博報堂生活総合研究所が発刊している「デュアルマス」という本にある考え方が面白い。
3つの2極構造で生活者を群衆(=クラスター)に分けている。
通常のターゲティング・クラスタリングの中でも、面白い視点だと思う。
ちなみにこのクラスター分析とは、「女子力男子」「おひとり様「草食系男子」などといった消費行動や生活スタイルを分析しある程度の傾向が見られる「塊」として、名付けているものである。
1.ちょっと先の生き方
まず最初に紹介されているのが、
- 一人でこれからも生活していきたい独衆
- 誰かと生きていきたい属衆
とのこと。
独衆がこれからのマジョリティになるそうだが、属衆もまだまだ多いとのこと。
面白いのは独衆で、男女で好むものやコトが異なるという。独衆の男性は、パートナーはともかくご近所など人とのつながりを大事にするそうだが、女性はお一人が好き、という傾向だそうである。
2.経験が分ける考え方
バブル期を経験しているかどうかで、大きく消費行動が変わるということ、
そしてそれはここ数年で、数的に半分ずつくらいになるという点も興味深い。
- AB=アフターバブルと、
- BB=ビフォアバブルでは、
バブル時代を体験しているかどうかで、価値観が大きく異なるというのが視点である。ちなみにボクは52歳、ということで完全なBB世代になる。
ABは、Innovation的なモノや考え方に惹かれるし、 BBは匠の技に代表されるPremiumを追い求めるとのこと。
3.モノ選び
モノの選び方としても2極分化しているとのことで、
があるという。
この3つの「デュアル・マス」、消費者インサイトを考え、自社製品・サービスが売れるかどうか(=市場性)をはかる時にも使えるし、広告宣伝・販売促進のコピーやイメージの表現にも適用できる考え方である。
大企業と違い、中小企業や個人事業主は自社内で戦略をたて、実践していくべきである。
その際に、自社の顧客像が固まっていないと、広告表現や媒体選択がぶれてしまい、販売促進や広告への「投資対効果」が悪化する。
売れるものも売れなくなってしまうのだ。
こういった考え方を知っているかどうかだけで、ターゲットに刺さる表現もできるし、よく見ている媒体を選べる可能性も高くなる。
マーケティングはかくも重要なのだ。
*博報堂生活総研 原田曜平氏の著作。クラスター分析による消費者像の具体化、どれも参考になります。
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理央 周
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宣伝会議さん主催のマーケティングセミナーで「今の時代に求められるターゲティング」をテーマに講師をさせていただいた。サブタイトルは、ターゲティングから紐解く、顧客獲得 である。
この講座は、半定例化していて昨日で3回目。
毎回満席で、次回も既に日程が決まっている。
それほど、ターゲティングは重要性が高い、と企業も認識していることが伺い知れる。
ボクのところにくる講演・セミナーの依頼もこのテーマが多い。
さらにコンサルティングや研修の相談に来る企業の方々のヒアリングをしてみると、
大半の企業がターゲット設定を間違えているか、ターゲットを絞っていない。
それでは売れるはずもない。
今回の講座では新しく企業間取引、いわゆるB to Bの内容も取り入れた。
日本の企業の多くがB to B 対法人の取引をしているのに、B to Bのターゲティングの考え方をまとめた本などがないためである。
受講者からの質問でもこの部分が大半だった。
かくもB to Bのマーケティングはともすれば営業よりも軽視されがちであるが、士業などを含め、いまこそB to Bの企業こそマーケティングの考え方を取り入れるべきなのである。
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滋賀商工会連合 びわ商工会さんのエキスパート登録の仕事で、米原にある建築会社さんに、コンサルティングに伺った。
ヒノキや杉を中心に木の家を建てておられる企業さんで、初代の会長さんと2代目の社長さんとのご面談。自社独自の強みは「おもてなしの建築」であり、米原市にあるモデルルーム。
こちらは、入った瞬間に木の香りがする素晴らしい造り。
中に入って、家のつくりや構造をお聞かせいただき、このモデルルームをどう活用するかをアドバイスさせていただいた。
やはり、自社のUSPを分かってもらうには、体験してもらう、つまりマーケティング用語でいうところの「エクスペリエンシャル・マーケティング」の手法が最も成約率を上げることができる。
ターゲティングから、集客の手法までを一通りご説明いただいた。
新しい表現と媒体で、実際に集客されて契約に至る率と数がどう変化するかが今から楽しみなのだ。
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「メジャーを生み出す」を読んでみた。
副題に、「マーケティングを超えるクリエイターたち」という、マーケターにとって非常に刺激的なタイトルがついているのも気になった。
内容は、11人のクリエイターたち、例えば漫画家や映画監督、ラノベ(=ライトノベル)の作家たちの活動と考え方、売れるまでの道のりなどが描かれている。
90年代くらいまでのメジャーヒットが多く出ていた時代と違い、2000年以降はなかなかモノやサービスで大ヒットが生まれにくい中で、ヒットを飛ばしてきた人たち、になる。
特徴的なのが、この時代の大多数はラノベの作家に代表されるように「自己承認・肯定されること」に対する欲求が強いこと。以前のように、「影響力のある人の意見に追随する」ということは少なくなってきている。オタクと呼ばれている層とはまた一つ違う層が出現していると見ていい。
そんな中で、普通の人に売るにはどうしたらいいのか、という品とが多くこの本に真美けられる。その意味で,この本はやはり「マーケティング」の本、なのである。
この本の冒頭に書かれている、
「この国では長く、マーケティングは特定の集団や世代を志向することととらえられてきた」
とある。
いわゆるSTPの考え方を指しているようだが、ここ最近はそういったフィリップ・コトラーが提唱しているモダン・マーケティングでは追いきれない層が出てきていることも事実である。その意味で、この本に書かれていることはモダン・マーケティングへの「アンチ・テーゼ」なのである。10年前の本だけどブラウン教授のポストモダンマーケティングにも通じるところがある。↓
私の考えはこうだ。
モダン・マーケティングの考え方は、とはいうものの、基礎として必要である。
その基盤を押さえた上で、どこまで柔軟にSTPから離れて「自社のプロダクトがヒットできる層」に見つけ適切に到達し購買を促せるかが「売れるかどうか」のカギになる。
選択肢が多くなると、人は選べなくなる。
モノやサービスがあふれている現代でメジャーを生み出すには困難がつきまとう。
「自己実現」の欲求から生まれうるメジャーということに関して、とても興味深い1冊だった。
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理央 周
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毎月準レギュラーとして出ているZIP-FM「モーニングチャージ」
出ているのは毎月第4月曜の朝で、この番組にある「トヨタ ハイパーチャージャー」のコーナーに、7時45分くらいから出ている。
ZIP-FMでは「エントリー」というサイトを設けていて、ここに「理央さんに聞いてみよう」ということでマーケティングに関する質問ができるようになっている。
名古屋市昭和区にあるうどんやさん
今回は、こんな質問をいただいた。
「うどん屋をやっています。
2号店を出したいと、ずっと狙っていたエリアに、他のうどん屋が出店してきました。
特徴として、「お値打ち価格、だけど安過ぎず」、「チェーン店ではない」。
それに「名古屋では珍しい関東風」といったように自分の店と、個性がかぶっている様子です。
自分もすっかり店を出すつもりでしたが、ここは、いったん引っ込めて様子をみたほうがいいのでしょうか?」
このメールを読む限り、まだ出店計画を中止できる段階のようだが、ボクは、
「まだコンセプトがはっきりしていなさそうなので「練り直してできる限り早く」出せるにはどうすればいいのか?を考えるべきですね」
と答えた。
いったん中止して相手の様子を見る場合のメリット、デメリットを考えてみたい。
様子を見るメリットは相手の戦略や様子を見たあとで自分だけのメニューなどを開発できること。デメリットは、先行者利益を与えてしまうこと。その地域での「うどん屋」としての認知度があいての方が先に高くなってしまうことにある。
強引に同じタイプの店をぶつけていくメリット、デメリットというと、
「同じうどん屋というカテゴリーで違うタイプならともかく、同じタイプのものをそのままぶつけるメリットは無いに等しい。後発にとってはデメリットだらけである」
一番やってはいけない事は何かというと、「価格競争」
利益も減るし、ブランドマネジメントで重要な「見た目の価値=Perceived Value」も下がってしまう。もっとも避けるべきである。
飲食店は何で勝負をすべきなのか?
「では何で勝負していくべきか?」
やはり、どんなうどんで誰を幸せにしたいかをまずは考えるべきである。
うどん屋に行く理由は、値段や味だけではないはずである。
先日このブログでも紹介した、名古屋市天白区植田山の鮨や、ふじわらさんでは、カウンターの下に小さい電熱線が引いてありほっこりした。
顧客が満足し、次にもう一度来たいと思うのは味に加えて、雰囲気やおもてなしなど総合的なものになる。したがって、勝負は価格だけですべきではない。
*そのときの記事は⇒ こちら
こういう場合でも、自分の構想は変えないべきですか? それとも柔軟に対応すべきなのだろうか?
うどんへのこだわりはそのままで、お客様に喜ばれることを取り入れる心だけは、臨機応変に常に探り改善していくべきである。
■行列ができる飲食店になる3つの秘訣■
1.まずは自社だけのメニューを開発する
2.誰をどうやって幸せにしたいかを徹底的に考える
3.常に改善していく
マーケティング コンサルタント
理央 周
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