飽和市場のレッドオーシャンで差別化できる戦略と手法

◾️ 飽和市場への参入はできるのか?レッドオーシャンで勝つには何をすればいいのか? 

ある市場の成長率がゼロパーセントでも、新規参入者が成功する可能性があると思いますか?

実は、多くの業界での市場にはモノやサービスが溢れていて、飽和状態にありますが、それでも成功する企業があります。

どうすればそんな市場で勝てるのでしょうか?

飽和市場で戦うことは、満員電車で自分のスペースを確保しようとするようなものです。満員電車では、すでにたくさんの人がぎっしりと詰まっており、少し動くのでさえも難しいですよね。

飽和市場も同じで、すでに多くの企業が競合しているため、新しく入るスペースが少なくわずかな差で目立たせるのは簡単ではありません。

一方で、飽和している市場は見方を変えれば、需要(=ニーズ)がある市場なのです。だからこそ、売り手が氾濫しているのです。
なので、実は美味しい市場である可能性もあります。

この状況でうまく立ち回るには、ただ押しの強さでつき進むのではなく、他社の動きに注意を払い、空いている少しのスペースを探し、自社のポジションをうまく見つけることが必要です。

それが飽和市場においても、競合のスキマをつき差別化ができれば、ニッチ戦略で際立ちそこから展開を広げることもできるのです。

◾️ 飽和市場の攻め方〜6つのステップ

飽和市場を攻める際にも、戦略を組み立て順を追って進めることが重要です。

以下に、6つのステップでの戦略立案と市場の攻め方を説明します。
考え方と合わせて、ペット市場の事例で説明していくので、
自社に当てはめて、考えながら読み進めてください。

1. 市場全体を俯瞰して分析する

まず、競合他社がすでに提供している製品やサービスの特長、ターゲット層、提供価値を確認します。飽和市場では多くの企業が似たようなアプローチで顧客にアプローチしているため、それらがどんなニーズに応えているかをしっかりと把握することが重要です。

【事例】高級ペットフード市場は、すでに多くの企業が参入しており、
一般的には「健康志向」「自然派」「栄養バランス」といった価値を売りにしています。

主要なターゲットはペットの健康を意識する飼い主で、
特に犬や猫用に多くの高級ブランドがしのぎを削っています。

2. 未解決のニーズや課題を見つける

市場全体が提供できていない価値や、まだ解決されていない顧客の問題点を見つけます。例えば、同じ製品カテゴリーであっても、特定の年齢層やライフスタイルに適した機能を求めるニーズが潜在していることがあります。
このような未解決のニーズを見つけるために、以下の方法が役立ちます:

  • 顧客の声を直接聞く(インタビューやアンケートなど)
  • レビューやSNSのコメントを分析し、顧客の不満や追加の要望を探る
  • 市場調査やデータ分析を活用し、消費者がまだ満たされていないニーズを浮き彫りにする

【事例】例えばペット市場だと、

  • アレルギー対応:特定の成分にアレルギーを持つペットが増えているが、対応した製品は少ない
  • 高齢ペット用:高齢化したペットのための、消化に良い柔らかい食感で栄養バランスが最適化されたフードが少ない。
  • 個別の栄養バランス調整:各ペットの体質や健康状態に合わせたカスタマイズのフードがほとんどない

このように「高齢ペット用の消化に良いフード」や「アレルギー対応フード」など、既存製品ではまだ十分に対応されていないニーズを発見します。

3. セグメントごとの詳細なペルソナを作成する

未解決ニーズごとに具体的な「ペルソナ(典型的な顧客像)」を作ります

【事例】ターゲット層が求める価値やライフスタイルにあった戦略を立てやすくなります。
例えば、「価格に敏感な若い世代」「高い付加価値を重視するシニア層」など、
特徴的なペルソナをイメージし、そこにアプローチするための方策を検討します。

  • ペルソナ1:「高齢犬や高齢猫を飼う飼い主」
        年齢層:40~60代
        特徴:愛犬や愛猫の健康を第一に考え、消化に優しい、栄養価が高いフードを探している。
      
  • ペルソナ2:「アレルギーに悩むペットを飼う飼い主」
        年齢層:20~40代
        特徴:ペットが特定の成分にアレルギーがあるため、安心して与えられる成分のフードを探している。

このように、一般的な飼い主ではなく「高齢ペット」や「アレルギー持ちのペット」をターゲットにしたペルソナを作成することで、焦点を絞ったマーケティング戦略が立てやすくなります。

4. 自社の強みと照らし合わせる

見つけたニーズやターゲット層に対し、
自社の強みがどのようにマッチするかを考えます。

単にニッチを見つけるだけでなく、自社の持つ資源や得意分野を活かして、
競合と差別化できる独自の提供価値を考えることが大切です。

例えば、技術力に自信があるなら、
特定のニッチ層に向けた技術的に優れた製品を作る、
またはデザイン性に強みがあるなら、
特定の嗜好にマッチした製品を作るなどの戦略が考えられます。

【事例】例えばペットでいえば、自社が研究開発力に強みを持ち、
ペットフードの成分や栄養バランスの調整が得意であれば、
それを活かして以下のような独自の価値提案ができます。

  • 消化に優しい食材:高齢ペット向けに、消化がよく、噛みやすい食感のフードを提供。
  • アレルギー対応の厳選素材:小麦や特定のタンパク源を避け、アレルギーに対応した安心な成分を使用。
  • 栄養バランスの調整:ペットの健康診断の結果に基づいて、個別の栄養バランスを調整するカスタマイズサービスを提供。

5. 小さくテストして検証する

ニッチ市場をターゲットにする際は、
少人数のサンプル顧客に製品やサービスを試してもらい、
反応を確認しましょう。

少数の顧客に向けてテストマーケティングを行うことで、
コストを抑えつつフィードバックを得られます。

例えば、新しいSNSプラットフォーム上での広告を使ってターゲット層の反応を確認したり、
小規模なキャンペーンを実施して効果を測定することで、

本格的な市場投入前にニッチ市場での効果を把握するんです。

【事例】ペットでいえば、Instagramなどでペット関連のSNSインフルエンサーと提携し、「高齢犬用」や「アレルギー対応」のペットフードの広告を掲載し、飼い主の反応をチェックします。また、サンプルを少量配布して、実際に使用した飼い主からフィードバックを得るのも効果的です。
ここで得たフィードバックをもとに、どのペルソナにより響くのか、どんな改善点があるのかを確認し、製品やマーケティングメッセージを微調整します。

6. 継続的な改善とフィードバックループを構築する


ニッチ市場で成功するには、顧客の声を反映し、
常にサービスや製品を改良していくことが欠かせません。

特に、競合もそのニッチ市場に参入してくる可能性があるため、
常に最新のニーズを把握し、改良を続けることが大切です。

このプロセスを踏むことで、飽和市場の中であっても競合が見過ごしているニッチなターゲット層を見つけ、そこでしっかりと価値提供することが可能になります。

【事例】ペットでいえば、飼い主から「さらに柔らかい食感が良い」「アレルギー用のフレーバーを増やしてほしい」といった要望があれば、それをもとに製品改良を行います。また、定期的にアレルギー対応や高齢犬・猫用フードの新しい成分やレシピを追加し、顧客のニーズに応え続けることで、ブランドへの信頼感を高め、競合と差別化を図ります。

◾️ 飽和市場・レッドオーシャンでの差別化を自社でものにするには

顧客エンゲージメントは、単に商品を売るだけではなく、顧客との長期的な関係を構築し、深い信頼と愛着を育むために必要不可欠な要素です。顧客エンゲージメントを高めることは、単なる一時的な売上増ではなく、ブランドの価値を高め、顧客と企業の間に持続可能な関係を築くための重要な取り組みなのです。

この記事で、あなたが自社のビジネスで差別化できるヒントを得られたなら幸いです。ぜひ、あなたの取り組みや成功体験をお聞かせください。


この記事の内容を動画でも説明しています。

マーケティングアイズ株式会社 理央 周

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