5000日後の未来 ケヴィン・ケリー氏著〜DX時代:テクノロジーに使われず使いこなすために 

■ 私がこの本を手に取った理由

マーケティングの仕事は、顧客ニーズを充足することにある。

そのためには、
過去に起きたことを参考にし、
今起きていることを正しく把握し、そして、
将来起こるであろうことを想像しすることから始まる。

将来の予測は、正確である必要はないが、
ぼんやりとは掴んでおきたい。

それは、自分の考えの範囲の中だけでは十分ではなく、
広くアンテナをはっておくといい、と思っている。

ビジョナリーとしてのケヴィン・ケリー氏の、
この本での未来予測を参考にしたくて読んでみた。


■ この本の特徴とポイント

私がこの本で最も響いたのは、
これからの5000日はこれまでよりも大きな、
精神的なことが起きる」との点だった。

序盤では、テクノロジーやオンラインの世界のことが中心に語られている。

インターネット、ソーシャルメディアに続く、第3のプラットフォームは、
セマンティックWebによる、物理的に全世界をデジタルでつなぐミラーワールドになるとの予測。

また、これまでの破壊的テクノロジーの歴史のレビューや、
没入型コンピューティングの時代についてのことも、
オンライン、デジタル世界の描写だと感じて読んでいた。

しかし、テクノロジーとどう付き合っていけばいいのか、
という視点で読み直してみると、

  • 選択肢の多様性が進むであろうこと
  • 高齢者のテクノロジーへの慣れが進むと若者が負ける時代になる
  • 面倒なものはAIに任せクリエイティブな仕事に注力すればいい

といった「テクノロジーに使われることなく、
人がどうテクノロジーを使いこなせばいいのか
という興味深い示唆が、行間に見えてくる。

  • 中でも、教育の未来に関しては私も大学教授として興味が惹かれた
  • ARやVRの技術は教育を激変させるであろうこと
  • リアルな大学での講義やキャンパスは有用で無くならない
  • 将来は高校から課題を立てて、みんなで取り組むようになる
  • 学んだ人から学ぶ時代
  • プロジェクト・グループ方式で学ぶことの有用性
  • 学校教育はジェネラリストを育てなければならない

といったポイントは、マーケティング人材の育成や、
顧客視点を持つ人財の素養開発への、
大きなヒントになった。

そして自分の専門外の専門家の意見は、
大きな刺激になり、
自分の成長を助けてくれる。

その意味でも多くのビジネスパーソンに有益な1冊だ。

こんな人にオススメ- 現状を打破したい経営者
- スタートアップ・起業家または目指している人
- 業務の延長線上にない発想がしたい人

売れない問題解決ポイント- 自分が持つ常識の外に広がる世界があることを知れる
- それにより広い視野でクリエイティブな発想ができる
- 未来予測、市場推定の参考にできる