2022.11.26
マーケティング
5000日後の未来 ケヴィン・ケリー氏著〜DX時代:テクノロジーに使われず使いこなすために
■ 私がこの本を手に取った理由
マーケティングの仕事は、顧客ニーズを充足することにある。
そのためには、
過去に起きたことを参考にし、
今起きていることを正しく把握し、そして、
将来起こるであろうことを想像しすることから始まる。
将来の予測は、正確である必要はないが、
ぼんやりとは掴んでおきたい。
それは、自分の考えの範囲の中だけでは十分ではなく、
広くアンテナをはっておくといい、と思っている。
ビジョナリーとしてのケヴィン・ケリー氏の、
この本での未来予測を参考にしたくて読んでみた。
■ この本の特徴とポイント
私がこの本で最も響いたのは、
「これからの5000日はこれまでよりも大きな、
精神的なことが起きる」との点だった。
序盤では、テクノロジーやオンラインの世界のことが中心に語られている。
インターネット、ソーシャルメディアに続く、第3のプラットフォームは、
セマンティックWebによる、物理的に全世界をデジタルでつなぐミラーワールドになるとの予測。
また、これまでの破壊的テクノロジーの歴史のレビューや、
没入型コンピューティングの時代についてのことも、
オンライン、デジタル世界の描写だと感じて読んでいた。
しかし、テクノロジーとどう付き合っていけばいいのか、
という視点で読み直してみると、
- 選択肢の多様性が進むであろうこと
- 高齢者のテクノロジーへの慣れが進むと若者が負ける時代になる
- 面倒なものはAIに任せクリエイティブな仕事に注力すればいい
といった「テクノロジーに使われることなく、
人がどうテクノロジーを使いこなせばいいのか」
という興味深い示唆が、行間に見えてくる。
- 中でも、教育の未来に関しては私も大学教授として興味が惹かれた
- ARやVRの技術は教育を激変させるであろうこと
- リアルな大学での講義やキャンパスは有用で無くならない
- 将来は高校から課題を立てて、みんなで取り組むようになる
- 学んだ人から学ぶ時代
- プロジェクト・グループ方式で学ぶことの有用性
- 学校教育はジェネラリストを育てなければならない
といったポイントは、マーケティング人材の育成や、
顧客視点を持つ人財の素養開発への、
大きなヒントになった。
そして自分の専門外の専門家の意見は、
大きな刺激になり、
自分の成長を助けてくれる。
その意味でも多くのビジネスパーソンに有益な1冊だ。