【テンプレートあり】広告効果を最大化する「クリエイティブブリーフ」の作り方|5ステップ完全解説

◾️ 【広告担当者 必見!】成果を出せるクリエイティブブリーフの作り方とは?
「イベントに集客できない」「HPに問い合わせが来ない」「そもそも売れない」
広告や販促の作成にこのような悩みはつきものですが、なぜ上手くいかないのでしょうか?キャッチコピーのセンスがないから?それともクリエイティブが下手だから?実はそうではありません。準備せずに、いきなり広告を作ろうとすることが問題なのです。
解決策は、頭の中にあるモヤモヤをすっきりさせ、自社の方向性にマッチする広告の要素を整理することにあります。これを実現するのが「クリエイティブ・ブリーフ」です。
広告には、デザインや動画、キャッチコピーなどを入れていくので、広告表現は、チームで生み出していくアート作品のようなものです。
やはり、かっこよく綺麗で斬新なものを作りたい、でも、難しいを感じることが多いのではないでしょうか。なぜなら、自分が思っている「かっこいいもの」「斬新なもの」と、チームメンバーが思っている「カッコよさ」や「斬新さ」がまちまちだから「あれ、こんなはずじゃなかった」となるのです。広告の制作を、外部に依頼する時はなおさらです。
広告やキャンペーン、チラシやホームページを作り始める前に、まずは意思統一をしておくと、関わる全員が同じ方向を向くことができます。
そのために、マーケティング部で広告代理店さんに依頼して広告を作るときには、必要なことを「クリエイティブブリーフ」という一覧表に社内でまとめておくのです。
◾️ クリエイティブブリーフとは?
クリエイティブブリーフとは、広告やマーケティングキャンペーンの制作において、方向性や目的を明確にするための文書です。
広告のコンセプトから実施、会社内での承認までの道のりをガイドする地図のような役割を果たします。上の図にあるように、クリエイティブブリーフは、
- 広告の目的とコンセプトを固めて
- ターゲットと自社の差別化ポイントを明確にした上で
- 顧客価値=顧客への約束をどう表現するかを決め
- 広告のタイミングと予算を決め
社内での承認をとり実施する
というプロセスの中で「何を」「だれが」「いつまでに」すべきか、というガイドラインを明確にしてくれる地図なのです。
したがって、クリエイティブブリーフには以下のような情報が記載されています。
1)プロジェクトの背景と目的:
広告やキャンペーンの目的(例:認知度向上、リードの獲得、直接販売の促進)を明確にします
2)ターゲットオーディエンス:
広告が誰に向けられているのか、ターゲットとなる顧客の詳細なプロフィール(年齢、性別、趣味嗜好、ライフスタイルなど)を描きます
3)主要メッセージとトーン:
広告で伝えたい主要なメッセージと、そのメッセージをどのようなトーンで伝えるかを決定します(例:信頼性を強調するのか、楽しさを強調するのか)
4)競合分析と差別化ポイント:
競合他社の広告を分析し、自社の強みや独自のポイントを明確にします。これにより、競合との差別化が図れます
5)媒体選定と予算:
広告をどの媒体で展開するのか、そしてそのための予算を明記します。各媒体の特性を理解し、最適な媒体を選びます。
◾️クリエイティブブリーフを作成する理由
クリエイティブブリーフがないとどうなるのでしょうか? クリエイティブブリーフがないまま広告を作るのは、レシピなしで料理をするようなものです。レシピがないとどんな料理ができるのかわからず、期待通りの味にならないように、クリエイティブブリーフがないと広告の目標が不明確になり、効果的なメッセージが伝わりません。
クリエイティブブリーフなしで広告を作成すると、以下のような問題が発生します。
1)方向性の喪失:
目標や目的が明確でないため、広告の方向性が定まらず、メッセージが一貫しません。これにより、ターゲットオーディエンスに対して効果的に訴求できず、広告が他の広告に埋もれてしまいます。
2)資源の浪費:
明確な計画がないため、リソース(時間、予算、人材)が無駄に消費されます。材料の使い方や分量がわからず、料理がうまくいかないように、広告要素が効果的に活用されません。
3)制作プロセスの混乱:
クリエイティブブリーフがないと、制作プロセスが整理されず、混乱や誤解が生じやすくなります。手順を間違えて失敗するリスクが高まり、結果的に品質の低い広告が出来上がります。
広告代理店、Web制作会社、印刷会社に広告制作を依頼する段階でよく当たる問題が、依頼側と制作側のミスコミュニケーションです。私もマネージャー時代に、「広告代理店さんが思い通りの案を出してくれない」と部下のチームメンバーから相談を受けました。
実は、このようなケースでは依頼をする側に問題があることが多いのです。
戦略がぶれると、戦術もぶれ、正しいものが作れなくなります。広告メッセージの開発も同じで、はっきりとした方向性や戦略がないと、思い描くようなメッセージができないのです。
広告制作において、この戦略を考えるのが依頼側です。そしてどんな人に何を伝えるのかという広告戦略を受けて、依頼する制作会社側が広告メッセージに落とし込んでいきます。したがって、依頼側ができる限り具体的に「メッセージに込めたい戦略と思い」をはっきりさせておくことが重要なのです。これは社内で作る時も同じです。
広告のメッセージ開発は、アート作品のようにゼロから作り上げていくものなので、依頼側と制作側がそれぞれ「よいと感じる」デザインやコピーがまちまちです。できる限り意思統一をするために依頼内容をコンパクトにまとめる「オリエンシート」がこのクリエイティブブリーフなのです。
書いたものとして「残す」ことで、あとあと「なにか頼んだものと違うな」と感じたとしても、一旦ここに戻って確認することで、次の適正な修正につながります。会議の議事録と同じで共通の認識を持てることを目指すのです。
◾️ クリエイティブブリーフの効果
クリエイティブブリーフを作成することで、以下のような効果を狙います。
1)明確な目標設定と一貫性の確保:
目標が明確になることで、広告の方向性が定まり、一貫したメッセージを伝えることができます。これにより、ターゲットオーディエンスに対して効果的に訴求でき、広告の成功率が向上します。
2)効率的なリソース活用:
クリエイティブブリーフを元に計画を立てることで、リソースを効率的に活用できます。無駄なコストや時間の浪費を防ぎ、予算内で最大の効果を発揮する広告を制作することができます。
3)スムーズな制作プロセス:
クリエイティブブリーフがあることで、制作プロセスが整理され、チーム全体が同じ方向を向いて進めるようになります。これにより、誤解や混乱が減り、スムーズに広告制作が進行します。
4)効果的な競合差別化:
競合分析と差別化ポイントを明確にすることで、ターゲットオーディエンスに対して自社の強みを効果的にアピールでき、競合他社との差別化を図ることができます。
5)ターゲットに響く広告:
ターゲットオーディエンスを深く理解することで、そのニーズや課題に対して的確に応える広告を制作することができます。これにより、ターゲットの関心を引き、行動を促す効果が期待できます。
クリエイティブブリーフを用いることで、広告の効果を最大化し、目標達成に向けた確実なステップを踏むことができるのです。
◾️ クリエイティブブリーフの作成ステップ
クリエイティブブリーフの作成手順を、製造業向けのI Tツールを販売する企業の事例で説明します。
【STEP 1】目的(ゴール)を明確にする
まずは「この広告で何を達成したいのか?」という目的(=ゴール)をはっきりさせます。
具体的には:
- 売上増
- 新規顧客の獲得
- イベントへの集客
- 商品やサービスの認知拡大
- サイトへの問い合わせ増加 など
▶ポイント:
売ることや販売の方法だけでなく、「誰に向けるのか」「何をしてもらうのか(行動)」を意識していくことが重要です。
▶事例:
製造業の展示会出展用の広告であれば、「製品の導入相談を3件以上得る」が目的になります。
【STEP 2】ターゲット(誰に)を明確にする
広告を届けたい相手を具体的に描きます。
- 年齢・性別・職業・役職・業種
- 抱えている課題・悩み
- 価値観・行動パターン
▶︎ポイント:
ペルソナレベルまで絞り込むのが理想的です。
▶︎ 事例:
「ITツール導入を検討している中小企業の情報システム部長。従業員数50〜300名規模で、既存のシステムに不満を持っている。」
【STEP 3】提供価値・伝えたいメッセージを決める
この広告で「どんな価値」を伝えたいのかを整理します。
- なぜそれが必要なのか?
- 他とどう違うのか?(差別化ポイント)
- お客さまが得られる成果や未来
▶︎ポイント:
単なる商品の説明ではなく、「顧客にとってのベネフィット(利点)」**にフォーカスします。
▶︎ 事例:
「クラウド型生産管理システム。『在庫管理が紙とエクセルから解放され、リアルタイムで把握できるようになる』ことが導入のメリット」
【STEP 4】トーン&マナーを決める
広告の一貫性を維持すること、また、伝いたいメッセージを強化するために「雰囲気」「話し方」「デザインテイスト」などを決めます。
- 信頼感を重視したい → フォーマルで丁寧な表現
- 若い層にアプローチしたい → 砕けた口調やカジュアルな色使い
- 高級感を出したい → ミニマルで洗練されたデザイン
上記をベースにして、キービジュアル、メインにするカラーやフォントを決めていきます。
▶︎ポイント:
抽象的な概念ではなく、具体的なデザインルールとして落とし込むことが重要です。
▶︎ 事例:
製造業向けのBtoB広告の場合、信頼・安定感を重視して、堅めのトーンで実績を強調するスタイルにする
【STEP 5】成果指標(KPI)を設定する
広告の成功をどう判断するか、具体的な数値目標を設定します。
- 広告クリック数
- 問い合わせ件数
- イベント申込数
- 資料請求数 など
▶︎ ポイント:
過去の実績と比較し、改善につながるように設定する。ゴールの数字(K G I)とのリンクを明確にすることが重要です。例:売上目標がKGIなら、それに直結する「新規顧客数」や「平均購入単価」をKPIとして設定する
▶︎ 事例:
「広告配信から2週間で、ランディングページへの訪問数1,000件、問い合わせ30件を目標とする」
◾️ クリエイティブブリーフの作成テンプレート
実際には、以下のような一覧表の形式でクリエイティブブリーフを作成します。
クリエイティブブリーフのテンプレートを差し上げますので、ご希望の方は以下のフォームよりお申し込みください。
→ マーケティングアイズ株式会社 問い合わせフォーム
1. 実務事項の記載
まず、誰がいつまでにやるか、という事項を記載します。
具体的には;
- 記載日
- 記入者及び連絡作
- プロダクト名称
- 広告の納期
- 依頼者名と担当社名
- プロジェクトの開始予定日と終了予定日
2. ビジネス上のゴール
キャンペーンで得られる成果はなにか?というKGIを記載します。
具体的には、売上増、新規顧客の獲得、イベントへの集客などです
3. 自社の現状
自社の現状を正確に記載します。
自社の問題点は何か
なぜ、そうなっているのか?という理由
どう解決したいのか?という課題と方針
4. キャンペーンの全体像
どの製品・サービスのためのキャンペーンなのか?を具体的に記載します。
5. ターゲット像
ターゲット像をセグメンテーションごとに記載します。特に、顧客の価値観やライフスタイルという顧客インサイトをできる限り詳しく記載します。何を大事にしている人か?という価値観や普段何をしているかというライフスタイルなどです。
ターゲット設定の方法については、以下の記事で説明しているので参考にしてください。
クリック→ STP分析とは?目的、やり方、活用方法とAmazonの事例で解説
BtoBビジネスの場合は、意思決定の基準は価格なのか品質なのか、とか、保守的な企業なのか新しいものを取り入れる企業文化なのか、といった具合です。
メインターゲット層のみでなく、第2優先ターゲット層まで書くのが理想です。
また、ペルソナも同時に作成しておくといいでしょう。
ペルソナの作り方については以下の記事で説明しているので参考にしてください。
→ ペルソナの作り方〜売上増につなげる作成方法、意識統一、社内浸透までのプロセス

6. 顧客の現状
顧客が今抱えている問題点、悩み、課題感、やりたいこと、ニーズをリストアップします。
7. 自社独自の強み
6で考えた顧客のニーズを解決できる自社の強みを挙げ、その中から競合他社ができないことに絞ります。バリュープロポジションの考え方を用いるといいでしょう。
バリュープロポジションについては以下の記事で説明しているので、参考にしてください。
→ バリュープロポジションとは?顧客価値で選ばれる差別化をする方法を事例で解説
8. 顧客をどう変えたいのか
キャンペーンで顧客の行動を、どう変えるのか?を具体化します。
顧客が感じる価値は何か?顧客にどんな約束をするか?をリストアップし、その中から顧客がどう動くか、を挙げていきます。
顧客の行動は、契約や購入のみでなく、情報を探したくなる、店頭に行きたくなるなども含めて広く捉えるのがポイントです。
9. どんなトーンで語りかけたいのか
キャンペーンのコピーやデザインをどのようなトーンにしたいのかを記載します。
シリアスで誠実なイメージにしたいのか、目を惹くユーモラスなトーンにしたいのか、などです。
10. メッセージをまとめてみる
このキャンペーンを自分の言葉でまとめます。
自社独自のX X用いて、Y Yのような顧客層を、Z Zの動かしたい
といった具合です。
11. キャンペーンでやらないこと
今回のキャンペーンでやらないことを記載します。
例えば、機能性を押し出すキャンペーンは次回に回す、競合との比較広告は打たない、といった具合です。
このクリエイティブブリーフのテンプレートを差し上げますので、ご希望の方は以下の弊社問い合わせフォームよりご依頼ください。
→ マーケティングアイズ 申し込みフォーム
◾️ まとめ
広告や販促で「売れない」「反応がない」と悩む原因の多くは、いきなり広告を作り始めてしまうことにあります。その根本的な解決策が「クリエイティブブリーフ」。広告の目的やターゲット、伝えるべきメッセージを整理し、関係者全員の方向性を揃えるガイドラインのようなものです。
これがないと、広告の方向性がぶれたり、無駄なやり直しが発生したり、効果が出ない広告になるリスクが高まります。反対に、しっかりとクリエイティブブリーフを作成すれば、社内外の連携もスムーズになり、訴求力のある広告が完成しやすくなります。
具体的な作り方としては、「目的の明確化」「ターゲット設定」「伝える価値の整理」「トーンとデザインの方向性」「KPIの設定」などを順に整理することがポイントです。
このブログでは、マーケティングや営業に役立つ記事を掲載しています。
他の記事も読み、ビジネスの参考にしてください。
この記事については、以下の動画でも説明していますので参考にしてください。
執筆者
家電メーカー、石油会社、大型車両メーカー、高機能フィルムメーカー、建築部品メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、顧客視点の顧客文化にするマーケティング社員研修を提供。 2013年より2024年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で24冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典
売れる広告の作り方についてもっと聞いてみたい、クリエイティブブリーフの書き方を知りたい、新しいビジネスを軌道に乗せたい、など、
この記事についてのご不明点やご質問、お問い合わせは、マーケティングアイズ株式会社のフォームからどうぞ
(以下をクリックください)