顧客インサイトとは?センスのよい考えには、「型」がある インサイトを実務に活かすステップ

「センスのよい考え方には型がある」というこの本のタイトルを見て、大半のビジネスパーソンは、
「"センスのある考え"って再現できるんだ」と感じるはずです。
私もAmazonやJCOM、マスターカードでのマーケティングマネージャー時代も、独立してからの今も「センスあるなー」という人たちを目の当たりにしてきました。例えば、見たこともない斬新で心に響く広告案を出してくるクリエイティブ・ディレクターの方や、行き詰まっている時に逆転の発想ができるコンサルタントの方、自分では気づかなかった強みをバチっと指摘してくれる先輩経営者、といった具合です。そのたびに、
「どうしたら、あのアイディアが浮かぶのだろう?」
「なぜ、独創的なのに実現可能なことに落とし込めるのだろう?」
と羨ましくもあり、不思議であり、何より「そうなりたい」と感じてきました。
「センスのいい考え」を持てる人の思考プロセスを解明し、再現可能な形で提示することは、多くのビジネスパーソンにとって価値があると実感してきたのです。
この本の核心は「インサイト」の深掘りにあり「人を動かす隠れたホンネ」と定義されています。このインサイトを見抜く能力こそが、成功するマーケティング戦略の鍵となります。
この本の特徴をまとめてみます。
1. 「インサイト」の体系化
これまで体系立てて説明されてこなかった「インサイト」の見つけ方を解説していること
2. 「出世魚モデル」の提示
具体的な方法論として紹介されている「出世魚モデル」が「"隠れたホンネ"を見つけること」「顧客視点に立つこと」を実践するための有効なツールになること
3. 逆説モデルの活用
アイデア創出のプロセスを高速化する手法として紹介されている「逆説モデル」はA I時代の今「知恵を絞ること、工夫すること」を促進できる手法であること
4. 実践的なセルフ・トレーニング法
上記のような「インサイト」を見つけるためのトレーニング方法が体系的に書かれているので実務に応用できること
顧客インサイトを重視するというアプローチは「顧客の立場で顧客の問題を解決する」という"マーケティングの目指すところ"に合致します。なので、この本の考え方を導入することは、単なるスキル向上ではなく、組織全体を顧客視点に変えることにつながります。
マーケティングに長く関わり、企業に入らせていただいた経験から、私は強く「マーケティングの導入は企業文化を変えること」だと伝えてきました。その一歩目になるのが、顧客インサイトを理解しようという会社としての姿勢だからです。
「センスのある考え方には型がある」というこの本は、マーケティングやビジネス戦略の分野で長く求められてきた「センス」の正体を明らかにし、それを読者が学べる形で提示しています。この本は、単なるハウツー本ではなく、ビジネスパーソンの思考法を根っこから変えられる一冊です。
この本で学んだ「インサイト思考」を実務でやってみることで、多くのビジネスパーソンが自信を持ってアイデアを提案し、より効果的なマーケティング戦略を立案できるようになるでしょう。それは、単に個人のスキルアップにとどまらず、組織全体の競争力向上にもつながります。
おすすめです。
執筆者
石油会社、家電メーカー、大型車両メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、法人営業にマーケティングを注入する社員研修を提供。 2013年より2023年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で23冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典
社員を顧客視点にしたい、新規事業を立ち上げたい、新しいビジネスを軌道に乗せたい、など、
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