり、オンライン講座を受講したりするのも良いでしょう。
事例研究:
成功している企業やキャンペーンの事例を徹底的に研究しましょう。なぜ成功したのか?どんな戦略が取られたのか?背景にある市場環境なども含めて深く分析することで、多くの学びが得られます。
ツールの習得:
マーケティングオートメーション、SEOツール、広告プラットフォーム、アクセス解析ツールなど、現代のマーケティングに必要なツールの知識と操作スキルを習得しましょう。実際に手を動かしてみることが重要です。
資格取得:
マーケティング関連の資格取得は、知識の体系化やスキルの証明になります。必須ではありませんが、目標設定やモチベーション維持に繋がることもあります。
実践的な経験:
どんなに勉強しても、実際に手を動かして経験を積むことが最も重要です。小さなプロジェクトでも良いので、積極的に企画・実行に関わり、PDCAサイクルを回す経験を積み重ねましょう。
■ まとめ:マーケターは「売れる仕組みを作る仕事」
マーケティングの仕事は、単なる販促ではありません。「売ろうとしなくても、自然に売れる仕組み」をつくることです。そのために必要なのは、顧客理解、数字力、ストーリー設計力というスキルと、顧客視点、挑戦、戦略思考というマインドです。
この2つをバランスよく持ち、実行し続ける人が、できるマーケターと呼ばれるのです。
また、「できるマーケター」とそうでないマーケターの違いは、決して才能の差ではありません。それは、正しいスキルを身につけ、成果を出すためのマインドセットを持ち、日々の習慣と学びを継続できるかどうかの差です。
この記事を書きながら、僕自身の過去の失敗談や成功体験が蘇ってきました。振り返ってみると、やはり成果を出せるようになったきっかけは、データと真摯に向き合い、戦略的に考え、常に新しいことに挑戦するマインドを持つようになったことだと改めて感じます。
この記事で紹介したスキル、マインドセット、習慣、勉強法は、僕自身が経験を通して学び、実践してきた、本当に効果のあるものばかりです。
すぐに全てを取り入れるのは難しいかもしれませんが、まずは一つでも良いので、今日からできることを始めてみてください。
「なんとなく」で仕事をするマーケターから脱却し、成果を出し、周りから頼られる「できるマーケター」になるために1つでも実践してもらえれば幸いです。
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執筆者
家電メーカー、石油会社、大型車両メーカー、高機能フィルムメーカー、建築部品メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、顧客視点の顧客文化にするマーケティング社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で24冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典
理央 周の話を聞いてみたい、マーケターの事例について知りたい、新しいビジネスを軌道に乗せたい、など、
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