AI時代の広告とは?共感型マーケティングコミュニケーション

◾️ 【マーケティング担当者必見!】AI時代の広告とは

A I時代の今、効果が出るのはどんな広告なのでしょうか。

従来の広告の効果が下がっている、デジタルマーケティングでの広告クリック率も下がってきている、というデータがかなり報告されています。その大きな理由の1つは、明らかな宣伝では、ターゲット層が見る気にならないということが挙げられます。

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この現状を打破するには「企業が出す広告のあり方を根本から変えなければならない」ということです。

売ることや伝えること目的とする広告から、"共感を生成する"広告へとシフトするべきなのです。

目次
  1. ◾️ 【マーケティング担当者必見!】AI時代の広告とは
  2. ◾️ 共感を生成するAI時代の広告とは?
  3. ◾️共感型の広告が好まれる背景
  4. ◾️ AI時代の広告と従来の広告の違いとは?
  5. ◾️ AI時代の広告の基本戦略
  6. ◾️ AI時代の共感型広告の作成ステップ
  7. ◾️ まとめ

◾️ 共感を生成するAI時代の広告とは?

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ターゲット層の共感を呼ぶ広告の参考にできる事例を紹介します。

コカコーラの事例

少し前のコカコーラの事例です。コカ・コーラ社は「名前入りボトルキャンペーン」を実施しました。

2011年にオーストラリアで始め、世界中で大成功を収めた広告キャンペーンです。
コカ・コーラのボトルに個人の名前を印刷できるというキャンペーンで、自分自身や友だち、家族の名前が入った商品を手に入れる楽しみを提供しました。自分専用の特別感を演出したのです。

キャンペーンの特徴として、個人的なつながりを強調したこと、そしてソーシャルメディアと連携させたことにあります。消費者はこの名前入りボトルの写真をSNSに投稿し、話題を広めたのです。このソーシャルメディアでのシェアが口コミを加速させ、無料の広告効果を生みました。

ユーザーの一人一人に、パーソナライズされた商品を提供することで、広告の次の形を提示したのです。特別な体験の提供は共感を呼び、クチコミとして広まっていきます。キャンペーン実施後、コカ・コーラの売上が一時的に2桁成長を記録し、消費者とのエンゲージメントが高まり、ブランドへの愛着を深めました。

最近では、AIやDXなどのテクノロジーを活用した共感型の広告も増えています。

IKEAの事例

IKEAは、ソーシャルメディアでフォロワーの日常のインテリアをシェアするキャンペーンをやりました。ユーザーは、自分の部屋の写真を撮り、アプリを使ってIKEAの家具をAR技術で部屋に配置できる、という内容です。これによって、IKEAは、自社製品がユーザーの生活に自然と溶け込む様子を見せることに成功しています。

推し活の事例

「420円から始められる"推し活応援広告"」が話題になっていました。好きなアイドルやキャラクターを応援する個人が、小額で広告を出せる仕組みです。
今まで、広告は企業が出すものでしたが、DXの進化で個人も広告も出せるようになったのです。

この広告のポイントは、ファンと推しとの距離を縮められることと、ファンのエンゲージメントが劇的に高まる点です。まさに広告の民主化といえるでしょう。

今の時代に大事なのは、単なる売り込みの広告ではなくて、このエンゲージメント、顧客との双方向でのやり取りです。顧客との関わりがないと、共感につながらないのです。
顧客エンゲージメントについては、こちらの記事で説明していますので、参考にしてください。
顧客エンゲージメントとは?成果を出し、売り上げにつながる方法〜顧客離れを防ぐ戦略と施策の事例

このように、個人とブランドのつながりを強化することで、広告の新しい形を提示した成功事例です。この事例は、AI時代の広告変化とも関連性が高く、顧客の共感を引き出すクリエイティブの好例と言えるでしょう。

共感を基盤にしたエンゲージメントが、新しい成功基準となりつつあります。

◾️共感型の広告が好まれる背景

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顧客が共感をする、エンゲージメントが高まる広告が好まれる背景にある理由を挙げてみます。

  • 消費行動の変化:

今の消費者、特にZ世代は、従来の広告に響かない、売り込まれるのを嫌う傾向があります。彼らは情報が溢れている環境で育ち、広告に対する免疫力が高いのです。ユーザーは、自分が広告を選ぶ権利を持っていると感じたいのです

  • 双方向性の重視:

SNSなどで双方向のコミュニケーションに慣れており、一方的な情報伝達を嫌う、または無視する傾向にあります

  • パーソナライズされた体験への期待:

自分の興味や関心に合った、パーソナライズされた体験を求めています。すなわち、不特定多数にアピールするような広告や、一斉送信のようなメールは無視される傾向にあります

  • 共感と繋がりへの欲求:

物や情報が溢れていることもあり、商品を購入したり所有することだけでなく、共感や繋がりを求めています

  • 情報リテラシーの向上:

情報を見極める能力が高く、企業の本質を見抜こうとします
インフルエンサーの影響力: インフルエンサーの口コミやレビューを重視する傾向があります

◾️ AI時代の広告と従来の広告の違いとは?

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これらの変化を踏まえると、従来の広告とAI時代の広告には明確な違いがあります。

1)    一方通行 vs 双方向: 

  • 旧: 広告主が一方的にメッセージを発信
  • 新: 消費者の声を反映し、インタラクションを生む

従来の広告は一方的な情報伝達でしたが、AI時代の広告は双方向のコミュニケーションを重視します。これは、プッシュ型 vs プル型の違いとも言えます。従来の広告は企業からの一方的な情報発信(プッシュ型)でしたが、AI時代の広告は顧客が自ら情報を求める(プル型)傾向が強まります。

2)情報提供から共感生成へ:

  • 旧: 製品やサービスの特徴を伝える
  • 新: 感情に訴えるストーリー性

製品中心から体験中心へ:従来の広告が製品の特徴を強調していたのに対し、新しい広告はその製品を使用する体験や感情に焦点を当てます。

3)    マスマーケティング vs パーソナライズ: 

  • 旧: 同じメッセージを多数に発信
  • 新: AIを活用したターゲット広告

従来の広告は不特定多数を対象としたマスマーケティングでしたが、AI時代の広告は個々の顧客に合わせたパーソナライズされた体験を提供します。

◾️ AI時代の広告の基本戦略

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従来の広告と比べ、今評価される広告を作成するための戦略と事例を挙げます。

戦略1:ストーリーテリング広告:

飲料メーカーの事例では、商品そのものではなく、その飲料が人々の生活にどのように寄り添っているのかを描いた短編映画のような広告を制作しました。共感を呼ぶストーリーを通じて、ブランドイメージを高めることに成功しています。アマゾンは、プライムサービスの広告では、ワンちゃんを見て泣き出した赤ちゃんに、アマゾンでそのワンちゃんにつける仮面を買って、つけさせて赤ちゃんが笑うっていうストーリーの広告もこれに当たりますよね。

事例2:ユーザー参加型広告: 

あるアパレルブランドは、SNSでユーザーに自社製品を使ったコーディネート写真を投稿してもらうキャンペーンを実施しました。ユーザーが主体的に参加することで、共感と拡散を生み出すことに成功しています。

事例3:社会課題に寄り添う広告: 

Patagonia - 「Don't Buy This Jacket」キャンペーン (2011)ではテーマを 環境保護に消費者に対し、必要のないものを買わないよう促す逆説的な広告キャンペーンを展開しました。広告には、「このジャケットを買うな」というメッセージと共に、環境保護への企業の取り組みをアピールしたのです。ブランドの環境保護への信念が支持された、顧客の忠誠心が高まる一方で、販売数も増加する結果となりました。

◾️ AI時代の共感型広告の作成ステップ

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このような広告を作成するステップを紹介します。

1)    ターゲット顧客の徹底的な理解: 

まずは誰に届けたいのか、ターゲット顧客を深く理解することが重要です。彼らの価値観、ライフスタイル、興味関心などを徹底的に分析します。このフェイズでは、AIを活用して、顧客の関心や行動パターンをデータで分析することもできます。

2)    共感を呼ぶストーリーの構築: 

顧客の心に響く、共感を呼ぶストーリーを構築します。商品やサービスがどのように顧客の生活を豊かにするのか、感情に訴えかけるストーリーを描きます。

3)    双方向コミュニケーションの設計: 

SNSなどを活用し、顧客との双方向のコミュニケーションを設計します。顧客が参加できるキャンペーンやイベントなどを企画します。データ分析と最適化: 広告の効果をデータで分析し、継続的に最適化していくことが重要です。AIを活用することで、より効率的に効果測定と改善を行うことができます。

4)適切なプラットフォームを選定する:

ソーシャルメディア、動画プラットフォーム、個人化可能なメールなど。

5)データを基にPDCAを回す:

広告の効果を定期的に分析し、改善を重ねる。

◾️ まとめ

「AI時代の広告は、もはや単なる情報提供ではありません。顧客とブランドを感情でつなぐ、新しい価値を生む時代が到来しています。この変化をいち早く取り入れる企業こそが、次世代の市場で勝てるのです。

また、単なる情報伝達の手段ではなく、顧客との深い繋がりを築くための重要なツールです。共感を呼び起こし、顧客とのエンゲージメントを高めることで、ブランドの価値を高め、持続的な成長に繋げることができます。これからの広告は、顧客視点、共感、繋がりがキーワードになるでしょう。

執筆者

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役 理央 周(りおう めぐる)
石油会社、家電メーカー、大型車両メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、法人営業にマーケティングを注入する社員研修を提供。 2013年より2023年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で23冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典 

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