集客を成功させるマーケティング戦略〜法人営業の新規開拓を成功させるイベント集客とは?

◾️ なぜ、集客が難しいのか?

    目次
  1. ◾️ なぜ、集客が難しいのか?
  2. ◾️ 一連の流れで立てる集客戦略~製造業の事例 
  3. ◾️ 集客を成功させるマーケティング戦略とは?
  4. ◾️ 集客戦略の構築ステップ
  5. ◾️ まとめ 

新規顧客を獲得するための、セミナーやワークショップ開催、展示会でのブース出展、自社サイトやランディングページの作成などへの"集客"が必要です。

しかし、「SNSをやっているのに集客ができない」「広告の効果が落ちてきた」など、集客がうまくできないと悩む企業も多いのが事実です。その理由は、「手法から入るから」です。"集客はやり方より先にマーケティング戦略を固める"べきなのです。

戦略を固めPDCAを回すことで「効果的にS N Sを使う」「ターゲットに刺さる広告を打つ」ことで集客はできるのです。
集客が難しい理由とその解決策については以下の記事で説明しているので参考にしてください。
【図解と事例で解説!】なぜ集客が難しいのか?戦略で差をつけるAI時代の集客方法

◾️ 一連の流れで立てる集客戦略~製造業の事例 

集客は戦略的に考えることで効果を出せます。ここからは一連の流れでの戦略の立て方を、産業用ロボットを製造・販売するA社のセミナー集客の事例で説明します。この戦略構築の流れは、ホームページや展示会のようなイベントへの集客と基本は同じなので、あなたのビジネスや課題感に当てはめながら読み進めてください。

法人営業BtoBマーケティングの集客戦略.001.png

ロボットを導入することで「生産性を上げたい」製造業がターゲットです。

ターゲット企業に向けて、新製品のプロモーションのためのセミナーを開催しました。
「スマート工場における最新の自動化技術」というタイトルです。

A社では、S N Sもしっかりやっているし、このイセミナーに向けて、ランディングページも作り広告も出しました。

しかし、開催3週間前の時点で目標参加社数50名に対して、登録は10名でした。
開催まであと40社を集客するのは難しい、という状況でした。

この事例の戦略について分解して考えてみましょう。

1)    何を〜このセミナーが提供できる価値

セミナーのタイトルにある、「スマート工場」「最新」「自動化技術」など、抽象的な単語のみが使われています。

自社のロボットを入れるとターゲット企業はどんな効果があるのか?という顧客価値が表現できていません。ターゲット企業は、広告を見たとしても、このセミナーに参加すると得られるメリットが伝わっていないのです。

2)    誰に〜ターゲット設定

ターゲット設定も曖昧です。「スマート工場」を目指す企業、と言いたいのでしょうが、スマートとは何を表すのか?生産効率の向上を表すのか、それとも働き手のやりがいなのか、などどんな課題を抱えている企業が対象なのか?がはっきりとしていません。

3) どうやって〜メディアの組み合わせ方

メッセージとしてのセミナータイトルが曖昧になっているのは、顧客価値とターゲット層の課題感がはっきりしていないためです。

また、告知するメディア、チャネルにも再考の余地があります。ターゲット層にリーチできるメディアがS N Sとオンライン広告だけでいいのか?を再考する必要があります。

このように、セミナー告知をする前に「何を、誰に、どうやって」っていう戦略を固める必要があるのです。

◾️ 集客を成功させるマーケティング戦略とは?

A社の新製品導入の告知セミナーへの集客を事例に、事前に練っておくべき集客のためのマーケティング戦略を説明します。

1)    何を〜価値提案を具体化する

何を、すなわち自社プロダクト(=製品やサービス)については、製品の機能やスペックなどではなく「顧客が使った時に得る利益」を明確にします。

A社のような製造業で言えば、費用対効果や作業効率を上げられる、低コストで高い品質チェックができるなどです。このようなターゲット企業の"体験価値"を明確にして、タイトルなどに入れることによってセミナーに参加してみようという動機につながるのです。具体的には、

「スマート工場化に向けた3つのステップを解説」
「導入事例を通じて費用対効果を解明」
といった具合です。

2)    誰に〜ターゲットの価値観や行動基準を明確にする

マーケティングでは、狙うターゲット層を絞ることが重要です。A社のターゲットの工場を持つ製造業は日本に何十万社もあります。かといって「中小企業」とか規模で絞ってもまだまだ広すぎます。

そして何よりニーズがない企業に売り込もうとしても相手先には響きません。

BtoBビジネスにおいても、ターゲットを設定するときは企業の規模や地域などの属性で分けるだけでなく、ニーズや課題感でセグメンテーションすることが効果的です。

具体的には、
「生産性が落ちてきているので製造ラインの効率化を検討している企業」
「人員不足に悩んでいて製造ラインの自動化を検討中の企業」
という具合です。

BtoBビジネスの場合は社内の職種や職位で絞ることも効果的です。
「技術部門の責任者」「製造部門のリーダー職」「品質管理の担当者」などです。

3)    どうやって〜メッセージとメディア:顧客コミュニケーション

3−1 メッセージ

キャッチコピー

上記の"何を"と"誰に"、すなわち参加するメリットとターゲット層を合体させてキャッチコピーを作ります。具体的には、

  • 「生産ライン効率化の決定版!
    〜スマート工場化への3つのステップを事例で解説!」
  • 「工場長・製造部門リーダーに朗報です!
    〜人員不足もこれで解消:製造ラインの効率化に効く処方箋」

といった具合です。

キャッチコピーの目的は読み手の注意を引くことです。したがって作成のポイントは、短くシンプルにすること。できる限り禁欲的になって、削れる部分を見つけましょう。

ボディコピー

キャッチコピーに入れたかったけれど惜しくも入れられなかった文言は、説明文(=ボディコピー)に入れれば良いのです。

ボディコピーに入れなければならない項目は以下です。

このセミナーに来る理由を明確にする

参加のメリットを明確に出します。具体的には以下のような内容です。

  • 工場の生産性アップが起きる理由と解決方法
  • 開発者が説明するのでその場でQ&Aできる
  • 生産性アップのためのチェックシート贈呈など参加する特典がある

ここで気をつけるのは、セミナー告知に製品の機能やスペックの紹介は不要だという点です。つけるにしても最後の方に少しだけというイメージです。

第三者の声を入れる

「導入してよかった」という実際に使用した顧客の声を入れることが効果的です。
カスタマーレビューはクチコミなので信頼されるので、実際にセミナーでも体験談を話してもらえれば効果的です。この時のポイントは、セミナーに来て欲しいターゲット層に近い企業に話してもらうことです。

3−2 メディア〜多様な入り口としての告知チャネルを活用

次にこのセミナー告知のランディングページへの入り口を用意します。ターゲット層にタッチするポイントに配置していきます。課題感がある企業の担当者や責任者がどうやって情報を探すのか?という仮説を立てていきます。

BtoBの場合、やはり担当者が情報検索をします。A Iが浸透してきても、まずはGoogleで検索することが多いためGoogle対策は必須です。

既存顧客リストへのパーソナライズドしたメール送信も必須です。
これからS N Sを運用したいという場合は、Xやインスタグラムに加えてLinkedInでのターゲティング広告もビジネスで使われている場合が多いと言えます。

紙媒体も考慮するのがポイントです。業界紙も効果的です。日刊工業新聞、化学工業日報、繊維新聞、流通新聞などを社内で回覧する企業も多くあります。

このように、ターゲットが見ていそうなメディアをリストアップして効果的に組み合わせるのが重要なのです。

◾️ 集客戦略の構築ステップ

戦略を立てずに集客をすることは、地図も羅針盤も持たずに未知の森に入るようなものです。
明確な目的地がないため、どこに向かうべきか分かりません。無計画に歩き回るため、多くの時間とエネルギーを無駄にします。準備不足のため、予期せぬ障害に対処できません。成果も不確実で、運任せになり、望む結果にたどり着ける可能性が低いのです。

戦略なき集客は、効果的な顧客獲得につながりにくいのです。

法人営業BtoBマーケティングの集客.002.png

集客に成功するためのポイントを整理しましょう。

1)    何を伝えるかを明確にする

製品訴求ではなく、顧客視点に立ち、価値と便益をはっきりさせる
他社との違いを明確にし、独自性を打ち出す

2)    誰を集客したいのかをはっきりさせる

ターゲット層を、企業規模や業界だけでなく今抱えている課題感や問題意識で絞る

3)    どうやって伝えるのかを決める

参加メリットがターゲット層に伝わるメッセージを作る
ターゲット層が見ているであろう複数のメディアを組み合わせアプローチする

◾️ まとめ

この記事では、セミナーへの集客を事例に取りましたが、ホームページや展示会の集客も基本路線は同じです。自社に当てはめて考えてみてください。

集客は「売り込み」ではなく「価値の提案」だということを忘れないでください。
顧客のニーズや問題を解決の手段として、自社の商品やサービスを位置づけることが重要なのです。

執筆者

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役 理央 周(りおう めぐる)
石油会社、家電メーカー、大型車両メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、法人営業にマーケティングを注入する社員研修を提供。 2013年より2023年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で23冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典 

新規顧客を取りたい、セミナーやイベントに集客したい、新しい製品を軌道に乗せたい、など、
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