バリュープロポジションとは?顧客価値で選ばれる差別化をする方法を事例で解説
◾️【初心者必見!】バリュープロポジションとは?
なぜ、思うように売れないのでしょうか?
価格設定が高いから?それともセールストークが下手だから?でしょうか。
販売が不振だったり、成約率が下がったりした場合に、まず考えるべきは自社の製品やサービスが市場で優位に立っているかどうか?を考えてください。
それも、顧客の立場で自社の製品やサービスを見直してみると、なぜ売れないのか?またどうやったら売れるのか?が見えてくるのです。
この記事では「バリュープロポジション」という考え方を紹介します。
- 顧客が欲しいものと企業が売りたいものの違い
- バリュープロポジションとは何か?なぜ必要なのか?
- バリュープロポジションの中身は?〜何を見直せばいいのか?
- バリュープロポジションの考え方で差別化をするには何をすればいいのか?
について順を追ってお話しします。最後まで読んで、あなたのビジネスの参考にしてくださいね
◾️ 差別化で重要な顧客価値について
差別化を考えるときに、まず心に留めておくことは、「顧客が欲しいものと企業が売りたいものが違う」点です。
パソコンを買うときの事例で考えてみましょう。
企業が売りたいのはパソコンですが、顧客が欲しいのは作業の効率化であったり、クリエイティブなデザインを作れることです。
差別化は、自社の強みや違いに焦点を置きがちですが、バリュープロポジションの考え方はこの顧客が欲しいものは何か、という「顧客価値」に焦点を置きます。
差別化に関しては以下の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。
◾️ バリュープロポジションの基本的な考え方
ではバリュープロポジションについて順を追って説明をしていきます。
バリュープロポジションは、以下のように定義されます。
「他社が提供していない、自社の製品が顧客に提供する価値または優位性。
優れた品質、革新的な機能、顧客サービス、またはそれらの組み合わせ」
すなわち、製品やサービスを通して
1)顧客に
2)自社だけができる
3)価値を提供すること
になります。
以下の図にある通り、顧客が欲しいものの中で、自社が提供できる価値で、かつ、他社が提供できない部分、③の部分を提供する、ということになります。
ここでわかるように、バリュープロポジションの本質は「なぜ顧客があなたの製品やサービスを選ぶべきなのか」という質問に明確に答えることにあります。
別な言い方をすれば、単に製品やサービスの特徴や違いを伝えるのではなく「顧客の立場に立った自社だけができる価値の提供」を指すのです。
AppleのiPhoneのバリュープロポジションは、デザイン性、ユーザーフレンドリーで使いやすい体験、信頼性、そして独自のエコシステムを提供することで、顧客が「使う喜び」と「所有する満足感」を得られることにあります。
IKEAバリュープロポジションは、「手頃な価格で、デザイン性が高く、自分で組み立てる楽しさを提供する」です。
バリュープロポジションを効果的に活用することで、競合との差別化を図り、顧客に選ばれる理由を明確にすることができるのです。
◾️ 自社のバリュープロポジションを見つけるステップ
この、自社のバリュープロポジションをどう見つけ、製品やサービスに活かしていけば良いのかを、3つのステップで考えていきます。
1) 顧客がやりたいこと=ジョブを洗い出す
2) それが実現すると顧客が得られるもの=ゲインを洗い出す
3) 同時に顧客が失うもの=ペインを洗い出す
この3つのステップを、食品メーカーの事例と合わせて説明します。
1)顧客の"ジョブ"
顧客が達成したいジョブを、機能的な面と感情的なことの切り口で洗い出します。
忙しいビジネスパーソンが仕事のあと、調理せずにすぐに食べられる、健康的なごはんが食べたい といった具合です。
ここで注意すべきは製品やサービスではなく「顧客のニーズ」だという点です。
2)顧客のゲイン
顧客が得るもの=ゲインは、上記の顧客がやりたいジョブを達成した時に得られるポジティブな結果 を指します。
仕事の後に「時間をかけずにできる、美味しくて、かつ、栄養満点なご飯」といった具合です。
このゲインの部分を自社だけができる技術やおもてなしで最大化するのです。
3)顧客のペイン
顧客が失うもの=ペインは、逆にそのジョブをすることで「障害になりそうなこと」に当たります。
例えば、健康にいいご飯を食べたいが、作る時間が足りないとか、作り方を知らない、といった具合です。
ペインは、潜在的なニーズなので、見つけて取り除かなければ購買や契約に至りません。
◾️ バリュープロポジションに重要なゲインクリエイターとペインレリーバー
バリュープロポジションを考える上で、このゲインを最大化しつつ、ペインを取り除くことが重要です。
以下にそれぞれの事例を記載します。
1) ゲインクリエイター
顧客が得ることができるポジティブな要素=ゲインを生み出す事例を説明します
機能的な要素
例:自動車を運転するときの利便性を高める「E Vなどの自動運転の仕組み」
感情的 な要素
例:健康のためにエクササイズを習慣にしたい人のための「モチベーションを保てる測定機能付きスマートウオッチ」
ソーシャルな要素
例:環境保護志向が強い層に向けた環境に気を配った素材の洋服
2) ペインレリーバー
顧客が購入や契約をする際の障害になりそうな点=ペインを取り除く事例を説明します
時間や労力をかけたくない
例: ネット通販で食材や洋服を買う
コストを減らしたい
例:買い切るより毎月の価格を抑えられるお得なサブスクリプションサービス
リスクに備えたい
例:P Cに保存したデータを安全に保存できる自動バックアップで保護
といった具合です。
これらのゲインとペインのなかで、自社ができることの中で、他社がやっていないこと・できないことを顧客に提供するのがバリュープロポジションなのです。
差別化するより、独自なものを作ろうとか、オンリーワンを生み出せばいいんだよねと感じる方もいるかもしれません。しかし、世の中の人や企業は、何かを買ったり契約したりするときに、必ず比較検討をします。したがって、差別化をすることがマーケティング出発点なのです。
差別化の際には、製品やサービスの違いを伝える前に、顧客が求める価値は何か?そして他社ができない自社だけの価値は何か?を考えていくのです。
バリュープロポジションが明確になればなるほど、顧客が選ぶ理由がはっきりするということになるのです。
バリュープロポジションについては以下の動画でも説明しています。参考にしてください。
執筆者
石油会社、家電メーカー、大型車両メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、法人営業にマーケティングを注入する社員研修を提供。 2013年より2023年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で23冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典
差別化して価格競争から抜け出したい、新規事業を立ち上げたい、新しいビジネスを軌道に乗せたい、など、
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