法人営業で選ばれるためのブランディングとは?:顧客との絆を築く5つの方法
◾️ BtoBビジネスにおいてブランディングとは何をすることなのか?
うちの会社も、ブランディングをしたいんです。
でも、消費財じゃなくて、法人営業なのでどうすればいいのか、わからないのです。
という相談をよくいただきます。
ブランディング、特にBtoB、法人向けビジネスでのブランディングについてどう構築していけばいいのか、と悩む経営者、事業責任者の方も多いのが事実です。
まず、どうすればブランディングができるのか?という手法を考える前に、そもそもブランディングとは何なのか?ということを自分の中で、認識することが重要です。
ブランディングってなんでしょうか?
綺麗に見せること?でしょうか、それとも、覚えてもらえるロゴを作ること?でしょうか。
「営業マンは自分をブランディングして顧客に覚えてもらおう」
というようなことをよく聞きます。
◾️ ブランド、ブランドマーケティング、ブランディング
ブランディングを考える前に、ブランドとは何か?を定義していきましょう。
AMA(American Marketing Association)によるブランドの定義とは
「市場に存在する他社と区別をするための自社独自のシンボル、マーク、ロゴ、ネーミング、文章、またはその組み合わせ」(理央 意訳)
(原文: A brand is any distinctive feature like a name, term, design, or symbol that identifies goods or services.)と定義されています。
それだけでしょうか?
このブランドを、マーケティングの考え方で活用していくことを、ブランドマーケティングと呼びます。同じようにAMAでは以下のように定義しています。
「ブランド マーケティングは、競合他社と差別化する独自のアイデンティティ、価値観、認識を作成することにより、市場でブランドを促進し、確立するために企業が使用するアプローチです。ブランド マーケティングは、広告、広報、コンテンツ マーケティングなどの活動を通じて、消費者と感情的につながり、ロイヤルティを構築し、最終的には売上と市場シェアを拡大することを目的としています」(理央 意訳)
(原文: Brand marketing is the approach used by companies to promote and establish a brand in a market by creating a unique identity, values, and perceptions that differentiate it from competitors. Brand marketing aims to connect emotionally with consumers, build loyalty, and ultimately drive sales and market share through activities like advertising, public relations, and content marketing.)
では、この2つを踏まえてブランディングとは何を指すのでしょうか?
AMAでは、「企業ブランディングは、企業または組織のアイデンティティを確立および管理するプロセスです。」(理央 意訳)(原文: Corporate branding is the process of establishing and managing a corporation or organization's identity.)
つまり、
- ブランドとは他社と区別するためにデザインされたロゴ
- ブランドマーケティングはブランドを活用して顧客の感情に訴えかける活動
- ブランディングは企業のアイデンティティをはっきりさせること
ということです。
◾️ ブランディングで最も大切なことは?
ブランド、ブランドマーケティング、ブランディングの違いを踏まえた上で、ブランディングをしていく上で、これだけは押さえておくべき、というポイントが1つあります。
それは、ブランディングとは、単にロゴやデザインを作ることではなく、
「顧客にブランドの価値を正しく伝え、信頼と共感を得るためのプロセス」
だという点です。
「製品は工場で作られるが、ブランドは心の中で作られる」
ブランドの大家、ウオルターランドー氏の言葉です。
ブランディングは、顧客との深い絆を築くプロセスです。顧客があなたのブランドと共感し、
信頼を築くための基盤を構築することなのです。
◾️ マーケティングとブランディングの関係は?
マーケティング活動の中で、ブランディングがどのような役割をすべきなのか、を考えていきましょう。
マーケティングは「売れる仕組みを作ること」です。
ブランディングは「ブランドが選ばれ続ける理由を作ること」 だと言えます。
売れるための仕組みがマーケティング、
仕組みの中で、覚えてもらえるための努力がブランディング、
契約を取る、買ってもらうところが営業、
その後にリピート、ファンになってもらうこともブランディングです
BtoBビジネスの場合、単なるロゴや見た目の良さだけではなく、顧客から見たときに、
「信頼できるパートナーである」
と思われることがポイントになります。
マーケティングは、市場を把握し、戦略を立て、計画を実践するプロセスです。
一方、ブランディングは、ブランドのアイデンティティ=らしさですね これを築いて、顧客との関係を深めることです。
車の販売ではマーケティングですが、特定の車メーカーに対する愛着や信頼感はブランディングの結果です。
見た目がいいカタログやロゴを作ることだけがブランディングではない ということです。 これらは「ブランドを表現する手段」であって、ブランドの本質ではありません。特にBtoB法人向けのビジネスでは、「その企業がどれだけ信頼できるか」が製品や価格と同じように選ばれる、またリピートされる理由になります。
ブランドの究極の目標は、 共感による顧客との絆を作ること です。「この企業となら一緒に成長できる」という信頼感を得る必要があります。 そのためには、商品そのものだけでなく、企業としての姿勢、価値観、誠実さが問われます。
◾️ BtoBでのブランディングで発信するコンテンツ
あるI T企業の事例
では、具体的にどうやってブランディングをしていけばいいのでしょうか?
BtoB、法人ビジネスで効果を出したブランディングのプロセスを、IT企業の事例で説明します。
システムを開発、販売をしているI T企業のA社の事例です。A社では、自社のシステムを販売する際に、単に価格や機能をアピールするのではなく、導入後のサポート体制やカスタマイズ対応の実績を徹底的に紹介しました。この結果、クライアントは「この企業なら安心して任せられる」と判断し、長期契約につながったのです。 このケースでは、 顧客がその企業に信頼を寄せるまでのプロセスがブランディング の成果と言えます。
具体的なブランディングのプロセス
BtoBの製造業、特に建築部品メーカーの法人営業において、ブランディングを強化するための具体的なマーケティング活動を以下にリストアップします。これらの活動を通して「信頼」と「顧客との絆」を築き、選ばれ続けるための基盤を作るのです。
それを、発信するべきコンテンツとどうやって発信していくかという手法についてそれぞれ、
具体的に説明していきます
以下が、ブランディングするために発信するコンテンツの事例です。
顧客価値を伝えるための情報発信
製品の信頼性を示す 技術資料やケーススタディ を作成し、提供する。
品質試験データ や規格適合証明書など、安心して導入できる根拠を公開。
製品導入後のコスト削減や耐久性などを示す ROI分析レポート の配布。
ブランドの信頼性を高める認証・パートナーシップ
業界標準の 認証取得 や規格適合を積極的に推進。
建築業界の著名な設計事務所やゼネコンと 共同プロジェクト を行い、成功事例を公開。
顧客の声を活用する
既存顧客にインタビューを実施し、満足度や成功事例を集めて 成功ストーリー を構築。
不満や改善点を積極的に受け入れ、ブランド向上のための フィードバックループ を作る。
サステナビリティをブランディングに活用
環境に優しい素材や製造プロセスを導入し、それを 具体的なデータ で発信。
製品が建築物のエネルギー効率向上や環境負荷軽減にどのように寄与するかを示す シミュレーションデータ を提供。
環境や社会に配慮した取り組みを顧客に オープンレポート として発信。
◾️ BtoBでのブランディングで発信するための施策
これらのコンテンツをターゲット層に周知するための施策について説明します。
顧客との関係を深めるイベントやコミュニケーション
工場見学やオンラインでの製造プロセス公開で 透明性 をアピール。
既存顧客向けの 技術セミナー を開催し、製品の活用ノウハウを共有。
大規模プロジェクトや設計事務所向けに、 共同ワークショップ を実施。
顧客体験を向上させる取り組み
製品導入前に 試作品提供 や 仮設置テスト を実施。
問い合わせから見積もり、製品納品までのプロセスを 効率化・可視化。
アフターフォロー体制を強化し、専用の カスタマーサポート窓口 を設ける。
デジタルマーケティングの活用
自社ウェブサイトで 実績事例や動画 を掲載し、ブランド価値を視覚的に伝える。
SNSや業界専門メディアでの 顧客インタビュー動画 を公開。
顧客に合わせた パーソナライズド・メールマーケティング を行い、価値の再提案を実施。
社員のブランド力を高める
法人営業チームに 顧客視点の営業トレーニング を実施。
ブランドストーリーやビジョンを全社員に浸透させ、統一されたメッセージを発信。
営業担当者が顧客の課題解決の「アドバイザー」になれるよう、 業界知識を深める研修 を行う。
◾️ ブランディングでの留意点について
ブランディングをしていく際に、注意すべきポイントについていくつかリストアップしていきます。
ブランドの一貫性を維持する
すべてのタッチポイント(ウェブ、営業、製品資料など)で 一貫したメッセージ を使用。
コーポレートカラー、ロゴ、トーン&マナーを守り、プロフェッショナルな印象を統一的に提供。
継続的なブランド価値向上を目指す
定期的に市場や顧客ニーズを調査し、ブランドが顧客期待に応え続けているか評価。
顧客と共に新製品やカスタマイズのアイデアを開発する 共創プロジェクト を推進。
定期的にブランドメッセージや戦略を見直し、時代に合った価値を提供し続ける。
ブランディングに対する取り組みをすることによって、BtoB事業者が単なる「部品提供者」「サービス提供者」というもの売りから、顧客にとって「価値を共有するパートナー」になることができるのです。ブランディングは、顧客との長期的な信頼関係を築きながら、競争優位性を確立できる重要な事業戦略の1つなのです。
この記事の内容を動画で説明しています。
マーケティングアイズ株式会社 理央 周
ブランディングに悩んでいる、ブランディングをしていきたい、新規顧客を獲得する仕組みを作りたいなど、
BtoBマーケティング、法人営業についてのお悩みやご質問、お問い合わせは、マーケティングアイズ株式会社のお問い合わせフォームからどうぞ
(以下をクリックください)