成果を出し、売り上げにつながる顧客エンゲージメントの上げ方〜顧客離れを防ぐ戦略と施策の事例
◾️ 顧客の離脱を防ぐ顧客エンゲージメント
毎年、せっかく集めた顧客があっという間に他社に流れていく、
そんな経験はありませんか?
これを防ぐ鍵が顧客エンゲージメントにあるのです。
顧客エンゲージメントのアップは、マーケティング活動にはとても重要だと言われています。
今日の市場では、商品を売るだけでは十分ではありません。
統計によっては、ブランドとの関係に満足しなければ、顧客の70%以上が、すぐに他の選択肢に目移りすると言われています。
顧客が購入、BtoBの場合は契約、するのは、製品やサービスですが、本当に欲しいのは使っている時の便利さや不具合のあった時のカスタマーサービスの対応などといった製品の周りにある便益なのです。つまり、ただの製品やサービスが欲しいのではなく、顧客が感情的につながりたくなるような体験が求められているんです。
その答えが、顧客エンゲージメントなのです。
顧客エンゲージメントとは、「顧客がブランドや商品に対して関心や愛着を持ち、
積極的に関わること」です。
顧客エンゲージメントと説明と重要性に関してはこちらを参照ください・
→ 売上増、集客アップにつながる顧客エンゲージメント〜顧客満足度、顧客ロイヤルティとの徹底比較
◾️ 顧客エンゲージメントなしだとビジネスはどうなるか?
顧客エンゲージメントを高めずにビジネスをすることは、「砂浜に水を注ぐ」ようなものです。
砂浜に水を注ぐと、注いだそばからどんどん水が流れ出て、長くその場にとどまりません。
同じ様に、顧客とのエンゲージメントを無視したビジネスでは、せっかく集めた顧客も長くとどまらず、すぐに競合や他の選択肢に流れてしまいます。
エンゲージメントを高めることで、砂に溝を作って水が溜まるように、顧客が長くブランドにとどまる土壌を整えられ、ビジネスも持続的に成長しやすくなります。
◾️ 顧客エンゲージメントを高めるための5つのステップ
顧客エンゲージメントは、顧客との双方でのコミュニケーションを指します。
エンゲージメントが高まると、自社で発信したメディアやイベントに、顧客が反応してくれることになります。
具体的には、以下のような顧客の行動のことを指します。
- 告知をするだけで、展示会のブースに来社してくれる
- 自社開催のセミナーについて発信すると顧客が自然に「参加したい」と反応する
- 自社の動画やSNSの投稿に、顧客がいいね、シェア、コメントをする
しかし、エンゲージメントを上げるためには、むやみにSNSを発信したり、お客様にD Mや電話をするということではありません。多すぎる情報発信は、顧客にとってはかえって迷惑になります。
エンゲージメントを高めるには、戦略的にステップ踏んで進めていくのが効果的です。
1. 目標の設定
具体的なゴールを設定:
顧客エンゲージメントを高めるために、長期的に実現したいゴールを明確にします。例えば、特定の製品の購入数、ウェブサイトの閲覧数、アンケートの回答率など、具体的な行動や指標を設定することが重要
2. 現状の把握と課題の設定
現状分析:
顧客の登録情報、購買履歴、SNS投稿などを収集して顧客分析を行います。NPS(Net Promoter Score)やカスタマージャーニーマップを作成し、顧客体験の現状を把握します
課題の抽出:
現状と理想的な状態のギャップを特定し、優先順位をつけて対策を立てることが重要です
3. 顧客のニーズに応じたアプローチ
個別の嗜好や要望に合致したアプローチ:
顧客の過去の購買履歴や行動データを基に、パーソナライズされたマーケティングを行います。例えば、関心がある商品のみを提案するステップメールや、オムニチャネルマーケティングを活用する
インタラクティブマーケティング:
顧客が能動的に参加できるマーケティング手法を採用します。ウェブサイトやSNSでのやり取り、イベントやキャンペーンなどを通じて、顧客と企業の間で相互のやり取りを促進します
4. 施策の実行とフィードバックの収集
ステップメールやクーポン、ポイントの提供:
顧客の行動に応じてシナリオを設定したステップメールや、クーポン、ポイントなどのインセンティブを提供します。これにより、顧客のリピート意欲を高めることができます
フィードバックの収集と反映:
顧客からフィードバックを積極的に収集し、それを反映して改善する環境を整えることが重要です。アンケート、ポップアップ、お問い合わせフォームなどを活用します
5. 体制の構築と継続的な改善
役割分担と体制の整備:
顧客エンゲージメントを高めるための業務を整理し、社内での役割分担を明確にします。施策の実行とその効果の振り返り、修正を繰り返すための体制を構築します
数値化指標の設定と監視:
NPS(Net Promoter Score)、LTV(Life Time Value)、レビューなどの指標を設定し、継続的に監視して改善を図ります。これにより、エンゲージメントの効果を測定し、必要な調整を行うことができます
◾️ エンゲージメント戦略 3つの事例
上記のステップ3については、以下のような戦略を参考にするといいでしょう。
1. パーソナライゼーション(個別化)を強化する
顧客のニーズに応じたコミュニケーション
顧客の過去の購入履歴や行動データに基づいて、個別に最適化されたコンテンツやオファーを提供する。顧客が「自分のために特別に考えられている」と感じることでエンゲージメントが高まります。
例: Amazonの「あなたへのおすすめ」機能や、Netflixのパーソナライズされた視聴リストなど、個々のユーザーの嗜好に合わせたレコメンデーションが効果的です。
2. 顧客体験(CX)の向上
シームレスな体験を提供: 顧客がどのタッチポイントで接触しても、一貫した高品質の体験を提供する。例えば、オンラインとオフラインの体験をスムーズに連携させることが重要です。
例: オンラインで注文し、店舗でピックアップできる「オムニチャネル」戦略や、24時間対応のカスタマーサポートチャットボットなどが、顧客体験を向上させます。
3. ストーリーテリングを活用する
ブランドのストーリーやミッションを伝える: ただ商品を売るのではなく、ブランドの背景や価値観、ミッションを顧客に共有することで、感情的なつながりを築くことができます。顧客がブランドの価値観に共感すると、エンゲージメントが高まります。
例: Patagoniaのようなブランドは、環境保護をミッションに掲げ、その活動を通じて多くの支持を得ています。
◾️ エンゲージメントを高める具体的な施策
顧客エンゲージメントを高めるための具体的な施策をいくつか紹介していきます。
ソーシャルメディアを活用
双方向のコミュニケーション: ソーシャルメディア上で顧客と積極的に対話し、コメントや質問に迅速に応答する。これにより、ブランドが顧客に関心を持っていることを示すことができます。
例: Twitterでのリアルタイムのカスタマーサポートや、Instagramでのユーザー生成コンテンツ(UGC)の共有などが、顧客との関係を深めるのに役立ちます。
コンテンツマーケティングを強化する
価値あるコンテンツを提供: 顧客にとって有益で、役立つコンテンツを定期的に提供することで、顧客との信頼関係を築きます。ブログ、ビデオ、ウェビナー、電子書籍など、顧客の課題解決に役立つコンテンツが効果的です。
例: HubSpotのように、マーケティングや営業のベストプラクティスに関する無料のリソースやツールを提供することで、顧客の信頼を得ることができます。
ロイヤリティプログラムの導入
リワードや特典を提供: ロイヤリティプログラムを通じて、リピート購入や特定の行動に対してポイントや特典を提供することで、顧客のエンゲージメントを促進します。
例: スターバックスのリワードプログラムは、購入ごとにポイントがたまり、一定のポイントで無料ドリンクなどの特典が得られる仕組みで、リピーターを増やしています。
テクノロジーの活用
AIとデータ分析を駆使: AIやデータ分析を活用して、顧客の行動パターンを予測し、最適なタイミングで適切なコンテンツやオファーを届けることで、エンゲージメントを高めます。
例: Spotifyは、ユーザーのリスニングデータを分析し、個別におすすめのプレイリストを提供することで、ユーザーの関与を深めています。
フィードバックを積極的に取り入れる
顧客の声を反映する: 顧客からのフィードバックを定期的に収集し、その意見を基に製品やサービスを改善する姿勢を示すことで、顧客との信頼関係を強化します。
例: 顧客満足度調査やレビューを元に、具体的な改善点を見つけ、変化を報告することが重要です。
コミュニティの形成
顧客同士が交流できるプラットフォームを作る: 顧客がブランドを中心にしたコミュニティに参加し、他の顧客と交流できる場を提供することで、顧客同士のエンゲージメントが高まります。
例: Fitbitのユーザーコミュニティでは、ユーザー同士がフィットネス目標を共有し、互いに励まし合うことで、ブランドに対するロイヤルティが高まっています。
◾️ BtoBでの顧客エンゲージメントの事例
BtoBや法人営業での顧客エンゲージメントの事例は、主に「長期的な関係構築」や「個別化された価値提供」に焦点を当てたものが多く、以下のような具体例があります。
SalesforceのSuccess Cloud(サクセスクラウド)
Salesforceは、企業が同社のクラウド製品を効果的に活用できるように、「Success Cloud」というサービスを提供しています。Success Cloudでは、専任のアドバイザーが導入企業ごとに最適化された導入支援や活用サポートを行い、実務での成果が出るまで伴走します。また、企業同士が知見を共有できるコミュニティもあり、顧客企業がSalesforceを使い続けるきっかけになっています。
IBMのシンクタンク活動
IBMは、主要顧客向けに「IBM Institute for Business Value」というシンクタンク活動を展開し、最新の業界動向やテクノロジーに関する知見を提供しています。クライアント企業にとっては、自社の戦略を立てるうえで非常に参考になる情報源です。IBMは顧客に対して、単なるITソリューションの提供にとどまらず、業界パートナーとしてのエンゲージメントを強化しています。
Microsoftのエンタープライズサポートプログラム
Microsoftは大企業向けに「Premier Support for Enterprise」などのエンタープライズサポートプログラムを提供しています。このプログラムでは、顧客企業に専任サポート担当者をアサインし、定期的なメンテナンス、技術トレーニング、トラブルシューティングの支援を行います。これにより、顧客企業は安心してMicrosoftのソリューションを導入でき、信頼とロイヤルティが高まります。
これらの事例は、BtoBにおける顧客エンゲージメントを高めるために、企業が顧客と深い関係性を築き、カスタマイズされたサポートや価値提供を行っている点が共通しています。このような取り組みを通じて、顧客が長期的にサービスを利用し続ける環境を整えることが、BtoB営業におけるエンゲージメントの鍵となります。
◾️ 顧客エンゲージメントを自社でものにするには
顧客エンゲージメントは、単に商品を売るだけではなく、顧客との長期的な関係を構築し、深い信頼と愛着を育むために必要不可欠な要素です。顧客エンゲージメントを高めることは、単なる一時的な売上増ではなく、ブランドの価値を高め、顧客と企業の間に持続可能な関係を築くための重要な取り組みなのです。
この記事で、あなたが自身のビジネスでエンゲージメントを高めるためのヒントを得られたなら幸いです。ぜひ、あなたの取り組みや成功体験をお聞かせください。
この記事の内容を動画でも説明しています。
マーケティングアイズ株式会社 理央 周
顧客離れを防ぎたい、自社のファンを作りたい、など、
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