法人向けBtoBビジネスに有効なコンテンツマーケティングとは?:その理由とメリット・デメリット
法人営業、BtoB向けにデジタル・マーケティングをしていると、
見込み顧客が獲得できない
広告を出しても問い合わせが少ない
製品やサービスが複雑で、魅力や価値が理解されづらい
という課題感を持つ企業が増えています。
このような場合に「コンテンツマーケティング」が有効なのです。
◾️ コンテンツマーケティングとは
コンテンツとは、「顧客や見込み客にとって役に立ち、興味を引き、価値を提供する情報やメッセージ」のことです。具体的には、ブログ記事、動画、SNS投稿、電子書籍、ウェビナー、ニュースレターなど、さまざまな形式があります。
ポイントは、「顧客の問題を解決する」「学びを与える」といった顧客にとって有益な価値がある内容にすることです。単なる自社の宣伝ではなく、顧客が自ら接触したいと思える内容であることです。直接的商品やサービスを売り込むのではなく、顧客が自分で情報を探しているときに、見つけやすいように役立つコンテンツを、WEBの各所で発信して、関心を引き徐々に信頼関係を築くことです。
コンテンツマーケティングは以下のような業界に向いています。
BtoC:小売、ファッション、美容、ライフスタイル、食品、エンターテイメントなど、直接消費者に製品やサービスを提供する業界では、お客様の関心を引きつけやすく、ブランドの認知度やロイヤルティを高めるのに役立ちます。
BtoB(ビジネス・トゥ・ビジネス):IT、製造業、卸売業、コンサルティング、法律サービスなど、企業間取引を行う業界でも有効なんです。
相手が企業なので、専門知識や業界の洞察はとても有益な情報です。共有することで、信頼性と専門性を示すことができます。
教育業界にも有効です。学校、オンライン教育プラットフォーム、教育関連の製品やサービスを提供する企業は、教育的なコンテンツを提供することで、お客様の知識欲を満たし、ブランドへの関心を高めることができます。
◾️ なぜ、コンテンツマーティングが有効なのか?
コンテンツマーケティングが有効な理由をいくつか挙げます。
1. 契約までの意思決定が深く広い業界
BtoBの製品やサービスは、業務に大きな影響を与えるものが多く、価格も高額なため、契約・購入に際して慎重な意思決定が求められます。契約までのプロセスで、信頼できる情報源からの詳しい情報が必要不可欠なので、コンテンツマーケティングでこのニーズを満たしていきます。
2. 複雑な契約プロセス
BtoBの取引では、契約前に多くの検討や関係者の合意や承認が必要になります。コンテンツを通じて製品やサービスの利点を明確に伝え、課題解決の方法を提案することで、顧客の意思決定プロセスを後押しできます。
3. 長期的な関係構築が必要
BtoBビジネスでは、一度の取引だけでなく、継続的な関係性が重要視されます。信頼性を高める教育的・価値提供型のコンテンツは、顧客の信頼を築き、競合との差別化を図るのに役立ちます。
具体的には以下のような業界で効果を発揮します。
1. IT・ソフトウェア業界
顧客が高額かつ複雑な製品やサービス(例:クラウドソリューション、ERPシステム)を購入する際に、情報収集を十分に行う傾向があります。ブログやホワイトペーパー、ウェビナーを通じて専門知識を提供することで、信頼を構築し、潜在顧客を育成できる。
コンテンツを通じて製品の導入事例や技術的な解説を提供することで、購買意欲を高められる。
2. 製造業(機械や部品などのBtoB製品)
顧客は長期間使う高額な設備や精密な部品を選ぶ際に、詳細な情報や実績を求める。
技術解説動画、ケーススタディ、使用マニュアルなどのコンテンツを提供することで、製品の優位性や信頼性を示せます。
見込み客が具体的なニーズや課題を抱えている場合、それに合ったソリューションをコンテンツで示すことで商談につながりやすくなります。
3. コンサルティングや専門サービス業
サービスの質や成果は目に見えないため、専門性を示すことが顧客の信頼獲得に直結する。
業界のトレンド解説や問題解決のアプローチを示すブログやレポート、動画を提供することで、見込み顧客の興味を引きつけることができます。
コンテンツを通じて具体的な成功事例を共有することで、自社サービスの価値を伝えやすいともいえます。
これらの業界は、顧客が購入前に十分な情報を求める傾向が強く、専門知識や信頼性を示すことが成約に直結するため、コンテンツマーケティングが効果的なのです。
コンテンツマーケティングは、「顧客が多くの情報を必要とし、じっくりと考えて意思決定する環境」において、顧客の疑問や課題を解消し、信頼を構築する最適な手法です。
コンテンツマーケティングは、単に情報を提供し新規顧客獲得のためだけでなく、顧客との関係を築き上げる手法としても有効です。
コンテンツマーケティングは、お客様にとって有益な情報を提供することで、
商品やサービスへの信頼と興味を高めることを目指します。そしてそれを続けることで、
顧客との関係を作り、ブランドイメージの向上を目指すのです。
◾️ コンテンツマーケティングのメリット:顧客視点と企業視点
顧客視点:
まず、顧客企業にとって必要な情報を探すことができます。Webで検索をして詳しい情報が得られれば、わざわざ電話したり店に行って聞いたりしなくても、いつでもどこでもわかります。これによって、顧客の意思決定を助けることができます。
企業視点:
企業側のメリットとしては、S E O、ブランド、顧客との関係性の3つを強化できます。
SEO(検索エンジン最適化)の強化:
良質なコンテンツで、検索エンジンのランキングを向上させることので、より多くの潜在的なお客様にリーチできます。
ブランドの強化:
一貫して価値あるコンテンツを提供することで、ブランドの認識度と評価が高まります。
信頼と関係の強化:
コンテンツマーケティングは、お客様に価値ある情報を提供することで、お客様から信頼され関係を築く基盤ができます。
さらに、興味深く、教育的な、またはエンターテイメント性の高いコンテンツで、お客様を引き付ければ、ブランドの価値も上がります。
もちろんコスト効率もいいです。マスメディアなどのオフラインマーケティングに比べて、W E Bでのコンテンツマーケティングは比較的低コストで実施することができるので投資対効果もより良いと言えます。また、コンテンツは残るので効果も長く持続します。
◾️ コンテンツマーケティングの戦略と発信のステップ
コンテンツマーケティングを進める上で事前準備が重要になります。
まずは誰に向けてコンテンツを作るかというターゲット像を明確にすることで、コンテンツの内容や配信方法の効率化を目指します。顧客の課題や関心を深く理解することで、ターゲット層の心に響くコンテンツを構築できます。適切なターゲットに向けたコンテンツは、認知からファン化までのプロセスを効果的に進められるのです。
ターゲットを設定したら、次にターゲットが契約に至るまでの行動ごとのコンテンツと発信するメディアを考えていきます。
顧客行動ごとに施策を打つことをセールスファネルと言います。
セールスファネルの詳しい解説記事はこちらを参照ください。
→ 法人営業の課題を解決するマーケティング的セールスファネル
以下に、ステップを説明していきます。
0. ターゲット層を決める
誰(どんな企業)に向けてコンテンツを作るのかを明確にする。
• ペルソナ設定:理想的な顧客像を具体的に描く(年齢、職業、課題、興味など)。
• セグメンテーション:市場をニーズや行動に基づいて分類し、最も価値を提供できる層を選定。
• 優先順位:自社の強みが最も響きやすい顧客層を絞り込む。
1. 認知:ターゲットに存在を知ってもらう
目標:自社や商品・サービスの存在をターゲットに認識してもらう。
アクション:
SEO対策を施したブログ記事やランディングページの作成
SNSや広告を活用した情報発信
トレンドや業界に関連する話題で注目を集める
2. 興味:ターゲットの興味を引く
目標:ターゲットが「もっと知りたい」と思う段階へ引き上げる。
アクション:
ホワイトペーパーやeBookの提供
興味を喚起する動画コンテンツやウェビナーの開催
メールマガジンやSNSを通じた継続的な情報提供
3. 検討:自社の価値を理解してもらう
目標:ターゲットが自社の製品やサービスを選択肢として真剣に検討する。
アクション:
製品デモ動画や活用事例の提供
専門的な記事や技術的な解説コンテンツ
他社との比較や導入後の効果を具体的に説明
4. 契約:購入・導入を後押しする
目標:ターゲットが意思決定し、契約や購入に至る。
アクション:
購入プロセスを明確にしたガイドの提供
よくある質問(FAQ)ページの作成
契約や購入後のサポート内容を示す安心感の提供
5. 再購入:継続的な利用を促す
目標:顧客が再購入し、長期的な関係を築く。
アクション:
利用状況に応じた役立つヒントやマニュアルの提供
アップデート情報や新サービスの案内
サポート窓口やユーザー向けイベントの開催
6. ファン化:ブランドの支持者を増やす
目標:顧客がブランドを積極的に支持し、他者に推奨する。
アクション:
顧客インタビューや成功事例をコンテンツ化
顧客参加型のキャンペーンやSNS企画
ロイヤルティプログラムや特別なサービスの提供
このプロセスに沿ってコンテンツを立案することで、顧客心理に寄り添いながら、自社の製品やサービスの価値を効果的に伝えられます。
◾️ コンテンツマーケティングの発信事例
コンテンツマーケティングでの新規顧客獲得から契約後のアフターフォロー、ファンになってもらうまでのプロセスと仕込むべきメディアを、ロックバンドのデビュー前から成功までを例に取って考えてみましょう
まずはデビュー前の準備です。
これは「ターゲットの設定とどんなコンテンツを載せるか、という戦略」に相当します。
バンドは、自分たちの音楽スタイルやアイデンティティを明確にして、
そのスタイルに共感するオーディエンスを特定します。
そして、このオーディエンスにアピールするためのコンテンツ、
(音楽、ビジュアル、ストーリーテリング)の企画を練ります。
次にデビュー曲です。これは「価値あるコンテンツの制作とその公開」に当たります。
バンドは最初のデモ曲やミュージックビデオを制作し、
ソーシャルメディアや音楽プラットフォームで公開します。
目的は、オーディエンスに自分たちとその音楽に触れてもらい、関心を持たせることです。
次はファンコミュニティです。バンドはファンと積極的に交流し(例えば、SNSでの応答、ライブチャット、ファンイベント)、彼らの意見やフィードバックを取り入れて関係を深めます。
だんだんと成功してくると、他のブランドとコラボして、その露出を拡大します。
これは、コンテンツマーケティングの「パートナーシップとシナジー」の段階に当たります。
最終的に、バンドは一貫して質の高い音楽を提供し続けることで、ファンベースを拡大し、より大きな成功を収めます。これは、コンテンツマーケティングにおける「持続可能な成長と進化」の段階です。
このように、ロックバンドの成長過程はコンテンツマーケティングの戦略と非常に似ており、段階的なアプローチを通じてオーディエンスの関心を引き、関係を築き、最終的には成功を収める過程をたどります。
ではコンテンツマーケティングでどんなメディアを組み合わせればいいかを、ロックバンドが新規ファンを取り込むときの流れで説明しますね。
まずは、潜在的なファンの目を引くには、ソーシャルメディアが向いています。
InstagramやFacebookでビジュアルコンテンツ(写真、短いビデオクリップ)を共有し、バンドのイメージとスタイルを伝えてもいいし、パッと読めるX(旧Twitter)で新作の リリースのアップデート、イベント情報、バンドメンバーの日常や思考を共有します。
動画ではTikTokで短い音楽クリップやバックステージの様子を共有し、特に若い世代のファンとのエンゲージメントを高めます。
興味を持った人たちにより知ってもらうために、
Spotify、Apple Music、Amazon Musicのようなプラットフォームにアップロードし、幅広いオーディエンスにアクセスします。
YouTubeもパワフルです。ミュージックビデオ、ライブパフォーマンス: 高品質のミュージックビデオやライブパフォーマンスの映像を公開し、視覚的なストーリーテリングでファンを魅了できますね。
バンドの公式ウェブサイトを立ち上げることも大事です。最新のニュース、バイオグラフィー、イベント情報、連絡先などを掲載します。
ファンに定期的にコミュニケーションを取ることが大事です。ウェブサイトやソーシャルメディアを通じてL I N Eグループやメーリングリストを構築し、リリース情報や特別なオファーを直接ファンに送ります。
このロックバンドの事例はBtoCのケースになりますが、BtoBマーケティングに当てはめると次のような図になります。
コンテンツマーケティングによって、あなたのビジネスに当てはめてください。
マーケティングで大事なのは、お客様に知る、買う、また買う、流れを作ることです。
間違っても、売る、売る、また売るではありません。
そのために、メディアを顧客のニーズの流れに当てはめて組み合わせることで、顧客が求めている情報を効率的に届けることができるのです。
この記事の内容を動画で説明しています。
マーケティングアイズ株式会社 理央 周
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