企業経営とマーケティング戦略の関係

マーケティングを実務に活かす場合には、企業の経営において、マーケティングがどのような役割を果たすのかを理解しておく必要があります。
企業が、経営理念に基づいてどんな戦略を立てるのか、
その中でマーケティング戦略がどんな役割を果たすのか、
戦略の立案のプロセスについて理解しましょう。
■ 企業の経営理念を経営戦略に落とし込むプロセス
まず企業には経営理念というものがあります。
これは会社を創業して以来の会社が守っていきたい哲学とか信念といったものです。
企業として何をなすべきか、どこを目指すのか、を表すものです。
最近では、ヴィジョン、ミッション、バリュー、MVVなどという言葉でも語られますが。
企業の出発点でもあり、また、核になる重要な指針です。
この経営理念に基づいて経営戦略を立てます。
経営理念は哲学的なものなので、文章化したりしても、どうしても抽象的になってしまいます。この理念を、会社の方向性として具体的にしたのが経営戦略です。
ここで、経営戦略を、ユニクロのファストリテイリングと、ザラのインディテックス事例を比べながら説明してみます。
どちらも同じファストファッションの業界ですが、ユニクロはベーシックなデザインの質の高いアイテムを大量に作り、品質を落とさずに、他社が真似できない価格で販売します。このような企業戦略を「コストリーダーシップ戦略」と呼びます。
一方で、ザラはデパートで売っているようなクオリティーが高いデザインの服を作って売っています。このような戦略を「差別化戦略」と呼びます。
このように、同じファストファッション業界でほぼ同じ価格帯で製品を売っていても、会社の経営方針にあたる戦略は大きくことなります。
この経営戦略は、会社の方向性を示すもので、企業の経営資源の「ヒト、モノ、カネ」に基づいて立案されます。
- ヒトであれば、採用・人事・評価、
- モノは、生産・開発・マーケティング、
- カネは資金調達や・原価計算、社内の会計
を、総合的に判断した上で決めていきます。
その経営戦略に基づいて、事業ごとの戦略を立てていきます。
事業というのは、企業が行うビジネスのカテゴリーをいいます。
先程の事例で考えてみましょう。
ユニクロのほうでいくと、会社は「ファストリテーリング」です。この会社の中に、ユニクロやGUといった事業がある、ということになります。
■ PDCAサイクルとしての事業戦略とマーケティングの位置付け
企業の経営戦略に基づいて、それぞれの事業の戦略を立てていきます。
何をもって、誰に向けて、何をするのか、という事業そのもののコンセプトを明確にするのです。
この事業戦略の中身を見ていきましょう。
まず準備段階として、収集した情報を分析し、収益目標を設定します。
この分析結果と、設定した目標値に基づいて、ヒト、モノ、カネの経営資源ごとの戦略を立て、その戦略を具体化して、なにをやるのか、という戦術を組み立てていきます
のあたりがいわゆる計画、ということになります。
もちろん、計画を立てただけでは終わりではありません。すぐに実践して、計画があっているかどうかを確かめ、必要に応じて分析をしていきます、そして改善案を練り、次のアクションを起こします。
この前半部分である、機能戦略を立て戦術を決めるところまでが、計画の作成です。
この図の4の部分、実践、検証と分析、改善して次の行動をするところが実践、
PDCAサイクルでいうところのDCAになるのです。
これら一連の活動を、PDCAとして回していくことで収益アップを目指すのです。
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執筆者
石油会社、家電メーカー、大型車両メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、法人営業にマーケティングを注入する社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で23冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典
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