毎月、準レギュラーで出ているラジオZIP-FM「モーニングチャージ」に来ていた質問に、
「大阪で小規模ですが、お好み焼きのチェーンをやっています。
名古屋のような、これまで商売をやったことがない街に進出する時にどんな戦略がとれるでしょうか?
出店におススメの場所はどこでしょうか?」
というのがあった。
飲食店が他地域で立地を考える際の条件
戦略にもよるが、王道で行けばやはり繁華街、名古屋でいえば錦や住吉といった歓楽街になる。
また、ここ数年流行ってきている、少しだけ中心地から離れた大須や名駅3丁目のあたりでの出店も考えられる。
または、いかにも大阪のお好み焼き屋さんが出しそうもない「逆張り」をして、本山や覚王山、星が丘や八事に隠れ家的にやってみるというのもありだと思う。これらの街は、東京でいえば、代官山や三宿、霞町といったところに似ている静かな住宅地に近いところ。
新規地域での商品・サービスの決め方
このチェーンが本来持ってる大阪らしさを強調したほうがいいのでしょうか?
それとも、名古屋人の味覚に合わせたほうがいいのでしょうか?
という質問もいただいた。
とてもいい質問だが、大阪で成果を出しているわけなので、自社の強みである、その味から離れない方がいい。
名古屋限定のお好み焼きを作ってみるてはある。
お客様は美味しいことは当たり前で、その店に行く理由を常に感じている。
意外なものをお好み焼きに「新結合」させてみる、たとえば、
みそや小倉をトッピングするなど、
もちろん美味しいのが大前提ではあるけれど、台湾ラーメンならぬ、激辛お好み焼きにするなど、意外であればあるほどいい。
このように目玉になるメニューを作るというコンセプトはあるべきだ。
飲食店の最初の一店目に一番必要なこと
競合他社が多く存在する名古屋の都心に乗り込む場合に大事な事は、その店に来る理由、誰に食べてもらいたいかをはっきりさせることにつきる。
ターゲットをものすごく絞ることから始めるほうが逆にいい。
大須(秋葉原のような街)では、クレープ感覚で女子高生にたべてもらうと絞ったとしたら、凝った味付けよりもスピード感や可愛さを重視する、といった具合である。
逆に競合他社を避けてユニークな場所に店を出す場合に大事な事も、ターゲット選定がカギになる。
少しくらい高くてもいいからいいものが食べたい、仲間とゆっくりしたいという層である。
食べてみたらお好み焼きだった、という感じでもいいかもしれない。
影響力がある人にまずは来てもらって、まずは覚えてもらい、その友人を連れてきてもらう仕組みを創ることが必須になる。この場合は大福帳、つまりお客様名簿が大事。
場所選びをする場合複数のことを考えるが、どんな店にして誰を幸せにしたいかという戦略に合っているかどうかが一番のポイントになる。
安価でたくさんのお客様に出したい場合は繁華街に出店することがカギになるし、
少し高くても場所やサービスでおもてなしをしたいときには郊外の方がよい。
想定ターゲットにグループインタビューをしてみて仮説を立て、その後数量的にあっているかどうか検証していくことが重要である。
全然知らない街に進出する際、やりがちな失敗は「複雑に考えてしまう」こと。
シンプルに、最初の店舗を出したときを思い出し、
「お客様に美味しいものを食べてもらうにはどうすればいいか」
を忘れないようにするといい。
マーケティング コンサルタント
理央 周
新規事業・ビジネスモデル開発を目指す経営者の方はこちら:
→マーケティング アイズ
最新刊はこちら⇒ 「なぜか売れるの公式」
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昨日は、著者の大先輩でもある志賀内泰弘氏の著書「No. 1トヨタのおもてなし レクサス星が丘の奇跡」で紹介されているレクサス星が丘を、マーケティング寺子屋分校として顧問をしている女性経営者会Giversのメンバーの方々とともに訪問させていただいた。
本の内容に加えて実地で学んだこと
まずは、店内を見せていただき、続いて勉強会としてレクサス星が丘さんがされているおもてなしのこと、マーケティングのことなどをお教えいただいた。
ボクはレクサス星が丘がなぜ全国のレクサス販売店の中でトップクラスの売り上げなのか、
そしてなぜこれほど素晴らしいサービスやおもてなしを、「普段どおり何事もないかのようにお客様に提供できるのか」を学ばせていただきたかった。
まず経営陣がやることは、理念、ひとの心のありよう、姿勢を熱心に愚直に伝えることであるとのことだった。それを、「方法論よりも、心」を整える ことが重要だともおっしゃっていた。
まず、会社としての理念は、
- 地域への貢献
- 顧客の価値を中心に考える
- 社員とその家族の豊かさを考える
とのこと。まさに近江商人が言うところの「三方良し」の考え方。
これをしっかりと伝え、現場である店舗ではマネージャー以下、実践をしていくことになる。
理念を理解している現場の方々には、かなりの権限移譲がされていて、現場の意志決定の権限の幅はかなり広い。
これも、著者の大先輩であるところの石塚しのぶ氏がいうところの「コアバリュー経営」で、経営陣は理念を明確にし現場に伝達すること。その上で現場に落とし込み「まかせる」。
ただ単に現場に任せてもうまくはいかない。その点をレクサス星が丘さんはしっかりと実践されていた。
レクサス星が丘店が一番売る理由は「仕組み化」にある
また、責任者の山口専務がおっしゃっていたのは「仕組み化」を常に考えておられるという点。
レクサス星が丘では「お客様とお会いできる機会を増やす」努力を常にしているとのことだった。
そのために店舗には常に変化をつけることを重要視しているとのことで、
たとえば、サロンのところにはギャラリーを設けひと月半くらいのサイクルで芸術品を展示販売したり、洗車サービスと駐車場を無料で提供することで、隣接する百貨店にお客様が行くときにも立ち寄ってもらえるようにしている。
数えればきりがないほど、上記以外にも素晴らしい施策や行動をされているのだが、すべては「お客様ありき」の姿勢から出てくることだと感じた。
ボクもアマゾン時代に創業者のジェフ・ベゾス氏が「顧客中心主義=Customer Centric」であるべきだと学んだ。つまり、お客様の立場に立ち、顧客の期待を超えることを提供することを頭に入れて行動せよということである。
山口氏は力強く何度も「お客様」という言葉を使われていたのだが、この心から湧き出てくるような信念がレクサス星が丘のファンを創り、ブランドになっているのだということを実地で学ばせていただくことができた。
自動車販売に限らず、消費、経済の環境は厳しいが、まだまだやれることはある。
昨日学んだことを、ボク自身のこれからの大きな糧にすることができると確信した。
*以前書いた「レクサス星が丘の奇跡」書評は⇒ こちら
【今日紹介した本はこちら】
マーケティング コンサルタント
理央 周
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中堅企業、中小企業の収益を好転させていく、マーケティング活動において、
まず考えなければならないのが、「何を」売るのか、ということ。
駐車場のマーケティング
その中身は、強みと違いになる。
特に、「自社だけが顧客に提供できる価値」をいかにわかりやすく伝えられるかで、勝負が決まると言ってもいい。
時間貸し駐車場のビジネスはともすると価格競争、いわゆる値引き合戦になることが多い。
繁華街近くには、コインパーキングが乱立し、
「うちが一番安いですよ!」
という競争になる。
かといって、情緒的な価値をひねり出し、「うちに駐車すれば幸せになれます」というわけにもいかない、一見難しいマーケティングに見える。
Amza1000パーキングのUSPの伝え方
大阪なんばの中心にあるAmza1000パーキング。
立体式の駐車場で、月極もあるが時間貸しもある。
なんばのど真ん中にある、ということもあり競争は激しく、様々なことで差別化をしている。
中でも素晴らしいのがこののぼり。
「レクサス 全シリーズ 駐車可能」
とある。
ボクもレクサスに乗っているのだが、立体式の駐車場に幅や長さオーバーで入れないことが多々あった。そのことをこちらの社長に話したところ、すぐに創ったのがこののぼり。
周りには、多くの駐車場があり、週末などには満車になってしまう。
せっかく並んでやっと入れる、と思った瞬間に、
「ごめんなさい、うちの駐車場、この車は入れないんですよ」
と聞いた時の喪失感については、顧客から見たらかなりのものなのだ。
駐車場のオーナーは知っているつもりでも、車のオーナーは困っているはず。
そこを話し合っていてすぐに創ったこののぼり。
レクサスオーナーのみならず、メルセデスやBMWなどの少し大きいセダンに乗っている人もこれを見て、「あ、俺の車も大丈夫だな」と感じるはず。
そして最も重要なのは、次になんばに来た時にも、
「Amzaに停めよう」と感じるはずなのだ。いわゆるリピーターになってくれる。
「なぜか売れるの公式」にも書いた「知る、買う、また買う」のサイクルが生まれるのだ。
この瞬間に、価格とは違うところで勝負できることになる。
値引き合戦から脱却することができるのだ。
「なんだ、そんな簡単なこと」
と考える経営者も多いのが事実である。
しかし、なるほど、やってみよう!と素直に愚直にすぐにやれる経営者が成果を出すことをボクは実感している。
やり始めたこののぼりの効果、多々良社長から聞くコトがとても楽しみなのだ。
マーケティング コンサルタント
理央 周
12月2日(火)「未来を創るセミナーin渋谷ヒカリエ」
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「問題解決のためのあたらしい武器になる 視覚マーケティング戦略」読了。
なぜ視覚に訴えることが重要なのか?
視覚を制する者は、ビジネスを制すると副題にあるとおり、視覚の重要性を知ることができる。
マーケティング・コミュニケーション、広い意味での広告宣伝と販売促進にあたるが、
その中身は「表現と媒体」に分けられる。
表現は、顧客または生活者へのメッセージのことで、これも文字である「コピー」と、画像や動画にあたる「イメージ」に分けることができる。このメッセージを、メディアに乗せてターゲット層に運ぶのが、マーケティング・コミュニケーションになる。
この本では、さらにわかりやすくLINEを例にとり、文字で「事実」を伝えることができ、スタンプで感情を伝えることができると説明している。
こういったマーケティング活動におけるコミュニケーションの中で、ネーミングなどの事例も出しているところがわかりやすい。たとえば、生ジュースをスムージーと言った瞬間に受け手の印象はまるで変ってくる。これが、視覚におけるマーケティング戦略なのである。
デザイン・クリエイティブをビジネスに活かす:この本の使い方
この本が他のデザイン関連の本と違うことは、そもそも論として視覚、ビジュアルをマーケティング活動に取り入れていこうという趣旨で書かれている点。その点にボクも大きく共感するのだ。
たとえば、第2章には「自分たちの価値を見つめなおす」ところからスタートすべきとある点などはまさにその通りである。ボクの解釈は「最初からカッコいいデザインやクリエイティブを創ろうとするのではなく、自社独自の価値を明確にして、ターゲットに訴えるデザインにする」という、いわば「デザイン・ニュートラル」な姿勢で行きましょう、ということになる。
もう一点この本での学びは、ロジックからでは解決できない問題点は右脳思考にシフトすること、とある点。クリエイティブになるために、普段どんなことをすべきかという生活習慣が書かれているし、さらに「やってはいけない」ことまで巻末資料として書かれている。
読み方としては、1~8章が基本的に押さえておくべき考え方編、そして9章以降が実践するときのコツ、となっている。
手法だけでなく、デザインやクリエイティブのようにまず視覚に訴えることが重要なのかを説明し、その後「どうすればいいのか」を解説している。とても再現性が高い、という意味でマーケティング、企画、販促、流通などに携わるビジネス・パーソンにおススメの一冊である。
☆ 著者ウジトモコさんとのコラボセミナー詳細はこちらをクリック:
⇒ 「未来の創り方 渋谷ヒカリエ 12月2日」
マーケティング コンサルタント
理央 周
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満足しなければ返品 というプロモーションが続々と実施されているとのことが、今日の朝日新聞に書かれていた。
返金キャンペーンをやる理由
実施企業は大手が多く、西友(生鮮食品部門)、P&G(ジレットのカミソリ)、グリコ(チョコレート菓子)、ロッテリア(ハンバーガー)、ソニー(スマホ用ヘッドフォン)が満足保証キャンペーンをやったとのこと。消費者の主観で返金されるかどうかを決めるということで、一般的には「返金が多くきたら困ってしまう」と考えそうであるが、これらの企業の回答は「返金数は想定よりも少ない」とのことだった。
なぜこのようなキャンペーンをやるかという理由は、多くの場合「ちょっと買ってみよう」という「試し買い」を促すためである。
人は新商品や新しい考え方のサービスなどを初めて購入する時に躊躇する。
初回購入の時の心の壁を取り払うのが「試し買い促進」の販売促進になるが、多くは割引をしたりサンプリングをしたりという伝統的な手法がとられてきた。記事には専門家の意見としてこのような手法は消費者に飽きられてきていりため、新しい新規顧客取り込みの手法だという。
やはり値引きはNG
私も講座などでは「新規顧客獲得のための値引き」は原則NGです、と伝えている。
その理由は、価格競争になると営業利益が減り、ブランド資産を確保するための「見た目の価値」が下がるからである。クーポンなどもある意味同様である。
その意味においては、この「満足しなければ返金するので一度試してくださいね」おちうキャンペーンはありだと思う。
さらに記事にはそれ以外にも「顧客満足に関して確認することができた」「社内の品質管理の徹底や社員の意識付けのため」との回答もあるとのこと。
記事には一部消費者が「自社商品に自信がないからやっているように見える」「気を引きたいだけ」といった意見があるとのされている。消費者も情報が多く流通している中で、賢くなっているのだ。「効果が出なければ全額返金」という悪徳商法もあるとも指摘している。
販売促進をはじめとして、顧客や消費者とのコミュニケーションにおいては、目的が明確でなければならないという当たり前だが忘れがちなことが重要なのはいうまでもない。
このようなキャンペーンを実施する際には、目的を明確に実施することが成果につながるのである。
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