【図解と事例!】オムニチャネルとは?マルチチャネルとの比較と営業マーケティングの課題別解決方法

◾️ 【初心者必見!】オムニチャネルとは何か?

オムニチャネルとは、最適な顧客体験を提供するために、複数のオンラインとオフラインの顧客接点を連携させるマーケティング戦略です。

オムニ、とは"すべての"という意味で、チャネルとは売る場所、商談、ホームページなど"顧客と接する場所"を指します。

  • 思うように売れない
  • お客様が離れていく
  • リピート購入がない

こういう時は、まずすべての顧客接点を見直し改善していくオムニチャネル戦略が有効です

ここで注意すべきは顧客接点の意味です。顧客接点とは「顧客体験」を提供するすべての場所を指します。売る場所だけではありません。

オムニチャネル 顧客接点.png

小売業などのBtoCでは、店頭やECサイトだけでなく、ホームページ、ブログSNS、動画、チラシ、お客様が受け取る場所カスタマーサービスまではいりますが含まれます。

法人営業などのBtoBビジネスでは、商談の場だけではなく、同様にホームページやメールマガジン、アポ取りの電話やプレゼンテーション、見積もりの出し方や受注方法、アフターフォローまでが含まれるのです。

顧客接点は、オンラインだけ、リアルだけ、ではなくどちらででも構築することができます。
オンラインとオフラインの融合を目指すのです。
オンラインとオフラインの融合に関しては以下の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。
事業戦略としてのOMO:戦略立案から施策実施効果検証までのステップ

顧客が、どの顧客接点であなたの製品やサービス、会社に、接しても、同じように質が高い情報やサービスを受けられることを目指すのがオムニチャネル戦略なのです。

◾️ オムニチャネルの効果と事例

オムニチャネル戦略で、すべての顧客接点でより良いサービスを提供できると、顧客体験が上がり、購入率・契約率・継続率を上げることができます。

オムニチャンネルを有効化するには、顧客情報、購買履歴などを共有して、より良いサービスを提供できる、ようにする社内的な取り組みも必要になります。

リッツカールトンのようなおもてなしの素晴らしいホテルに行くと、ドアマンからレセプション、ボーイさんまで顔や名前はおろか、食事の好みなども共有されているという最高のサービスを受けられるのと同じです。

ユニクロのようなアパレルの製造販売の事例をとってみましょう。お客様があなたの情報に触れるすべての機会なので、売り場だけではなく欲しいものを探すことから始まります。

オムニチャネル比較 シングルチャネルとマルチチャネル.png

1.    探すフェイズ

まず、顧客が商品を探す時は、自社サイトの中やGoogleなどのサイトの外で探します。もちろん、ショッピングモールや自店舗などリアルな場所でも手に取ったりしながら探します。

顧客は、必ずしもオンラインとオフラインのどちらか1つに決めているわけではありません。ネットとリアルを行ったり来たりしながら、情報や商品を探します。

2.    買うフェイズ

次に買う時も同じように、モバイルやパソコンでそのまま買うか、リアルの店舗で買うことになります。

3.    受け取るフェイズ

最後に商品を受け取る時も、自宅はもちろんコンビニなど指定した場所でも受け取れます。
小売業によっては、Amazonロッカーのように自社で受け取るな場所を提供していることもありますよね。

このように顧客が「探す、買う、受け取る」一連の流れのすべての顧客接点を最適化するのです。特に重要なことは、プライバシーや個人情報に十分注意しながら、各接点で得た購買履歴や顧客行動などの顧客データを活用し、より良い顧客体験を提供し続けることに繋げていくのです。そのためには、マーケティングも部門だけではなく、製品開発、I Tやカスタマーサービスなど組織全体の連携が成功へのカギになります。

このように、オムニチャネルは売り方やデジタルマーケティングといった手法ではなく、事業戦略をして捉えるべきなのです。

◾️ 【図解】オムニチャネルとこれまでのチャネルとの比較

ここで、これまでの販売接点の持ち方であるシングルチャネル、マルチチャネルとオムニチャネルとを比べてみましょう。

オムニチャネル比較 シングルチャネルとマルチチャネル.png

1.    それぞれの特徴

シングルチャネルは、リアル店舗のみとかE Cサイトのみなど、1つだけの接点で売っている業態です。

マルチチャネルは、複数の"独立"したチャネルや接点がある業態です。オムニチャネルも複数のチャネルを持ちますが、それぞれを連携させていう点がマルチチャネルと異なる点です。

2.    それぞれのメリット

シングルチャネルは、1つだけなのでそこに経営資源を集中できます。またシンプルに運営できます。こだわりのカフェや寿司屋がおもてなしのサービスを提供できることがこれに当てはまります。

マルチチャネルでは、複数の顧客接点を持てるので機会損失などの売り逃しを防ぐことができます。たとえば、オリジナルのジュエリーを製造販売する企業が、三越などでPopUpショップを出し、顧客が次に買いたい時に、E Cサイトでも買える、といった具合です。

オムニチャネルでは、顧客に複数接点を持ちつつ、連携させることで、どこで接しても同じ顧客体験を提供することで顧客満足を高めやすくなります。もちろん、ブランド価値も上がります。

3.    それぞれのデメリット

1つの接点でシングルチャネルでは、顧客の様々なニーズに対応しづらくなります。

マルチチャネルでは複数の接点ではありますが、連携ができていないので、顧客体験にもばらつきが出ます。リアルとネットでの相乗効果が出せずに、リピート購入を逃す可能性もあるのです。

オムニチャネルは、連携のための各フェイズでの管理が複雑なこと、またSaaSのようなシステムでもできますが、導入コストがかかることが負担になります。

オムニチャネル戦略を取らずに、シングルチャネルやマルチチャネルでしかやっていないケースを、料理に例えて説明してみましょう。

シングルチャネルは、一つの調理法しか知らないシェフのようなものです。
例えば、フライパンだけで焼く料理しかできないシェフだと、その一つの調理法に関しては熟練しているかもしれませんが、顧客の多様なニーズや好みに対応することができません。蒸し料理や煮込み料理を求める顧客は、別の店に行ってしまうでしょう。

マルチチャネルは、複数の調理法を知っているものの、それぞれを独立して扱うシェフのようなものです。焼く、煮る、蒸す、といった様々な調理法を知っていますが、それぞれの料理を別々のキッチンで作り、互いの情報を共有しません。例えば、ステーキを注文した顧客が前回はパスタを好んだという情報が、ステーキを担当するシェフに伝わらないため、
顧客の好みに合わせた付け合わせを提供できない可能性があります。

一方、オムニチャネル戦略は、様々な調理法を熟知し、それらを柔軟に組み合わせて顧客一人ひとりの好みに合わせた料理を提供できるマスターシェフのようなものです。

お客様の過去の注文履歴、アレルギー情報、好みの味付けなどをすべて把握しており、そういう情報から一番喜んでもらえる最適な料理を提供します。さらに、テイクアウト、デリバリー、店内飲食など、顧客の状況に応じて最適な提供方法を選択することができる、という具合です。

◾️ 【図解!】課題別オムニチャネルの有効性とメリット

最後に、営業やマーケティングでの課題感ごとにオムニチャネル戦略を組むべきか?という、やるメリットを説明します。

課題別オムニチャネル.png

1.    販売や売り上げが停滞している時

まず、思うように売れないという時、それは顧客がどこで情報を得て、どこで買えばいいのかがわからないからです。

オムニチャネルを導入することで、顧客は自分の都合に合わせて最適なチャネルを選択できるようになります。例えば、オンラインで購入した商品を実店舗で受け取る、実店舗で見た商品をオンラインで購入するなど、柔軟な購買オプションが提供されます。

2.    既存顧客の離脱

顧客が離れていく最大の理由は、購入や契約後のサービスが期待を下回っているからです。その背景では、リアルとネットでバラバラなサービスを提供しているので、サービスに一貫性がなくなってしまうからです。たとえば、営業が伝えたことやサイトに書いてあることと、サービス部門がやってることが違うなどです。

オムニチャネルを充実させることで、実店舗とオンラインショップの連携を強化し、どこで接しても、いつもいっていることが変わらず一貫性を持たせると、顧客のストレスを減らすことができます。ひいては、満足度が上がりリピートや再契約につながるのです。これは、法人営業での契約とフォロープロセスも同じです。

3.    リピート購入がない

リピートでの契約や購入がない最大の理由は、顧客データを取れていないからです。または、データを分析しておらず、顧客に同じようなことしかできていないためです。

ここでは、顧客に「あなただけ」というパーソナライズをできるようにしたいところです。
オムニチャネルでの各接点で、顧客データを取り分析をすることで、パーソナライズされた顧客コミュニケーションができるようになります。パーソナライズは、選ばれ続けることができる重要な戦略なのです。

オムニチャネルがうまくいき始めると、こういった売れない問題を解決できて、
最後は売り上げと利益のアップにつながるのです。

この記事は動画でも詳しく説明しています。

執筆者

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役 理央 周(りおう めぐる)
石油会社、家電メーカー、大型車両メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、法人営業にマーケティングを注入する社員研修を提供。 2013年より2023年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で23冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典 

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