【ビジネス書】「プランB」の教科書 尾崎弘之氏 "売れる事業計画"を書けるマーケターになるために
■ なぜ計画は計画通りにいかないのか?
「できるマーケターってどんな人ですか?」と聞かれることがあります。
これが意外と難しい質問で、売れる人、利益を出せる人、アイディアが湧き出る人などなど、答えの範囲がとても広いですよね。
そもそもマーケティングは、「顧客価値を生み出して収益を上げること」です。
マーケターはそのために「自社プロダクトを売るための計画」を立て、関連部署を巻き込み、その計画を会社として推進する人、ということになります。
調査・分析をして「準備」し、市場機会を見つけ、
何を、誰に、どうやって買ってもらうか、という「戦略」を立て、
誰が、いつまでに、何をやるのかという「行動計画」に落とし込みます。
マーケティング・プランの中身はこの「準備・戦略・行動計画」になります。
このプランを、上位者や経営陣に認可してもらい、実践に入ります。
とはいうものの、計画はあくまで計画。私も30年以上マーケティングの仕事をしていますが、「計画通り」にいったことは一度もありません。
考えてみれば当たり前で、計画に入れた内容の大半は「仮説」だからです。
では、計画を計画通りかそれ以上に推進できるマーケターはどんな人なのでしょうか?
それは、
①PDCAを素早く回して、適切な軌道修正ができる人 または、
②あらかじめ複数のシナリオを用意し素早く「次の一手」を打てる人
のどちらかです。
この本は、この②の次の一手すなわち「プランB」の重要性とその立て方を説明しています。
■ 計画を計画通りかそれ以上に推進するには
この本は、
- そもそも「プランB」とは何か?
- 「プランB」が発動できない理由
- 「プランB」を発動させる方法
という流れで「プランB」の作り方について説明しています。
この順で読み進めていくと、
- なぜ「プランB」を立てることが重要なのか?というWHYが腹に落ちます。
- そして、「プランB」を立てておこうとした時に、それを阻む理由がわかり、
- 準備する段階で何をすべきか?をいうWHATが腹落ちします。
- この2つを踏まえた上で、どうやって「プランB」を作成すればいいのかというHOWが理解できます。
多くのビジネス書は、このHOWの部分(それも一部だけ)に焦点を当てて書かれているため、読み手がどんな状況でそのHOWを仕事に生かせばいいのかが分からないことが多々あります。
この本ではそもそも論から順を追って、しかも企業の失敗と成功事例を交えながら説明しているため、HOWに偏りがなく多くの業界に当てはまる考え方になっています。さらに、「自分ならこうすればいいな」と読み手の仕事において、再現できる内容になっています。
使えるビジネス書とはこのように「普遍性と再現性」があるのです。
ビジネスは適者生存の世界です。環境や市場の変化に常に敏感で、まだ見ぬ衝撃にいつでも耐えられる姿勢でいなければなりません。
想定外の事象に対処するには「準備」が必要です。
そして、「プランB」の発動段階では会社を動かす力が必要になります。
この本は、売れる計画を立てる際の立案方法と、その実践方法の両方において参考にできる1冊です。