差別化に効く未充足ニーズとは?見つけ方とソリューションの提供方法

◾️ 【経営者必見!】差別化ができていないと起こる問題
「売上が伸び悩む」「集客がうまくいかない」「商談が進まない」
"差別化"ができていないと、このような問題が起きがちです
しかし、一口に差別化と言っても簡単ではありません。
「うちの業界はレッドオーシャンなので差別化が難しいんです」
「ライバルと同じ商品を扱っているので差別化ができないのです」
と、悩む経営者も少なくありません。
しかし、同業他社と同じ商品を扱っていても、繁盛している企業もありますし、飽和市場でも差別化できている企業もあります。
「差別化ができない」と悩むのは差別化を誤解しているからです。
- 目次
◾️ 差別化に必要な未充足ニーズとは?
そもそも、差別化とは何をすることでしょうか?
こう聞くと「他社とは違う商品やサービスを作ること」と答える方がいます。しかし、それだけではありません。
顧客が欲しいのは "違い"ではありません。"必要"が欲しいのです。
顧客は、この"必要"すなわち"ニーズ"を解決してくれる製品やサービスを探しているのです。
さらにニーズの中で、顧客がまだ満たされていない"未充足ニーズ" があれば、顧客は、欲しいと感じるのです。
差別化とは競合他社と "違う"製品やサービスを作ることだけではなく「他社がやっていない顧客の未充足ニーズの解決」なのです。
そもそも、顧客がすでに分かっている顕在化したニーズは、競合も分かっているので競争が激しいため、差別化が難しいのです。
たとえば、価格を下げる、品質を改善するだけでは、優位性を持続するのが難しいのです。
未充足ニーズというのは「顧客がはっきりわかっていない潜在的なニーズ」です。
これには、不満の形で顕在化していない状態も含まれるので、顧客は解決する手段がないと思い込んでいることが多いのです。
「〇〇がしたいのにできない」
「〇〇が不便」
と感じているけれども、満たしてくれる商品やサービスが市場に存在しないと思い込んでいる、という状態が未充足ニーズです。
未充足ニーズを解決したP&G「ファブリーズ」の事例を紹介します。
P&Gは「衣類やカーテンなどの洗濯しにくいものの臭いが気になる「「でも、洗濯する手間や頻度を増やしたくない」と悩む消費者が多いことに気づきました。
そこで、洗濯をするのではなく 「スプレーするだけで臭いを消す」という新しい価値提案を製品化したのです。洗濯しなくても済むという"代替手段としての価値"を提供し、大ヒット商品となったのです。
BtoB企業についても、ソフトウェアのサービスを販売する会社の事例を紹介します。
この会社の顧客企業は「自社の潜在顧客にリーチして、購入意欲を高めるコンテンツを提供することで、売上を向上させたい」と感じていました。しかし「ECサイトがうまく集客できないから、潜在顧客を獲得できないので、コンバージョン率が低い」と思い込んでいました。
そこでこのソフトウエア企業は対策として、ECサイトを作り直す前に、カスタマージャーニーマップを作りなおし、潜在顧客向けコンテンツを改善しました。これにより、ECサイトの集客力とコンバージョン率が改善され、売上増加につながったのです。
◾️ 未充足ニーズの探し方
この未充足ニーズを見つけるためには、バリュープロポジションという考え方が有効です。
バリュープロポジションについては、以下の記事で説明しているので参考にしてください。
こちらです→ バリュープロポジションとは?顧客価値で選ばれる差別化をする方法を事例で解説
以下の3つのステップを踏んで自社のバリュープロポジションを見出していきます。
1) 顧客がやりたいこと=ジョブを洗い出す
2) それが実現すると顧客が得られるもの=ゲインを洗い出す
3) 同時に顧客が失うもの=ペインを洗い出す
未充足ニーズの見つけ方については、特にこの3の顧客が失うもの、すなわちペインを発見し、解決することが重要です。
このペインの見つけ方のステップを説明しますね
1. 顧客の不満や課題を深掘りする
定性調査で顧客の不満や課題を深掘りします。具体的には以下のような手法を使います。
- 市場調査: 顧客アンケートやデータ分析で現状の課題を特定する
- ユーザーインタビュー: 実際に顧客と対話し、潜在的な不満や希望、「最も困っていること」や「面倒だと感じること」を具体的なエピソードとともに記述してもらう
- 日記調査: 顧客の日常的な行動や感情を記録してもらい、リアルタイムで課題を把握する
- 競合分析: 他社が見逃している隙間市場や未対応領域を探る
2. カスタマージャーニーマップ
それをカスタマージャーニーに落とし込みます。
顧客の心理と行動を一連の流れで見えるかすると色々と見えてきます。
カスタマージャーニーについては、以下の記事で説明していますので参考にしてください。
こちらです→ カスタマージャーニーとは?作り方、ステップ、仮説の立て方、作成のポイントを事例で解説
3. ペインポイントを分析する
ここでのポイントは、「顧客が購入や利用に至らない障害(未充足ニーズ)がどこにあるのか?」を見つけることにあります。ペインポイント分析とは、顧客が「お金を払ってでも解決したい」と感じる深刻な問題を特定するための手法です。
顧客にヒアリングして「どこに最も時間がかかっているか」「どんな点がストレスになっているか」を深掘りするといった具合です。
また、データから顧客が頻繁に問い合わせている内容(例: 納期遅延や操作性への不満)から推測していくこともできます。
4. ペルソナを設定する
ここから、ペルソナを作っていきます。大事なのは、職種、役職、業界などの属性だけでなく、価値観や意思決定プロセスも細かく設定します。営業部門やカスタマーサポート部門から得た生の声を参考にするのが効果的です。
◾️ 未充足ニーズを自社プロダクトに応用する方法
次に、自社の商品やサービスにどのように適用するか、そのステップを紹介します
ペインポイントに基づいたソリューションを設計
ペルソナのペインポイント分析から抽出した未充足ニーズを、自社の製品やサービスで解決していくソリューションの設計のステップを紹介します。
ステップ1 イノベーティブなアプローチの採用
ペインポイントを解決するための新しいアプローチやアイデアを考えます。
プロトタイピング
アイデアを具体的な形にし、小規模なプロトタイプを作成します。
ユーザーテスト
プロトタイプを実際の顧客に使用してもらい、フィードバックを集めます。
ステップ2 ソリューションの評価と改善
フィードバックの分析
ユーザーテストから得られたフィードバックを分析して、製品やサービスの改善点を見つけ出します。
製品の改良
フィードバックを基に製品を調整し、より効果的にペインポイントを解決するようにします。
ステップ3 実装と市場導入
最終製品の完成
改良を重ねた最終製品を完成させます。
市場導入
製品を市場に導入し、マーケティングと販売戦略を展開します。
これらのステップを通じて、顧客のペインポイントに基づいたソリューションを効果的に設計し、市場に投入することができます。このプロセスは顧客の声に耳を傾け、彼らのニーズに対応する製品を創出するために非常に重要です。
◾️ BtoB企業の未充足ニーズ発見から解決策の事例
C R M(=顧客管理ツール)ソフトを販売する会社の事例を紹介します。
ペインポイントです。
クライアント企業は、「顧客データが、複数のスプレッドシートやシステムに分散していて、情報の一元管理ができない」ことによって、営業活動やマーケティング施策が非効率になり、顧客対応の質が低下していました。
そこで、この企業は単に、CRM(顧客関係管理)ツールを提供するだけでなく、営業プロセスを可視化する機能や自動レポート機能を追加することで、営業効率を向上させたのです。
顧客の課題(ペインポイント)を深く理解し、それに応じた具体的なソリューションを提供することで成功した例です。
特にBtoBでは、効率性や収益性への直接的な影響が重要視されるため、このようなアプローチが効果的です。
飽和市場で打ち勝つ企業文化の作り方については以下の記事で説明していますので参考にしてみてください。
こちらです→ レッドオーシャンで差別化できる組織とは?ブルーオーシャンを生み出せるマーケティング思考
◾️ まとめ
"差別化"とは単なる違いではなく、"顧客にとっての価値"そのものです。その価値は、未充足ニーズを満たすことで生まれます。ぜひ今日から、自社の商品やサービスがお客様にとってどんなゲインやペイン解消につながるか考えてみてください。それこそが真の競争力となります。
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執筆者
家電メーカー、石油会社、大型車両メーカー、高機能フィルムメーカー、建築部品メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、顧客視点の顧客文化にするマーケティング社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で24冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典
差別化に悩んでいる、未充足ニーズについてもっと聞いてみたい、新しいビジネスを軌道に乗せたい、など、
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