2024.12.02
人財開発

法人営業に有効なマーケティング思考の持ち方

◾️ 【経営者必見!】マーケティング思考とは?

マーケティング思考ってどういう思考法ですか?と聞かれたら、あなたはどう答えますか?

「うちの会社の社員に、マーケティング思考を持たせたいんですよね」
という課題感を持つ経営者や人事責任者も多くいます。
やはり、本質的なマーケティング思考を、社内、特に営業組織に浸透させるのが難しいことが伺えます。

マーケティング思考とは、
顧客視点で物事を考え、顧客のニーズを満たすためにどうすれば良いか
という思考で常にいる姿勢を指します。

これは、単にWebマーケティングのスキルがある、とか、リサーチが得意といった手法のことではなく、顧客の立場で考え、顧客に何ができるのか?を考える姿勢でいるが大前提なのです。

◾️ なぜ、マーケティング思考が重要なのか?

このような、マーケティング思考がなぜ重要なのでしょうか?
ビジネスの状況が、激変する今以下のような変化が市場と顧客に起こっているためです。

顧客中心の時代になっているという事実です。商品やサービスと情報があふれる今、顧客は単に製品やサービスを求めているのではなく、自社・自分にとってより価値や効用のあるものを求めています。

また、情報を発信できるメディアが多様化し、身近になっているため、顧客が情報を容易に入手できる時代でもあります。こうなると、競争がますます激化し、競合との差別化を図るためには、顧客のニーズを的確にとらえることが不可欠です。

この変化する市場に対応するためには、顧客の立場でのマーケティング思考が求められます。

顧客に売り込みをするというセリング思考とは逆の発想になるので注意が必要です。
マーケティング思考とセリング思考の違いについては以下の記事を参考にしてください。
顧客の心をグッとつかむマーケティングマインドとは?社員をマーケティング思考にする方法

◾️ マーケティング思考なしで営業をするとどうなるのか?

マーケティング思考なしで営業することは、地図もコンパスも持たずに、ただ漠然と目的地を目指して旅をするようなものです。

顧客のニーズや市場の状況を把握していないため、正しい方向に進めなず道に迷う可能性があります。

また、最短ルートではなく、遠回りをしてしまい、時間がかかってしまうかもしれません。
最終的に、目的地にたどり着けない可能性が高まります。

営業活動で次のような問題があるときは、マーケティング思考になっていないことが考えられます。

1 顧客ニーズとのズレが出てしまう

的外れな広告: 

顧客が本当に求めているものとは異なる内容の広告になり、反応が少ない、集客ができないという問題にあたる。

不適切な提案: 

顧客の状況や課題を理解していないため、ニーズにマッチしない製品やサービスを提案してしまう。ひいては、受注につながらない。

2 競合との差別化ができていない

価格競争・値引き合戦に陥りやすい:

独自の価値を提案できず、価格競争に巻き込まれ、利益率が低下している。

コモディティ化: 

他社と同様の広告や提案になり、競合との差別化が難しく、成約率や受注率が低い。

顧客との信頼関係が築けない

長期的な関係構築が難しい:

顧客の課題解決に貢献できていないので、一時的な取引に終わってしまう。顧客が離れていく。

一方的に売り込んでしまう: 

顧客の意見を聞かず、一方的に商品やサービスを売り込もうとするため、不信感を与えてしまっている。

費用対効果が低い

営業しても成果に繋がらない: 

顧客の心をつかむことができないので、成約率が低いままの状態が続く。

無駄な広告費: 

効果の測れない広告に費用をかけてしまい、無駄な支出となっている。

このように、マーケティング思考が足りないと、顧客からの信頼や理解が得られずに、ブランドイメージが低下し、企業全体の損失に繋がってしまいます。

◾️ マーケティングマインドを持つことのメリット

営業のスキルは重要ですが、営業に出かける前の準備段階や、全体の営業戦略を考える時から、マーケティング思考があると、個々の営業スキルがさらに生きてきます。

マーケティング思考を持つことで、営業がこう変わる、というポイントを3点以下に挙げていきます。

顧客を深く理解できる: 


顧客の気持ちになり、顧客の立場で考えられると、顧客も気づいていない本当のニーズを理解できるようになる。
マーケティングのアプローチで、仮説を立てられるようになると、顕在化しているニーズだけでなく、顧客が潜在的に抱えているニーズを見つけられるようになる。

ニーズに合った提案ができる: 

発見した顧客の潜在ニーズに合った提案ができるようになる。
潜在的なニーズは、顧客自身も競合も知り得ない情報なので、競合より優位に立てる。

創造性が上がる: 

マーケティング思考で出す新しいアイデアは、顧客が期待する以上の価値を提供できる。

◾️ マーケティング思考の持ち方

マーケティング思考を持つには以下のようなアプローチが有効です。

1. 顧客の声に耳を傾ける

顧客との直接的な会話やフィードバックを通じて、彼らのニーズや課題を積極的に理解することが重要です。これにより、顧客が求めている本当の価値を見出し、それに応える戦略を立てることができます。

事例:
スターバックスは、店舗のアンケートやSNSで顧客の意見を収集し、それを基に新メニューを開発しています。例えば、顧客からのリクエストを受けて、季節限定ドリンクのフレーバーを追加することがあります。

2. 観察力を養う

顧客の行動、購買パターン、店舗内での動きなどを観察することで、彼らが言葉では表現していない潜在的なニーズを発見することができます。

事例:
IKEAは、顧客が店舗内で家具をどう試し、どのような商品に興味を示しているかを観察することで、商品の配置や店舗デザインを改善しています。顧客が店内で実際に生活空間を体験できるショールーム形式は、観察から生まれたアイデアです。

3. 共感力を高める

顧客の立場や感情を理解し、それに共感することで、顧客に寄り添ったサービスや提案が可能になります。共感力は顧客との信頼関係を築く重要なスキルです。

事例:
化粧品ブランドのグローバル企業は、女性の肌の悩みに共感する姿勢を打ち出し、「ありのままの美しさを尊重する」キャンペーンを実施しました。これにより、多くの女性がブランドに対して強い共感を抱き、ファンになりました。

4. 創造性を育む

顧客のニーズや市場のトレンドをもとに、新しいアイデアや斬新な解決策を考える力を育むことが大切です。創造性は競争が激しい市場での差別化の要になります。

アップルは、顧客の「使いやすく、スタイリッシュなデバイスがほしい」という潜在的な要望に応え、iPhoneやiPadを開発しました。この製品は顧客の期待を超え、業界全体に革命を起こしました。

5. 学び続ける

市場や顧客の変化に対応するためには、最新のマーケティング手法やトレンドを学び続けることが必要です。継続的な学びは、競争力を維持し続けるための基盤です。

事例:
多くの企業が社内研修やセミナーを通じて、社員に最新のデジタルマーケティングやデータ分析のスキルを習得させています。例えば、ある小売企業は、AIを活用したマーケティングを導入するために、社員全員にAI基礎講座を受講させました。

この5項目を日々の業務に取り入れることで、マーケティングマインドを効果的に養うことができます。顧客視点を持ちながら、創造的かつ共感的なアプローチを心がけることが成功の鍵になります。

ぜひやってみて、うまくいったところから習慣化していってください。

執筆者

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役 理央 周(りおう めぐる)

石油会社、家電メーカー、大型車両メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、法人営業にマーケティングを注入する社員研修を提供。 2013年より2023年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で23冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典 

社員を元気にしたい、社員にマーケティング思考や顧客視点を持たせたい、営業組織を活性化したい、など、
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