マーケティングに必要な情報の集め方と活用の方法:情報達人になるための8割捨てる情報術

◾️ 【初心者必見!】マーケティングに必要な情報とは?

あなたが見なければならないのは「事実」であって情報ではありません。

マーケティング活動の起点になるのは情報収集です。

一方で、情報が多すぎてどの情報が自社にとって本当に必要なのかを見極めるのが難しいし、
信頼できる情報かどうかがわからないので悩むことが多いのも事実です。

無駄な情報に振り回されると、時間の浪費にな理、意思決定も遅れ、戦略や打ち手のミスにつながります。

この記事では、マーケティング戦略の精度を上げるために必要な情報の選び方について、以下の内容で説明します。

  • 情報の取捨選択
  • マーケティング情報 4つの種類
  • 情報の活用方法

◾️ マーケティングに必要な情報はどれくらいあるのか?

なぜ情報が溢れているのでしょうか?
まず、どこからその情報がやってくるのか、考えてみたいと思います。

そこで、私たちに情報を運んでくるメディアについて考えてみましょう。

マーケティング情報の種類 情報術1.001.png

Web2.0と言われるインターネットが双方になる前まで、私たちはテレビや新聞、ニュースサイトなどマスメディアから情報を得ていました。

しかし、2007年iPhoneが登場しインターネット回線も3Gに増え、S NSも登場しました。ネット上でできることが増えたことから、個人が情報発信をするようになりました。当時はこれをC G M(=Consumer Generated Media)と呼んでいました。

この変化によって、直接テレビや新聞などでニュースソースを見る、すなわち一次情報だけでなく、個人や企業が解釈し発信する2次情報も得ることができるようになりました。

具体的には、Xやインスタグラム、facebookのようなS N Sや、YouTube、ニュースサイト、まとめサイトなどで発信される情報です。

つまり、1つのニュースがあってテレビや新聞などのメディアが取り上げた後に、ニュースサイトやSNSなど色々なメディアで受け取る、ということになります。したがって、同じニュースを、テレビで見たりXやYouTubeでも見ることになります。

ということは、情報そのものが増えているわけではなくて、情報が伝わってくるメディアが増えている、すなわち「情報の流通経路が増えている」のです。

このように、SNS、ニュースサイト、メール、報告書などから、私たちは日々膨大な情報を受け取ります。この膨大な情報の大半は、同じ内容を扱った情報であり、間違った解釈をして発信されている情報も少なくありません。多くはマーケティングに必要という意味では、ごくわずかです。

すなわち"ノイズ"なのです。

全ての情報が必要ではありません。情報メタボになってしまう前に、正しい情報を入手することが重要なのです。

今必要なことは、入ってくる情報をメディアごとに整理整頓して、取捨選別することが大事なのです。情報を集めることが上手な情報超人ではなく、入ってきた情報を選別して仕事に活かせる情報達人になるべきなのです。

◾️ マーケティングでの分析に必要な4種類の情報

マーケティングや営業のために、重要な情報について整理整頓していきます。
4種類のマーケティング情報 情報術2.001.png
そもそも、分析のための情報には4種類の情報があります。

1.    データ 数値情報

まず、数字で表せる量的な情報がデータです。これは売り上げや、シェア、認知度、為替の動きなどです。

2.    インフォメーション 質的情報

人の話とか状況といった数字ではない質的な情報、例えばお客様の声、ライバルの動きといった情報をインフォメーションと呼びます

3.     インテリジェンス 気づきの情報

そして、この2つの情報をもとに分析をします。

  • あなたの会社にとってどんな意味があるのか
  • これからどう変わっていくのか、ビジネスのチャンスはあるのか?
  • リスクはないのか、という感じで情報をどう解釈するのか
  • どう読み取るのか、どんな仮説を立てるか

という気づきをインテリジェンスと呼びます。
 
インテリジェンスを、私たちは知性とかIQ関連の単語と思ってしまいますが、マーケティングでは、データとインフォメーションを解釈して導き出された「気づき」のことだと考えましょう。 

4.     ウィズダム 知恵の情報

そして、あなたやあなたのチームメンバーが3の気づきの情報を持ち寄って、知恵を絞って考えて、出す情報をウィズダム、集合知と言います。3人集まれば文殊の知恵がこれです。
 
ちょっと事例で考えてみましょう。
 
あなたが、アクエリアスのような、スポーツドリンクの担当者だとします。
あなたの担当製品の都心部での売り上げがじりじりと下がってきたとします。これが1の量的なデータの情報です。
 
そして、周りの状況から考えると、どうも巣ごもりしているので、今まで売れていた都心のスポーツクラブがあいていない、また、逆にアウトドアで家族連れで郊外に出かける傾向がある、という声を聞いたとします。これが質的な情報のインフォメーションです。
 
この2つの情報をもとに分析をして、今まで都市部では若い層をターゲットにしてきたけれども、これからは郊外に出かける時に食料品をまとめ買いする、スーパーマーケットや、キャンプグッズを買うスポーツショップとの提携に力を入れた方が良いのではないかといった、ビジネスチャンスを発見するための気づきが3番のインテリジェンスです。
 
そして、あなたやあなたのチームの仲間と、みんなで知恵を出し合い、特別なパッケージを作ろう、とかイベントもやる方がいいよね、という売り伸ばしにつなげていくアイディアをウィズダムといいます。

もう少し、整頓していきましょう。
1と2のデータとインフォメーションはあなたが集めてくる情報です。つまりこれは、知る情報つまり生データです。
 
そして分析のフレームワークにその生データをポンと入れて、出てきた3と4の気づきと知恵が考えて出てくる情報、知恵ですよね。
いうまでもなく、この2つが重要なのです。
 
みんなで知恵を出しそれを戦略や、手法に落とし込むので、いかに質の高い、
チャンスや、リスクにつながる気づきを出せるかどうか、
が売れるかどうかの分かれ目になってきます。
 
一口に、情報といってもたくさんの種類があるので、まずはこういうふうに構造化してみることが大事です。
構造化のやり方については以下の記事で説明しているので参考にしてください。
「構造化」で 営業やマーケティングの課題を解決:成果を出せる思考の整理方法

そして大事なのは、知恵を出すために不要な情報を、多くの情報の中から厳選することです。

ノイズの情報に惑わされることなく、いらない情報を捨てて大事な情報だけを得て、良い気づきを得られるようにしていくことが大事なのです。

◾️ 不要な情報を捨てマーケティングや営業に活かす方法

この情報をもとに、マーケティングや営業に活かすにはどう動いていけばいいのか?について考えていきましょう。

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この4つの情報の中で、3番目のインテリジェンスをどう出せるか、が売れるかどうかの分かれ目です。

3のインテリジェンス 気づきの情報は、集めてきた情報が何を意味しているのか?という情報の裏にある意味、インプリケーション=含意とも呼ばれます。

私が最初に出した本の、アマゾンランキングがある日曜の朝から、急に上がり始めたことがありました、いろいろと調べてみたら、朝日新聞の書評欄で紹介されていたのです。これが1と2の、いわゆる生情報です。それまでに、他の新聞や雑誌、テレビでも取り上げられていましたが、この時の上昇度合いがいつもよりかなり高かったのです。

これらを踏まえると「書評については朝日新聞の読者層と親和性が高いな」「メディアパワーがあるな」といった気づきが得られました。これが3の含意です

この気づきを編集者さんと共有し、次回以降の出版に活かすにはどうすればいいのか?と知恵を出し合うのが、に4のウィズダムです。

◾️ 情報の選別方法

情報を選別し、マーケティングや営業に活用するためのステップを紹介します。

目的を明確にする:

自社の目標や課題を明確にしましょう。目的がはっきりしていれば、必要な情報も自然と見えてきます。

情報源を絞る:

信頼できる情報源を選びましょう。信頼性の低い情報は時間の無駄になります。

重要度と関連性を評価する:

情報の重要度と自社への関連性を評価しましょう。関連性の低い情報は捨ててしまっても問題ありません。

具体的な実践事例で説明します。

製造業の企業が新製品の開発を進めているとします。生データとして市場調査の結果や顧客フィードバックがあります。これらを分析して知恵と気づきを得ます。さらに、チーム全体の意見を取り入れた集合知を活用することで、より良い製品を開発するための戦略を立てることができます。

情報の多さに圧倒されることなく、必要な情報だけを選び出し、それを活用することでビジネスの成功に繋げることができます。今日お話しした方法を実践して、ぜひ効率的な情報活用を目指してください。

情報術に関しては、以下の動画でも説明しています。

この記事は以下の書籍の一部を解説しています。
8割捨てる情報術(理央 周 日本経済新聞出版社)

8割捨てる情報術 日本経済新聞出版.jpg

執筆者

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役 理央 周(りおう めぐる)
石油会社、家電メーカー、大型車両メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、法人営業にマーケティングを注入する社員研修を提供。 2013年より2023年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で23冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典 

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