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カテゴリ:「ビジネス書書評」の記事

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アメリカで小さいのに偉大だ!と言われる企業の、シンプルで強い戦略:中小企業の社員教育と理念の実践

ザッポスの奇跡の著者である、ロサンゼルス在住で、ダイナサーチというビジネスコンサルティング会社を経営する、石塚しのぶ氏の新刊である。

もともと石塚しのぶ氏が、提唱されてきた「コアバリュー経営」という考え方をベースにした本で、
コアバリュー経営の定義
実践
事例

という3つの大分類に分けて読んでみた。

すなわち、

コアバリュー経営とは何か
そして実践するにはどうしたら良いのか
具体的に、実践して企業は何をし、どうなったのかという実例

が書かれているため、私たち読者が読んでも非常に再現性が高い。
つまり自分のビジネスや仕事に、応用することができるのだ。

【コアバリュー経営】

まずコアバリュー経営とは、
「価値観を共有する仕組み」であると言っている。

核となる価値観こそが、コアバリューであり、
それをベースに組織をまとめていくということになる。
私が最も共感した点は、「人間主体の経営手法」であると著者が断言している点である。

いくらITが便利になったとは言え、
ビジネスは、「人と人」とが進めていくものである。

私も、経営コンサルタントとして多数の企業と仕事をしているが、
やはり一流の経営者、成果を出す経営者は、
人について悩む。

その理由は、「人は難しい」からである。
一方で、人こそがビジネスでの業績を伸ばしていくための、
最大で最高の経営資源であるという側面もある。

統一された意思のもとに従業員が動き、
顧客の価値を最大化できる人に育てていき、
さらにそれを仕事で実践するというのは並大抵の努力ではできない。

その意味でも、このコアバリュー経営の定義というのは、
企業の大小にかかわらず、必要な考え方であると言える。

【実践事例】
事例は、米国の中小企業を中心に描かれている。
例えば、ザッポスでは、
言うまでもなく顧客をハッピーにするという理念を実践してる夢で企業なのだが、
「顧客を満足にするためならほとんど何をしても良い」
ということであり、

ジョワ・ド・ヴィーヴルでは、ドリームメイカープログラムという制度を設け、
「人喜ばせることにこの上ないやりがいを感じる」社員を多く排出しているとのことである。

ミックスピザ&パブでは、命令ではなく「信頼とフォロー」という、
従業員間のリーダーシッププログラムがあるため、
本質的な信頼などがしっかりと育まれている。
したがって会社が学びの場所になっているいうことらしい。

このような事例をあげているなかで、5社に共通する秘密というのが、
「内発的動機付がある」ことだという。
それがhigh-performanceを生み出していると言っている。

【実践】

そして実践編ということになると、
企業文化に基づく
コアバリュー経営の定義
コアパーパスの策定
共有
という3つのステップで、社内に共有していくというフレームワークで紹介されている。

コアパーパス定義し
コアバリューを定め
それを共有する

といった3段階のステップだと言う。

私も多くの企業見ているが、経営理念やビジョンを掲げていても、
それを実践することがなかなかできない企業が多い。

しかし、このような事例を参考にしながら、
このフレームワークに自社を当てはめていくことで、
自社の理念の浸透に何が足りないのか、を発見することはできるはずである。

アメリカの小さな巨人、スモールジャイアントに事例には大きく勇気付けられた。
私も、コアバリュー経営の考え方を自社のクライアントへのコンサルティングに生かしていきたいと思う。

  

マーケティング コンサルタント 理央 周


* マーケティングアイズでは、中小企業の「米国」を中心とした海外進出をサポートしております。

  • 試食・テスト販売をやってみたい
  • 飲食店の第1号店を出したい
  • でも、いくらかかるのか、誰に頼めばいいのかが分からない

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加

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ビジネスの変革に必要な志と有用性:吉田松陰 松下村塾 人の育て方

吉田松陰 松下村塾 「人の育て方」読了。

仕事柄、マーケティングの本をよく読むのだが、ヒト関係、歴史関係、あり方といった分野の本を読む事はあまりない。

そんな中で、大学でも教え、マーケティング寺子屋という中小企業経営者に対する塾で教えている立場から、吉田松陰の教え方、塾での学び方・指導の方針などを学ぼうと思い、この本を手に取ってみた。

まず、第1章にある、官公立学校と私塾の違いがなかなか面白い。

当時の官公立学校は、幕府や藩の最終的支配層を育てる学校であった。 しかし私塾は、封建的身分秩序にとらわれない、士族と庶民の教学であり、教師と弟子の人間関係をベースにし、習熟レベルに応じた個性を尊重した教育がされていたとのこと。したがって、純粋な学問のみでなく、実際に仕事に役に立つ知識や、技能の習得が可能だった。すなわち多様なニーズが続々と生まれるなか、それらに対応していくものだったといえる。

興味深いのは、教師の関心事と、そのレベルによって学問の内容が定められたという点。これはまさしく私塾ならではである。言い換えると、通常の学校では学べない、また教えないことを学べるということになる。

さらに興味深いのは、知識や技能の上をいく、秘伝のやり方が中心だったということ。これは、一部ボクも寺子屋で自分オリジナルのメソッドを使っている点では同じだが、一方でボクに関しては、マーケティングの基本やセオリー、フレームワークをベースにしている点が異なる。ボクの場合は、折衷型なのである。

それにしても、吉田松陰は一貫して有用性、すなわち世の中で使える事にフォーカスしている。興味深いのは第二章、塾生に「あなたは何のために学問をしようとするんですか」と問う松陰の問いに対して、「書物がよく見えません。稽古してよく見えるようになりたいです」と答えた。すると松陰は、「それでは学者になってしまう。人間は実行が第一」と教えたというエピソードがそれを物語っている。

さらに、松陰は「あなたは何のために学ぶのか?」「人間の志はかくあるべきだ」とは言わずに、「あなたの志はなにかと尋ねる」。これはすなわち、実際の学習の場を通して、自分流の学ぶ方法をはっきりと自覚させ、そこにアドバイスを与えることで励まし、努力の継続を求めたのである。

志に関して松陰は、非常に深くまで追求していたと思える。私は本当に共感する。変革者のみならず、ビジネスをするすべてのものには「志が必要」だということに強く共感する、という意味である。マーケティングの世界で言えば、稼ぐ・儲けるではなく、顧客またはひいては社会のために何ができるのか、を常に考えることがマーケティングの本質だと考えているので、ボクにとって共感できるのだ。

松陰は、

  • 変革
  • 有用性

の3つを非常に重要視していたと言うことが言える。そしてこの時代には珍しいが、以降ずっとその3つのことが、ビジネスをする上でも必要不可欠で重要であることは間違いがない。その意味でも非常に勉強になる1冊だった。


マーケティング コンサルタント  理央 周

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「私の名前は高城剛。住所不定。職業不定。」

「私の名前は高城剛。住所不定。職業不定。」読了。

ハイパーメディアクリエイターとしても、
沢尻エリカの元旦那さんとしても、非常に有名だった高城剛氏の本。
とても興味深く読むことができた。

対話形式で書かれているこの本、中でも面白い高城氏の答えがあったので抜粋してみる。

  • アイディアと移動距離は比例します
  • 日常から離れれば離れるほど欲と俗が無くなり、自身が活性化しアイディアが沸き出す
  • お金や欲望はアイディアの天敵。
  • かっこいいとは不自然なことを言う。脱クール。
  • 失う事は、得る事への第一歩。
  • こだわりの逸品とは20世紀的固定観念の塊。

高城氏がこの本で言っていることは、当たり前のようで当り前では全くない。
高城氏のような才能やもって生まれた度胸の良さなどなど、
すべてを持っている人が多くない中で、
「ボク達にできるのか?」と思う人も多いはず。

ボクもそうだった。

でも、すべてを参考にしたり、真似したりする必要は全くない。
高城氏が言っていることは、仕事でプロジェクトを組み立てていく上で、
持っているべき姿勢だし、煮詰まった時のアイディアの転換にもなる。

こういう考え方があるんだ、と気づくだけでもこの本を読む、
またはこの本と出合うことに大きな意味がある。

こういった日常の中にある常識的な違和感というか非日常を、毎日意識できるか、
ほんのちょっとのことだが、やれているだけで自身の仕事出のアウトプットの、
大きな違いになって出てくるであろう。

とても画期的な内容だし、構成や編集もオリジナルでクリエイティブだが、
その意味で、一度は手に取る価値のある、おススメの一冊だった。

マーケティング コンサルタント  理央 周

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MBA・ビジネススクールで学びたいか迷っている人へ:かんべみのり氏「マンガ日本最大のビジネススクールで教えているMBAの超基本」

「マンガ日本最大のビジネススクールで教えているMBAの超基本」読了。

この本は、マンガでMBAがどんなもので、何を得ることができるのかを説明をしている「貴重な」本である。
ボク自身MBAを取得しているのだが、最近MBAそのものが「誤解されているな」と思うことが多々ある。

  • 理屈っぽい
  • 現場の仕事でつかえない
  • やたら大きく風呂敷を広げる

こんな風潮がボクがビジネススクールに留学した1990年代にはあった。たとえば、ロジカルシンキングは、ただ単に理屈っぽく物事をまとめる、というふうに思われている傾向もあるし、単なる理論やセオリーは不要だということをさも正しげに主張する人もいる。

しかし、ボク自身、ビジネススクールで学んだ事はもちろん、各種の経営学上でのセオリーやフレームワークも多く取得できたことのみならず、何より大事で今も有用だと思っているのは「異文化人との交渉力」であった。

この本では、論理的思考、ロジカルシンキングに関しては、XXツリーとか〇〇ストラクチャーなどを操ることや分析ツールをしっているかどうかということではなく、自分が伝えたいことを、

「誰にでもわかる平易な日本語」

で表現できることが大事であると主張する(まさにその通りうである)。さらにその結果として、相手から共感を得ることができるになる事が重要だと述べている。

著者の、かんべみのりさんは、ビジネスのフレームワーク等に関してはどうやら素人だったとのことであるが、ビジネススクールでいろいろなことを学ぶことによって、ビジネスを真剣にやる方々との共通理解が得られたとことの重要性がここに書かれている。

ビジネスは、簡単なものではない。
ボク自身、30年以上ビジネスをしてきて痛感していることである。

著者が、キャリアのやり直しということに関して目覚めたことも見逃せない。
ボクが、自分のキャリアの次のステップを目指そうと思って、インディアナ大学のビジネススクールに留学したことを思い出させてくれた。

いくつになっても、勉強であり、向上心を持って進んでいくべきである。

その意味でも、この本はすべてのビジネスパーソンにお勧めの1冊だった。

マーケティング コンサルタント  理央 周

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映画ファンのための映画の選び方を小林信彦氏から学ぶ

「映画が目にしみる」読了。


僕の大好きな、小林信彦氏の映画に関するエッセイ。この本なんかもすごい好きだけれども、この人の映画表は私見が多いというものの、逆にそこが面白い。

映画に対する描写も、映画がいい悪いという「単なる評論」ではなく、
小林信彦氏の「好み」が色濃く反映されているのが、
逆に、公平な目で、さらに映画好きな人の視点で見られているので、すっと読める。

第3者的視点であるため、ニュートラルに紹介されているから、
このように読みやすいのだと思う。
ともかくこの本を読むと、紹介されている映画が見たくなるのはこういった理由なんだろう。

たとえば、小林氏はニコール・キッドマンが好きなようで、
この本の中でもキッドマンの映画がかなり紹介されている。
ボクも観た「バースデーガール」などの紹介では、
「安っぽい感じの悪女」がぴったりと書いているが、まさにその通り、
ニコール・キッドマンの良さが「ファンの目から」の視点で描写されている。

小林氏は、映画はできる限り試写室ではなく、映画館で見るようにしている、とのこと。
この点も、映画好きならではの行動だ。

同じ目線から放たれる言葉は説得力があり、共感もする。

本や映画ファンから聞いてみたくなる映画は、自分から選ぶ映画とは違う。その意味で、今までとは違う面白い映画を発見できるはずなのだ。

少し前の本だが、映画好きがもっと映画を楽しむために、
「映画ファンの小林氏のおススメから探してみる」のに最適な必読の一冊である。

マーケティング コンサルタント  理央 周

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