先日久しぶりに、吉野家の牛丼を食べた。
ボクは、最後につとめた通販の会社でマーケティングをしている時に、通販で冷凍パックの吉野家の牛丼を売っていたことがある。
他社に比べて、個人的な感想ではあるが際立って美味しいし、買ってくださるお客様の多くも固定のファンが多かった。自宅で出しても、息子も娘も喜んで食べる美味しさは格別だった。
こんな感じだった ⇒
今回、久しぶりに食べた牛丼も昔の味は変わらなく、500円くらいでこのボリュームは「早い、安い。うまい」のキャッチフレーズ通りと再認識した。
実は知らなかったのだが、吉野家は他の牛丼チェーン店と違い、券売機が無い。
これは創業以来らしく、
「相対して、接客する」
というポリシーとのこと。
一時期、牛丼チェーン店どうしが、価格競争を行っていたことがあった。
いいものを安く提供することはけして悪いことではないが、
吉野家のこの「人が接客する」というポリシーはもう少し顧客に伝えてもよいと思う。
思えば、冷凍牛丼を売っていた時も、吉野家の人気抜群の「丼」だけはけしてプロモーションには使わないというポリシーもあった。
ブランドを構築する、ということは「顧客に有益なことを継続する」ということも重要。
値引きのみでなく、「お客様に店員が直接注文を聞き、牛丼を運ぶ」というポリシーを、
もっと顧客に周知すればいいのに、と感じた。
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理央 周
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先日立ち寄ったスーパーで見かけたこのトマトのディスプレイ。
通常はパックに入ったプチトマトが、整然と並んでいるだけ。
この並べ方は、色とりどり、まるで欧米のファーマーズ・マーケットに来たように感じる。
お客様の目には見るとどう映っているかと言うと、
まずはパッと目を惹かれる。そして、
「きれいだわ。買って帰ろうかしら」
普通に陳列してあるのとはわけが違う。
ほんのちょっとした工夫で、お客様に楽しさを提供でき、それが売り上げにもつながるといういい一例なのだ。
■売れるディスプレイ 3つのコツ■
1.お客様を観察する
2.お客様の「買っている時の気持ち」を想像してみる
3.ワクワク、楽しくなる気持ちになるようにする
こちらの本に、考え方といい事例が書かれています。
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ひつまぶしの老舗、名古屋市熱田区にあるあつた蓬莱軒さんでの勉強会に行ってきた。
明治6年の創業、142年続いているとのこと。司会の方が、五代目の女将にお話を聞くという内容の勉強会だった。
創業140年の老舗から学んだこと
学ばせていただいたのは、
「当たり前のことを当たり前にやってきただけ」
「いい人材に恵まれた。人は宝です」
という素晴らしいひとこと。
顧客サービスのことに話が及ぶと、一番にお答えになられたのが、
「美味しいものを食べていただくこと」
そして、
「笑顔で帰っていただくこと」
とのことだった。
名古屋で蓬莱軒と言えば、誰でも知っているのはもちろん、ひつまぶしの代名詞になっている。
一番に想起されるのだ。
広告などもほとんど打たれていないとのこと。
クチコミで広まって、ここまできている。
それもそのはず、
「美味しいから」にほかならない。
蓬莱軒はなぜひつまぶしの代名詞なのか?
心に響いた言葉は、
「美味しかったら、必ず人から人に伝わります」
というひとこと。
飲食店に行くのは、広告がきれいだからとか、値引きをしているからではない。
大事な人と、美味しいものを、楽しく食べに行くのだ。
ということを、再度思い起こさせていただけた一言だった。
さらに、
「うちは独特の味をこれからも守り続けます」
という言葉に、「何を」買っていただくのかという原点を絶対に忘れないという信念を感じた。
ひつまぶしは世の中に多いけれど、やはり蓬莱軒さんを一番に思いおこすのは、この味だからである。
ちなみに、ボクが書いた3冊目の本にも蓬莱軒さんを取り上げさせていただいた時に、そのお礼ということで女将からご丁寧なお手紙とお礼をいただいた。(その時の記事はこちら→ あつた蓬莱軒のお客様へのおもてなしの心)今日やっと、その時のお礼を申し上げることができた。
今日は、うまきと、
さらに熱田神宮に献上するお酒「草薙」、
そしてもちろんひつまぶしをいただいた。
流行っている有名店になるには理由がある。
ということを、学ばせていただくことができた勉強会だった。
■蓬莱軒から学んだこと■
- 独自の味を守り続けることこそが、お客様への価値になる
- 美味しいものを提供することが自社の事業。そこから外れないこと
- お客様に毎日相対している従業員こそ宝である
*蓬莱軒のことも書いた、イノベーションをテーマにした本はこちら ↓
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理央 周
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名古屋の天白区植田山にひっそりとある隠れ家的寿司屋、ふじわらさんで会食をした。
友人たちがこぞってすすめるお店なので期待も高かった。
中庭を抜ける玄関に着くと、一月ということもありしめ縄で出迎えてくれる。
小さめの個室とカウンターは最大9席。
掘りごたつ形式になっていて、足下を電熱で暖めてくれるのが嬉しい。
お料理はおまかせで、最初はこちらのお寿司。
ウニの上にキャビアが乗っている。
おつまみは、たこの柔らか煮とあわびや、お造り、かぶらを煮たものなどどれも優しく上品な味。
メインのお寿司は、ネタに切れ込みが入っているのも特徴。
また来たくなる飲食店には3つの特徴がある。それは、
まずは美味しいこと。あと、そこにしかないメニューがあること。そして居心地がいいこと。
特に居心地に関しては、大将と女将さんのご夫婦がとても仲良くされていること。
そして3人娘さんがいるうちの次女の方がカウンターで造ってくださり、彼女もとてもいい雰囲気を出されていることが言える。
ふじさわさんには,この3つがすべてそろっていた。
名古屋地区で、大事な人とゆっくりおいしいお寿司を食べたい方、
やすらいで美味しいものを食べたい方には特におススメです。
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理央 周
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「買いたがる脳」を読んでみた。
マーケターとしてのこの本からの気づき
副題に「なぜそれを選んでしまうのか?」とあるように、ニューロマーケティングの考え方をもとにした、理性的ではなく「感情的」な買う時の判断について書かれている。
と同時に、脳科学研究者の著者がその知見を説明することで、消費者として賢い買い物ができるようにすることにもある。
ボクたちマーケターの多くは、これまでの理論やフレームワーク,そして数字を用いてロジカルに物事を考える傾向が強い。しかし、生活者がモノを買う時はどうかというと、必ずしても論理的に,三段論法を用いてモノを買う意思決定をするとは限らない。
中学3年生になるうちの娘を見ていても、
「あ、これカワイイ〜」
と言って買いたくなることもしばしばなのだ。
マーケティングに限らず、このような情緒的で一見説明しづらいことをなんとかまとめていくのが科学や学術のすべきことなんだけど、消費行動の特に「脳の中身」が何を考えてどのようなステップでモノを買うに至るかをこの本はまとめている。
たとえば、裕福なエリアに住んでいる少女は「多分賢い」と思い込んでしまう、という実験結果があるそうだ。これを脳はパターンを求めると意味付けている。すなわち、人は無意識のうちにカテゴリー化してしまう、ということである。(第5章)
これをマーケティング活動に活用するとすれば、拙著「なぜか売れるの公式」にも書いたようにハロー効果を用い、著名人やその道の第一人者に解説をしてもらうなどしてもらうことで、購買意欲をあげることにつなげられるのだ。これはブランドマネジメントをする際の「見た目の価値」の資産につながる「信じる理由」の一つにもなる。
このように、脳科学をマーケティング活動に応用することは可能になることが、この本には多くの実例とともに書かれている。
ニューロマーケティングを活用するときに気をつけるべき点
もちろんこのアプローチを活用する際には気をつける点(=ダウンサイド)もある。
生活者の消費行動の逆手をとり、「だまして買わせる」という姿勢にならないように気をつけるべきである。
たとえば、第6章「雰囲気の説得パワー」にある視覚への効果の中で、光の当て方によって野菜などを美味しく見せることができるとのこと。
これは,小売業などが用いるVisual Merchandising VMDと呼ばれる考え方などにも応用できる考え方で大いに活用できる。
しかし、この場合気をつけなければならないのが「売り手目線」にならないこと。
たとえば、少し古くなった野菜や、信頼できないところから安く仕入れたものを、よく見せようとして照明でごまかす、ということは本末転倒でやるべきではない。
自社の都合で物事を考えるべきではなく、あくまで「より美味しく見せる」ことを主眼に置くべきなのだ。
ビジネスで一番大事なことは「いいプロダクトを生産し顧客に価値を提供すること」。よく見せることは二の次なのだ。
この点をはき違えると、脳科学ニューロマーケティングも意味がなくなってしまう。
ビジネスにおいて「稼ぐ・儲ける」は目的ではなく、顧客や社会、自社を幸福にするための手段に過ぎない。このことを再認識したうえで読むと、非常に使える本なのだ。
おススメです。
■この本から学ぶこと■
- 消費者がモノを買う時には、論理的でなく感情的に行動する。そしてそれは脳が関係する
- 脳が関係するその行動にはいくつかのパターンがあり、覚えておくとマーケティングに活用できる
- しかし、あくまで顧客主導。自社の都合で考えない
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