【ビジネス書】頭のいい人の対人関係〜誰とでも対等な関係を築く交渉術 犬塚壮志氏
■ なぜ、ビジネスでは対人関係が重要なのか?
ITやDXが進化し、多くのコミュニケーションがWeb上でできるようになり、対面で人と話をする機会も以前と比べると減った。
しかし、対人関係は、仕事上でなくなることはない。
なぜなら、仕事は人と人がするものだから。
だから、対人関係についての悩みは尽きない。
日々のビジネスでいえば、社内と社外の両方で人と接する。
社内では、経営陣、上司、部下、同僚、同期といった近い仲間たち。
マーケティング部を例にとると、
営業や経営企画、人事や経理、
メーカーなら設計や生産、物流や開発。ITの組織など、
社内で良好なコミュニケーションを取ることが必要だ。
もちろん社外には、顧客や取引先、
仕入れ先や銀行や投資家など、さまざまな"関わる人たち"がいる。
例を挙げ始めたらキリがないくらい、ビジネスに対人関係のシチュエーションは多い。そしてそれは、どのような業界にいる、どのようなポジションの人でも一様に必要なビジネススキルだ。
■ この本の特徴
この本の特徴は、多くのビジネスパーソンが持つ、
問題や課題に当てはまる普遍性が高く、
同時に、多くのビジネスパーソンが実務で使える、
フレームワークがあるので、再現性も高い点だ。
経験談のみで語られると、どうしても当たり外れがおおくなり、
理論のみで語られしまうと、抽象的になり、
職場で活かすことが難しくなる。
この本では、「理論と経験・実例がミックスされている」こと、
さらに、そのバランスがよく、
仕事で使えるヒントが多い点にある。
たとえば、本にある「メソッド30」の「主張と根拠は必ずセットにする」では、
法人営業でマーケティングをしていく上で、必須のアプローチだ。
かといって、リーダーがメンバーに、
「商談にはロジカルシンキングが大事だから、論理的に話せ」
と号令をかけても、
言われた方は「そうはいっても難しい」
「どうすればいいのかわからない」というのが本音だ。
営業組織で、人によってバラバラな行動をしていると、
チームとして成果が出ないのは、属人的になってしまうから。
営業にマーケティングを取り入れる時には、
ロジカルシンキングが必要だが、
この本にあるようにリーダーから、
「商談でいうべきこと(=主張)は、なぜそうなのか、
顧客が契約すべき理由(=根拠)とセットで説明しようよ」
と伝えれば、言われたメンバーも納得して商談の準備に入ることができる、
といった具合だ。
もう1点、この本では"本質"から始まり、"意義"を説明し、
"手法"を解説するというステップを踏んでいる点だ。
対人関係は、相手の種類も、シチュエーションも幅広い。
なので、やるべきこと=手法も星の数ほどある。
その中から、自分にとって最適なものを選んで実践したい。
一方で、やり方だけ教えてもらっても、
自分のものにならないので、実際に使えない。
なぜ、対人関係が必要なのか、を、
シチュエーションとカテゴリー別に定義してから、
どうやるといいのかを、説明しているので、
読んでいる方としては、自分の場合に当てはめやすい。
なので、この本は、最初から順を追って読んでもいいし、
対人関係で困った時に、
「そういえばこういう時はどうすればいいんだっけ?」
と、逆引き辞典のようにも使える
その意味でも、対人関係を改善、刷新したいビジネスパーソンにとって、
一読の価値がある。
ちなみに、犬塚壮志氏の本は良書が多いので、
私としては、「 頭のいい説明は型で決まる」(PHP研究所)と、
合わせて読むのがオススメです。