2025.02.22
人財開発

マーケティング部門の仕事と役割とは?初期のAmazonに学ぶマーケティング部の作り方

◾️ 【経営者必見!】マーケティング部門の成果を出すには?

「マーケティング部を新しく作りたいのですが、相談に乗っていただけますか?」
という問い合わせをよくいただきます。

この質問の背景には、

  • 今の営業スタイルを変えるためにマーケティング部門を作りたい
  • 営業部の中にマーケティング部門があるが成果を出せていない
  • マーケティング部門がうまく機能していない

といった課題感を抱える企業が増えているからです。

マーケティング部の役割はもちろん業界や企業によって異なりますが、共通する重要なポイントがあることも事実です。この記事では「今のマーケティング部門を活性化したい」「新しく社内にマーケティング部門を作りたい」という時にどうすればいいのか?について説明をしていきます。

目次
  1. 【経営者必見!】マーケティング部を新設するには?
  2. ◾️ なぜ、マーケティング部門が必要なのか?
  3. ◾️ マーケティング部の業務内容とは
  4. ◾️ 【事例】初期Amazonのマーケティング部門
  5. ◾️ マーケティング部門設立・改善のポイント
  6. ◾️ BtoB企業でのマーケティング部門の必要性
  7. ◾️ マーケティング部門を作るステップ

◾️ なぜ、マーケティング部門が必要なのか?

そもそも、なぜマーケティング部門を作るのでしょうか?

マーケティングに力を入れないと競争力も落ちるし、売上とか成長も低くなります。マーケティングを重視している企業は、そうでない企業と比べて収益にも差が出ますよね。マーケティングが企業の成長に直結するから部門を作るのです。

逆に、もしマーケティング部門がないと企業はどうなるのでしょうか?

マーケティング部門がない企業というのは、地図なしで知らない街を歩くようなものです
企業として「どこに行けばいいのかわからない」とか「ここで何をすればいいのかわからない。」となります。

ビジネスも同じで、マーケティング部門がなく戦略を決めずにビジネスを進めると、

  • 競合他社と同じようなプロダクトしか開発できず価格競争に陥る
  • 営業がどこを攻めるかわからなくなって迷走してしまう
  • 無駄な広告費や販促費を使い投資対効果が落ちる

と、売り上げや収益、生産性に悪影響を及ぼしてしまいます。

◾️ マーケティング部の業務内容とは

マーケティング部門の役割.001.png

マーケティング部門は以下のような広い範囲をカバーします。

  • 市場調査(リサーチ):顧客のニーズや競合分析
  • ブランド管理(ブランディング):ブランドの認知度やイメージを構築
  • 広告戦略(オンライン・オフライン):デジタル広告、テレビCM、SNS運用
  • 広報(PR):企業のイメージを形成し、メディア対応
  • 顧客管理(CRM):リピート顧客を増やし、LTV(ライフタイムバリュー)の向上

コカ・コーラ社のようなBtoC企業のマーケティング部門での業務は、以下のようになります。

  • 市場調査を通じて新しい製品を開発
  • 製品ニーズに応じた予算の適正配分
  • 広告やブランド戦略の立案
  • ターゲットに合わせたキャンペーンの実施

◾️ 【事例】初期Amazonのマーケティング部門

マーケティング部を新設する企業やスタートアップ企業、中小企業の場合は、大企業ほどの経営資源をマーケティング部門に割くわけにはいきません。そこで、私が在籍していた2001年当時の、まだそれほど巨大企業ではなかったAmazon Japanのマーケティング部の事例を紹介します。

当時のAmazonジャパンのマーケティング部門には、ブランド&リテール、オンライン広告、C R M(既存顧客)、P R、リサーチの5つの部署がありました。

ブランド&リテール:

私が責任者として担当していた部署です。Amazonジャパン全体のブランド価値を上げサイトでの購買を促す戦略を考えます。
トップページに何を載せて、訪問した人をどうやってサイト内で回遊させるかをマーケティングの視点で戦略を立て各部門に動いてもらいます。

また、雑誌や新聞、屋外広告などインターネットメディア以外のオフライン広告以外も担当し、Amazonの市場での存在感を増していきます。

オンライン広告担当:

主に新規顧客の獲得を担当します。Googleが日本にはない時代だったのでヤフーとかM S Nとかで検索連動広告を使ってサイトに集客します。

PR担当:

当時のAmazonはPRに力を入れていました。日本市場でAmazonの認知度を上げるにはメディアでの掲載が大事という戦略だったのです。テレビや新聞などのメディア向けの情報発信と取材を仕切る部署です。

CRM担当:

既存顧客のリピート担当です。顧客の購買データを分析して、メールマーケティングをやってリコメンデーションを出したりです。

リサーチ担当:

市場での競争優位を保つために、日本のネットユーザーの動向、E C競合他社の市場の変化の情報を社内に共有します。

マーケティング部門がそれぞれの役割を果たすことで、Amazonは初期に成長することができたのです。

◾️ マーケティング部門設立・改善のポイント

組織は戦略に従う

マーケティング部門の設立や役割分担の決定で重要なポイントは「経営戦略とマーケティング戦略に準じて決定する」ことです。

組織としてマーケティング部という箱だけを設置すると、機能しません。
組織の専門家アルフレッド・チャンドラー氏がいうように「組織は戦略に従う」べきなのです。
Amazonジャパンの初期段階の日本では、インターネットで買う人も少なく、Amazonブランドがまだ市場に浸透していなかったのです。したがって、マーケティング戦略として以下を掲げていました。

新規顧客の獲得には、確実にネットユーザーを捕まえるために、オンラインの広告をやる
インターネットだけでは認知が上がらないので、テレビや新聞なんかのオフラインに露出するために、初期に広告費をかけるよりもP Rで取材をしてもらう
近い将来大きく展開するときのためにオフラインの広告を用意する
既存顧客をとても重視する戦略としてEメールマネージャーは強調フィルタリングを使ったりサイト更新チームと密に連絡を取り改善を繰り返す

微調整を行う

それと、もう1つ重要な点は、市場の動きがあるたびに戦略の微調整をすることです
したがって組織も臨機応変に微調整をする必要があります。
Amazon ジャパンも、戦略の天下に合わせてスピード持って組織と役割を微調整していたのです。

マーケティング部門は「商品やサービスが"売れる環境を作る"こと」を目指すので、市場全体の動きを調べて、狙っていくポジションやターゲット層のニーズを明らかにします。これらの活動は、経営戦略が示す企業の方向性と一致している必要があるのです。

マーケティング部門の仕事内容を決める時に、単に組織の箱を作ったり他社の真似をするのではなく、マーケティング戦略を固めた上で「具体的な目標」と「業務内容」を設定することが重要です。

◾️ BtoB企業でのマーケティング部門の必要性

BtoBビジネスでのマーケティング部門の役割.002.png

「BtoB企業でもマーケティング部は必要なのでしょうか?」
というのもよく聞かれる質問なんです。

答えはもちろん、絶対に必要です。こんな事例もあります。A社はマーケティング部がなく、営業頼みのビジネスモデルでした。結果として、営業がリードを見つけるのに苦労し、新規顧客がなかなか増えませんでした。一方、B社はマーケティング部を作り、コンテンツマーケティングや広告運用を強化。その結果、問い合わせ数が3倍になり、売上も大幅にアップしたのです。

以下にその理由を挙げていきます。

1)リード獲得の必要性

BtoBビジネスでは、常にリード(新規の引き合い)を獲得する必要があるからです。
個人ではなく法人を相手にするBtoB企業では、獲得したリードを啓蒙し、スムースに営業を進めていく必要があります。したがって、営業と連携したマーケティングが不可欠なのです。

2)営業の生産性を上げる

ここ数年、市場はますます複雑になっているため、営業部門だけでリード獲得をすることに限界があるのです。

展示会やセミナー、ホワイトペーパー、SEO戦略など、マーケティング部門がリードを獲得しないと、営業がアプローチする機会そのものが減ってしまいます。

3)ブランディング

BtoBビジネスでも、企業のブランディングが重要です。有名なBtoB企業であるGEやIBMもブランド戦略を非常に重視しています。

インターネット上で自社ブランドを構築できれば、問い合わせも増やすことができ、営業が訪問した時の商談もスムーズに運びます。

◾️ マーケティング部門を作るステップ

マーケティング部門の作り方.png

先ほども書いたように、マーケティング部門を作るときに形から入るとうまくいきません
戦略に準じたマーケティング部門の構築の方法をいかに説明します。

1)経営層がコミットする

マーケティングは事業戦略です。したがって経営陣がマーケティング部門設立の重要性を社内に浸透させることがスタートです。
例えば「マーケティング部門は営業のサポートだけではない」「営業本部の一部署ではなく社長直轄の部署にする」といった具合です。

マーケティングの重要性を社内に浸透させるステップについては以下に詳しく説明しているので参考にしてください。
こちらをクリック本来のマーケティングとは?:マーケティングの誤解を解き社内に浸透させるステップ

2)目的を明確にする

マーケティング部を作る目的は、リード獲得なのか、ブランド強化なのか、明確にします。

3)必要な人材を集める

マーケティング責任者(CMOまたはマーケティングマネージャー)と担当者の役割が必要になります。

分野ごとには以下の様な役割が必要になります。

  • デジタルマーケティング担当(広告運用、SEO)
  • CRM担当(顧客管理、データ分析)
  • コンテンツマーケティング担当(ブログ、動画制作)
  • PR担当(メディア戦略、広報)
  • リサーチ担当者

最初は2~3人の小さなチームで創設して、戦略の転換に応じて徐々に拡大していくのが理想的です。

マーケティング部門は、企業の成長を支える重要な役割を担っています。また、自社のビジネスがBtoCでもBtoBでも、マーケティング部門が"売れる仕組み"をリードすることでしか、売上は伸びないのです。

マーケティング部門を作り、機能させることで、売れる仕組みができ、営業の負担も減り、企業全体の成長スピードが上がるのです。

執筆者

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役 理央 周(りおう めぐる)
石油会社、家電メーカー、大型車両メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、法人営業にマーケティングを注入する社員研修を提供。 2013年より2023年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で23冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典 

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