究極の参謀を見抜く10の質問 と副題にある通り、コンサルタントとして必要な資質と要素を10の質問にまとめてある。
私は、起業前まで企業内でマーケティング・マネージャーで、
起業後の今はコンサルティングを提供している。
したがって、コンサルティングを受ける側と、提供する側の両方の視点で、
この本を読むことができた。
この本は大きく2通りのビジネス・パーソンが、それぞれの視点で読める。
つまり、事業主としてクライアントサイドとして、
「どういうコンサルタントを雇うべきか?」という視点と、
コンサルタントが、
「どういうコンサルタントを目指すべきか?」
という視点である。
この本は、大きく3部構成になっている。
まず、プロローグとしてコンサルティング業界を4つの世代に分けている、
大前研一氏や堀紘一氏がコンサルティングを、日本に輸入してきた時代から、
ビジネスとして浸透し、現在では「過多」の状況になっているという変遷がまずは説明されている。
これにより、コンサルティングがどういうものか、を把握することができる。
本編は、帯にも書いてある通りいたいコンサルなのか、すごいコンサルなのかを見抜くための10の質問に、それぞれ答えている。
そして最後の章に、コンサルティング業界の内憂外患として、どういう人が成功するのか、数字感覚やケーススタディー、成功プロジェクト失敗プロジェクトの事例などがまとめられている。
この10の質問が本質をついていてとても興味深い。
それぞれの質問を聞く理由は、以下の内容を知るためである。
提案をしてきたコンサルタントが、
- 業界構造に精通しているか
- 最終提言を第0日に30秒で語れるか
- どんな数字も自由自在に作れるか
- アクション至上主義か
- 定石がすらすらと出てくるか
- 直言できるか
- 組織の空気感がわかるか
- 成功報酬を歓迎するか
- 長いプロジェクト経験が多いか
- パートナーがしっかりと時間を使うか
これらは、一見あたりまえのように聞こえるが、
クライアントサイドからすれば、非常に重要なことなのである。
コンサルタントを雇う場合に、事業主にとって「無駄な投資にしないため」である。
同時に、この10をチェックポイントとし、
自社として抜け漏れはないか、
自社が提供していることが、クライアントの価値に直結しているかを確認できるのだ。
コンサルタントが参考にすべきは、
バリューチェーンの各フェイズにおいて「プロフィット・プールを描けているか?」
と、自問自答してみるとか、
「仮説に実効性があり」、「クライアントが正しくアクションできるか?」
と、提供物をレビューしてみるのにいいだろう。
長くコンサルタントをやってきた著者が書いているだけあり、
「コストを因数分解する」というくだりの事例も生々しく、
その分、有用性がある。
質問5の「すらすらと定石が出てくるか?」も面白い。
定石とは、理論やフレームワークのことだが、
それらは「生きていないと意味がない」と著者は言う。
定石を知っていることは、必要条件だが、十分ではない。
クライアントサイドにいる経営者は、その道のプロである。
経験値や、生の情報を数多く持っている。
コンサルタント側はその意味で「情報が不足している弱者」なのだ。
しかし、勘、経験、度胸というKKDに頼っていると、
道を大きく踏み外すリスクもある。
その意味で、定石を知った上で、どこまで突き抜けられるかが、
最低限のリスクでの、最大限のリターンに繋がる。
事業主としてもクライアントサイドの経営者は、
「耳が痛いが重要なことをしっかりというコンサルタントなのか?」
「テーマ、期間、検討範囲が明確になっているか?」
「何をすべきかというアクション・プランまで提案されているか?」
といった、コンサルタントからの提案に対するチェックリストに使える。
私自身の仕事にも大いに参考になった。
クライアントサイドからも、コンサルタントサイドからも、
勉強になり、実践できる内容の良書だった。
マーケティング コンサルタント 理央 周(りおう めぐる)
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