成果を出せる社員教育の設計方法:営業やマーケティングの社員研修は知識ではなく知恵を重視
◾️ 身につく社員教育とは?営業やマーケティングの社員研修で何を重視するべきか?
「実は、社員研修の約70%が短期間で効果が薄れてしまうと言われています。
驚きですよね?でも、なぜこうした結果になっているのでしょうか?」
営業の社員研修をやっているけど、成果につながらないんです、、、
マーケティングを身につけさせたいのですが上手くいかないんです
多くの企業経営者、営業責任者から相談をいただきます。
そこで「どんな研修をやっているのか」を聞いてみると、
4Pや3Cといったフレームワークを覚える、
マーケティングの全体像を知る、というような
"お勉強をしている"ことが多いのです。
基礎を固めるのは重要ですが、やはり学びを成果に繋げられないと、
社員教育の意味がありません。
営業やマーケティングの社員教育で成果を出すには、
- 知識を得ること
- 得た知識から気づきを得ること
- 気づきを実務で使えるようにすること
この3つをやらなければならないのです
学生の間は、覚える勉強も重要です。しかし、社会人には得た知識をもとにして
"知恵"をひねることが必須です。
学生時代の学びは、知識を覚えて自分の中に蓄えることが重要です。
重要性の比率でいうと、知識習得が8、考えることが2くらいでしょう。
しかし、社会人になるとこの比率が逆転します。
社会人の学びでは、得た知識を実務に活かせること、が成果につながるかどうかを決めます。比率で言えば、考えること・工夫することが8、知識習得が2程度です。
つまり、学びを実践に変える力が求められるのです。
グラフで表すとこのようなイメージです。
社会人は工夫することが大事なのです
◾️学生の勉強と社会人の学びの違いの事例
学生の学びは「料理のレシピ」に沿って進めるようなものです。
レシピを見ながら、材料や手順を正確に覚え、
それを再現することが求められます。
知識を蓄え、正確さが重視される段階なので、理解して覚えることが目的です。
一方で、社会人の学びは「即興料理」に似ています。
冷蔵庫にある食材で急遽料理を作らなければならないとき、手持ちの材料で最適な料理を考えるようなものです。「今日は和風にしよう」「お客さんが好きな味付けにしよう」といった即興での工夫が求められます。
知識や経験を組み合わせて、自分の環境に合った形で使いこなさなければなりません。
持っている材料(リソース)や時間、
目的によって臨機応変に調理方法を変え、
その場に合わせた工夫が必要です。
学んだ知識や技術を自分なりにアレンジし、
成果につなげる力が重視されます。
成果を出せていない、と嘆く多くの企業が、
この違いを理解せず、ただ知識を詰め込む社員研修を続けているのです。
研修の進め方が、講師から受講者への一方通行の講義型だったり
理論や考え方ばかりで、実務に活かせる内容が薄い場合は要注意です。
その結果、研修後すぐに成果が出ないだけでなく、
学んだ内容が忘れ去られるリスクも高まります。
◾️ 社員教育が単なる勉強になってしまう理由
学生と社会人の立場の違い:受け手ではなく提供者になるべき
学生時代は、教育を受ける立場です。教師や親から知識やサポートを受け取り、自身の成長に焦点を当てます。这は、水を汲みに行くような立ち位置で、水(知識)を提供される側です。
社会人になると、立場が逆転します。自身の知識やスキルを活かし、他人や組織に価値を提供する立場になります。这は、水を汲んで他の人々に配るような立ち位置で、水(知識や価値)を提供する側です134.
責任感の違い:個人から組織へ
学生時代の責任感は主に自身の学業や成長に焦点を当てています。例えば、テストで低い点を取った場合、影響は自分自身に留まります。
社会人になると、責任感は組織全体に及ぶものになります。例えば、大型案件の受注を逃がすと、会社全体に影響を与えることになります。個人用の小さな船から大きな船団の一部になるような違いで、個人だけでなく多くの人々の安全と成功に責任を負うことになります
学びの目的と方法:インプットからアウトプットへ
学生時代の学びは主に知識のインプットが中心です。教科書や講義を通じて知識を習得し、テストでその習熟度を評価されます。
社会人の学びはアウトプットに重点が置かれます。学んだ知識やスキルを実際の仕事に当てはめ、成果を出すことが求められます。这は、書籍を読むこと(インプット)から、自身の経験や知識を基に新しい本を書くこと(アウトプット)に相当します
周囲への貢献意識:自己中心から他者中心へ
学生時代は主に自身の成長や学業に焦点を当てています。例えば、良い成績を取るために勉強することが中心です。
社会人になると、組織や社会全体への貢献を意識することが求められます。自身の仕事が周囲に良い影響を与えるように自発的に行動することが期待されます。这は、個人用の庭を美しくすることから、コミュニティ全体の公園を美しくすることに相当します
学びの継続性と目標:明確なゴールから継続的な成長へ
学生時代の学びには明確なゴール(卒業、合格など)があります。学期や年度ごとに評価されるため、目標が明確です。
社会人の学びには明確なゴールがなく、継続的な成長が求められます。キャリアの向上や人生のクオリティーの向上を目指し、終わりがない学習を続ける必要があります
このような違いを踏まえて、社員教育を設計しなければ
成果につながる内容にはならないのです。
◾️ 理想的な社員教育の設計の仕方
では、なぜこうした状況が生まれているのでしょうか?
一つは、研修設計の段階で、社会人としての学びの特徴が考慮されていないことにあります。
本来の社員教育とは、単なる知識伝達ではなく、社員が実務にすぐに活かせるスキルや考え方を身に付けることが重要です。そのために必要なステップは以下の通りです。
- 現状の把握:現在の社員がどのようなスキルを必要としているのか、何が不足しているのかを分析する。
- 具体的な目標設定:ただ知識を教えるのではなく、どのような能力を高めたいのか、明確な目標を設定する。
- 実践とフィードバック:研修中に実務を想定したシナリオで実践させ、フィードバックを行う。
- フォローアップ:研修終了後のフォローアップをしっかり行い、成果を確認しながら改善していく。
こうしたステップを踏むことで、単なる知識の詰め込みではなく、実務に直結した社員教育が可能になります。
ある企業では、上記のような学びを実践に生かす研修を取り入れた結果、
売上が20%向上したケースがあります。
この企業では、社員が顧客視点を持つことの重要性に気付き、顧客対応の質が大幅に改善されました。
「これは、単なる知識習得の枠を超え、実務での応用力を重視した研修が持つ力の一例です。
◾️ 効果的な社員教育のアプローチ
社会人の学びを効果的にするために必要な教育アプローチとして、以下の要素が考えられます。これらは、アウトプットの機会を増やし、内発的な動機づけを促進することで、学びを自発的な行動に結びつけることを目的としています。
1. 目標設定と自己評価
研修開始時に個々の目標を設定し、達成度を自己評価するプロセスを取り入れる。
自身の成長を感じ、進捗を確認することでモチベーションが高まる。
といった、内発的動機づけを促す目標設定をすることです
研修や学習に関連する内容に、個人のキャリア目標や価値観を反映するようにすることも重要です。例えば、「なぜこの学びが自分のキャリアに役立つのか」を意識づけることで、学びへの主体的な姿勢を促すことが有効です。
2. 双方向〜フィードバック重視の学習
上司や同僚、または講師からの具体的なフィードバックを得られる場を設けることが必要です。フィードバックは、肯定的なものと改善点のバランスを取り、自己改善を促す形で行うことで効果が倍増します
仲間と学ぶピアラーニングも効果的です同僚や他部署の人と意見交換やディスカッションを行う機会を設けたり、他者と学びを共有することで新たな視点が得られ、学びの動機が深まります。
3. 自己発見型の課題が出るように仕掛ける
「どうすればより良くできるか?」という探究的な課題を提供し、自分なりの答えを考えさせることが重要です。自分で答えを導くことにより、理解が深まり、自主的に考える力が養われるためです。
そのためには、自分を振り返る内省(リフレクション)の時間を設けることが効果的です。研修の後に、自分の学びや気づきを振り返る時間を定期的に設けるといった具合です。
日々の業務に追われがちな社会人にとって、学んだことを深く考え直し、どう仕事に活かすかを熟考することが動機づけに繋がるからです。
4 成果重視を意識
実践的なワークショップを取り入れることが重要です。座学のみではなく、学んだ内容をその場で試し、フィードバックを得られるワークショップ形式の研修を実施するのです。その中で、実務に直結したシナリオを活用することで、実践力を養い、学びが仕事にどう役立つかを体感させることが有効です。
研修やプロジェクトの成果を発表する場を設けることも重要です。発表は、学びがアウトプットとして形になるため、自己効力感が高まり、次の学びへの動機づけが強くなるためです。
5 根付かせる
社員教育での学びを、持続できるように組織に定着させることが重要です。
根付かせるには、学びを実務でやってみて、小さな成功体験を積み重ねていくことが遠回りのようで実は近道なのです。
学んだ内容を業務に適用しやすいように、短期間で成果が見える課題やタスクを設定することが有効です。小さな成功体験が自信に繋がり、学びを仕事に活かす意欲が湧くのです。
学びを企業文化に統合することを到達目標にしましょう。
研修や教育プログラムを単発で考えるのではなく、継続的に学びの文化を醸成する仕組みづくりを初期段階から設計していくことが重要です。
企業全体が学びを重視する文化を持つことで、個々の内発的な学びへの意欲が高まるからです。
これらの教育アプローチにより、社会人がアウトプットを重視し、内発的な動機づけにより自発的に学び続けることができるようになります。
今回のポイントをまとめると、社会人の学びは学生の学びとは異なり、実務への応用が鍵となります。そして、企業が効果的な社員教育を行うためには、学びを実務に繋げる設計が必要です。
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マーケティングアイズ株式会社 理央 周
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