まずこの本には、企業にとって
「なぜ、マーケティングが必要なのか?」
「本当のマーケティングとは何か?」
「どうすればいいのか?」
「その結果が何を生むのか?」
に対する答えが書かれている。
マーケティングは、戦略だけではうまく機能せず、もちろん手法論でもない。
企業活動で、マーケティング担当者1人だけがマーケティングを理解すればいい、というわけではなく、
マーケティングマネージャーはマーケティングのことすべてを、
営業部員であれば、マーケティングの本質的なこと、
たとえば、顧客は何が欲しいのか、どのように期待を超えることができるのか、
を理解して営業活動に動くべきだし、
ファイナンスや経理といった会社のカネ扱う部署においても、
投資対効果を考えて意思決定をするときの「判断基準」として、
その投資が顧客のためになるかどうか、という視点でも数字を計算したほうがいい。
また、人事部においても、顧客視点であることを理解させる社員教育プログラムを組むとか、
あるいは組織体系に置いて評価をの中に顧客への姿勢、視点などを入れていく、
という意味においてもマーケティングを理解しなければいけない。
このような点が、ヒューレットパッカードの創業者が、
「マーケティングはマーケティング部に任せるには重要すぎる」
と言った所以だろう。
マーケティングに特化したコンサルティングや、研修を提供している中で、
戦略や手法の部分を、理論と事例を交えて伝えていくことになる。
そして、経営者や事業本部長クラスの方々は、その点をご理解いただけることが大半だ。
しかし、そこから企業としてマーケティング戦略を立て、
戦術に落とし込み、施策を考えて実践し、PDCAを回していく。
したがって、社内にその考え方をどう浸透させていくことが必要になってくる。
実際に企画をし、戦略を戦術や施策に落とし込むリーダー、マネージャーたちがトップの考える理想のマーケティング企業の姿を理解した上で動けないと、て運用していくことが難しい。
多くの企業が、運用フェイズで「壁」に当たる。
マーケティングは、組織全員で取り組む課題であり、事業戦略のひとつなのだ。
なので、この本で森岡氏が言っている「マーケティングは組織革命だ」と言う点に大きく共感する。
この本では、企業における様々な問題が提示されている点も参考にできる。
「強いマーケティング部さえあれば、マーケティングができるようになると思っている企業が多いが、現実はそうではない。その原因は組織の構造や鹿意思疎通回路がうまくいってないから」
「本来は、作ったものを右から、売れるものを作る会社になればいいなと思い込んでいる」
「消費者とプロダクトは双極性の関係になる」など、多くの金言と事例で説明されている。
この本のもう一つの特徴は、マーケティング的な組織モデルを「人体」に例えている点にある。
「感知、判断、行動というサイクルを、人間がやるように企業内でも「超高速」で回すべきだ」
「人間の脳は動物の本能として、変化を拒むようにできている。すなわち脳が、体にかけるブレーキがイノベーションを生み出せる発想を阻む」
など、難しい言葉をつかわず理解できるように第1部は進んでいく。
これらのことは、P&Gでの著者ご自身の体験と理論が、USJにおいては最初はうまく機能しなかった部分があるところから語られている。その点が、理にもかなっている上に経験に裏付けされているので、読んでいてとても腹に落ちるし、仕事に使える要素になっている。
この本は、マーケティング担当者だけではなく、経営者や起業家、企業の人事部の方々にもぜひ読んでもらいたい本である。
マーケティング プロデューサー
理央 周(りおう めぐる)
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