「問題解決のためのあたらしい武器になる 視覚マーケティング戦略」読了。
なぜ視覚に訴えることが重要なのか?
視覚を制する者は、ビジネスを制すると副題にあるとおり、視覚の重要性を知ることができる。
マーケティング・コミュニケーション、広い意味での広告宣伝と販売促進にあたるが、
その中身は「表現と媒体」に分けられる。
表現は、顧客または生活者へのメッセージのことで、これも文字である「コピー」と、画像や動画にあたる「イメージ」に分けることができる。このメッセージを、メディアに乗せてターゲット層に運ぶのが、マーケティング・コミュニケーションになる。
この本では、さらにわかりやすくLINEを例にとり、文字で「事実」を伝えることができ、スタンプで感情を伝えることができると説明している。
こういったマーケティング活動におけるコミュニケーションの中で、ネーミングなどの事例も出しているところがわかりやすい。たとえば、生ジュースをスムージーと言った瞬間に受け手の印象はまるで変ってくる。これが、視覚におけるマーケティング戦略なのである。
デザイン・クリエイティブをビジネスに活かす:この本の使い方
この本が他のデザイン関連の本と違うことは、そもそも論として視覚、ビジュアルをマーケティング活動に取り入れていこうという趣旨で書かれている点。その点にボクも大きく共感するのだ。
たとえば、第2章には「自分たちの価値を見つめなおす」ところからスタートすべきとある点などはまさにその通りである。ボクの解釈は「最初からカッコいいデザインやクリエイティブを創ろうとするのではなく、自社独自の価値を明確にして、ターゲットに訴えるデザインにする」という、いわば「デザイン・ニュートラル」な姿勢で行きましょう、ということになる。
もう一点この本での学びは、ロジックからでは解決できない問題点は右脳思考にシフトすること、とある点。クリエイティブになるために、普段どんなことをすべきかという生活習慣が書かれているし、さらに「やってはいけない」ことまで巻末資料として書かれている。
読み方としては、1~8章が基本的に押さえておくべき考え方編、そして9章以降が実践するときのコツ、となっている。
手法だけでなく、デザインやクリエイティブのようにまず視覚に訴えることが重要なのかを説明し、その後「どうすればいいのか」を解説している。とても再現性が高い、という意味でマーケティング、企画、販促、流通などに携わるビジネス・パーソンにおススメの一冊である。


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マーケティング コンサルタント
理央 周
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「視聴率15%を保証します!」読了。
副題は「あのヒット番組を生んだ発想法と仕事術」とある

著者は,現テレビ朝日(当時のNETテレビ)で洋画の買い付けなど数多くの仕事をしてきて、そのあとに東映アニメーションでも大ヒットアニメを立ち上げられた方。
なので、テレビの草創期くらいからメディアとしてのテレビ業界のまっただ中にいて仕事を最前線でされてきた方なので、書かれている事例が非常に勉強になる。
ヒット番組を作り上げるプロセスや、買い付けた洋画につけるネーミングなど、企業のマーケティング活動に当てはめて読んでいくと、楽しいだけでなくかなり参考にできる部分も多い。
読んでいて「なるほど」と最も感動したのが007を買い付ける際の逸話。
ユナイト映画の副社長が契約の最後の詰めに来日した時に、ひっくり返されるシーン。
詳しくはネタバレするので書かないが、著者がどうしてもと交渉した熱意が克明に描かれている。
ボク自身、根性論や精神論は苦手な方だが、やはり物事を成し遂げるには「熱意」がなければ何事も始まらない、ということのいい事例だと思う。
やはり一つのことを極めた方の言葉は重く、また参考になる。
その意味でも、これから管理職になるビジネス・パーソンの方や、中小企業経営者にお勧めしたい1冊である。

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「新しい広報の教科書」を読んでみた。
なぜ広報活動をするのか~この本が使える理由
マーケティング活動において広報はとても重要ないち機能である、がゆえに、
今現在で広報活動として何をすべきか、ということを知るためにはとても役に立つ1冊だった。
この本の良さは、手法を教えているだけではなく「なぜ広報をすべきなのか」、
「取り上げもらいやすくなる理由はなにか」という普遍的な根拠がしっかりと書かれている点にある。
著者は、広告代理店系の企業での経験もある、ぐるなびの広報グループ長の方。
実際に今広報担当者として実務をされている方なので、
なまなましく、広報活動の現場の実態が描かれている点が、私たちがビジネスに使える内容になっているのだと思う。
この手の本は「プレスリリースの書き方」とか「広報資料の送り方」といった手法を中心に説明されていることが多いが、なぜリリースを送るのか、なぜ取り上げられにくいのか、取り上げられるにはどうしたらいいのか、というそもそも論が書かれている。
たとえば記者さんに尊敬の念をいただくことから始めることで、お互いの信頼関係ができる。
メディアの方々も人間なので、やはり自社とメディア担当者の距離感が縮まれば取り上げてもらえる確率は上がるのだ。
そのあとで自社の事例などを説明しているので、読んでいる私たちにとっては「自社に当てはめたらどうなるのか?」という再現性が高くなる。
この本のすぐに使える広報アイディアとポイント
もちろん、この本に書かれていることで、すぐに仕事上つかえるポイントも多くあり、
記事を書いてもらうための5つの秘訣の中では、リリース送付のタイミングとその重要性にも触れられているし、自社ネタのストーリーの重要性が説明されていることで、こちら側もリリースの書き方や盛り込む内容までアイディアを膨らませることができる。
大企業のみでなく、中小企業や中堅企業にとっても広報活動によってメディアに取り上げられることは重要である。
その意味で、大企業の広報担当者のみでなく、企業の経営者にもお勧めの一冊である。

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「カフェと日本人」を読んでみた。

ボク自身、カフェ好きで珈琲好き。
このシンプルな表紙もあって手に取ってしまった。
まず面白いのが喫茶店の歴史が数多く紹介されていること。
有名な銀座の喫茶店に始まり、ゴーゴー喫茶、歌声喫茶など、
その時代に応じて喫茶店も変遷を遂げてきた様子が書かれていて楽しい。
また地方における、人々の喫茶店への思いや利用度合いが分析されているのも、
ボク自身、マーケティング的な考え方をしていく時に興味深く読むこことができた。
ドトールやスタバと待ちの喫茶店の比較はもとより、
たとえば、著者の方の出身が名古屋とうこともあり、愛知県の分析は特にしっかりとされていて、県民一人当たりが使う喫茶店代は飲み代よりも多い、などなど、数字を見てみても興味深い洞察を得ることができるのだ。
おもえば、亡くなった父が無類の喫茶店好きで、引退後も毎日近所の友達とモーニングコーヒーを飲みに近くの喫茶店(なまえはなんと「おふくろ」!)に行っていた。
父は会社員時代から名古屋駅に行きつけの喫茶店がありそこにも連れて行ってくれたことを思い出す。
ボクがコーヒー好きなのも遺伝だろうし子供の頃から刷り込まれた好みなのかもしれない。
そんな意味で、コーヒー好き、喫茶店・カフェ好きには面白くさらっと読めるおススメの一冊だった。


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理央 周
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10月16日発売 新刊はこちら⇒ 「なぜか売れるの公式」

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No. 1トヨタのおもてなし レクサス星が丘の奇跡 読了。

レクサス星が丘が全国で1位になる理由
自宅から近いこともあり、ボク自身もよくこのレクサス星が丘店の前を通る。
そうすると、ホテルのベルボーイのような姿の方がいつもいる。
この本によるとこの方は「早川さん」
レクサスが店舗の前を通ると、自店舗で買ったかどうかにかかわらず、かならずお辞儀をするという。
レクサスに限らず、カーディーラーは小売業である。
極端に言うと、「レクサスはどこで買っても同じ」になる。
したがって、名古屋でいえば星が丘店、昭和店などなど多くの販売店があるが「レクサスそのもの」は同じレクサスになる。
また顧客側からすると、必ずしもレクサスだけが自分が欲しい車だとは限らない。
メルセデスやBMW、ジャガー等の外国車も選ぶうえでの選択肢になる。
非常に厳しい競争の中での顧客の争奪戦、ということになる。
この星が丘店はその厳しい競争の中で全国のレクサス店でも1,2位の成績を出していて、全国から見学に来るという。そのポイントは「従業員のホスピタリティ」にある。
レクサス星が丘が売っているのものはなにか?
しかし、ひとことにおもてなし、ホスピタリティと言ってもそう簡単ではない。
現に著者は従業員に取材した時に「特別なことをしているつもりはなく普通のことをしているだけ」という意識で皆さんがいたと言っている。
きっとこの次元まで従業員の意識レベルを上げていくことが重要なのだ。
前述したように車そのものはどこで買っても同じもの。
しかし、車のような高額の商品は購買の意思決定をするまでに多くの要素を考える、いわゆる高関与商品。買う側からすると、関与する要素の中で販売員の方々の態度や思い入れが大きく意思決定を左右するはずである。
レクサス星が丘店では、最高品質の「顧客への思い入れ」を従業員が当たり前のようにやっているという他では類を見ない事例と言える。
ボクは販売員のマナーなどは専門分野ではないが、この本を読む限りレクサス星が丘店の従業員は「クルマ」のではなく、「顧客の車に関する幸せ」を売っているという意識でいるはず。
つまり自社の事業の定義を「車の販売」ではなく「顧客の移動手段の時の幸せを提供」としているのである。
売り手目線から買い手目線へ。
簡単なようで難しいことを難なくこなしているこの店の神髄を知ることで、自社の顧客サービスを見直したい経営者や迷っている営業マンにはおススメの一冊である。

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