Marketing i's [マーケティングアイズ]

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カテゴリ:「ビジネス書書評」の記事

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アメーバ経営 リーダーを目指す、組織作りに悩むマネージャーへ 稲盛和夫著


ここのところとみに、企業経営においての管理会計の重要さを痛感している。

もう一度、管理会計を含めて、経営全般を俯瞰してみようと思い、いくつかの書籍を読んでみたのだが、考え方だけではなく、実務上何が重要なのかということを知るためにも、名著の誉れ高いアメーバ経営を読んでみた。

私のイメージとしては、稲盛和夫氏と言うと心の経営が中心なのだと感じていた。
経営にとって、1番重要な事は人間である。
そこに関して、何の疑いもない。しかし、ロジカルな考えも重要だと、私は信じている。

この本を読んで、その考え方がいい意味で覆された。加えて、このアメーバ経営のアメーバとは、稲盛和夫氏が京セラで最小限のユニットオペレーションとしての上集団組織を表している点を再確認できた。その採算単位であるアメーバが、明確な意思と目標を持ち成長を目指すことによって、1つの自立した組織となりその集合体が組織であり企業である、という考え方になる。

その意味で、各組織を小さなユニットに分けて、部門別採算管理を行うということを、実際の形で実践されてきたということが、生々しく成功談も失敗談も合わせて具体的に書かれている点が再現性が高い。

この中で、特筆すべき点をいくつか抜粋しておく。

  • 自由度の高い組織だから経営理念が重要。
  • 受注生産方式をとったため、原価+利益=売価と言う考え方ではなく、売値マイナス原価=利益と考え、売り上げ最大、経費縮小に徹する
  • 175ページの在庫販売方式の収入におけるコンセプト図
  • 目標設定をすることで全ての組織のベクトルの方向を合わせる

こういったことが、組織の隅々にまで浸透することにより、売り上げ最大化及び経費の最小化による利益の最大化が実現されることを改めて感じた。

数ある実践書の中でも、この本は非常に体系的に描かれていて、さらに具体的な事例が多い。したがって、この本を読み自分がすることで社内に浸透を自分なりにするということができるという点においても、今の時代でも十分通用する考えである。その意味でも、素晴らしい一冊だと言える。

マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)


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世界のビジネスエリートが身に付ける教養 西洋美術史 木村泰司氏


昨年末に、木村氏の西洋美術史の講演を聞いてすっかりファンになってしまい早速読んでみた。その時は、クリスマス前ということもあり、宗教画における歴史との関係と言うテーマだった。

木村氏の講演いや著作には、絵画の背景にある歴史的事実やそのさらにまた背景にある社会的な状況を照らし合わせて説明してくれるため、絵画をただ単に美術品として見るだけではなく、歴史の中の1創造物として見ることができるため、より楽しくまたさらに深く味わうことができる。

この本でもそうだが、絵画におけるヒエラルキーの構造とか、フランスが美術大国になった理由とか私たちが、ざっと並んできたいわゆる世界史と言うもののをより深く興味深く考えまた見つめ直すことができる。

章立てはこちら

  • 第1部  神中心の世界観はどのように生まれたのか?  ギリシャ神話とキリスト教
  • 第2部  絵画に現れるヨーロッパ都市経済の発展  ルネサンスの始まり、そして絵画の時代ね
  • 第3部  フランスが美術大国になれた理由  偉大なるフランス誕生の裏側
  • 第4部  近代社会はどう文化を変えたのか?  産業革命と近代美術の発展

西洋美術にしても、文化にしても、この本をそのまま仕事やビジネスに繋げることかどうかは重要ではない。この本に書かれている歴史的な背景と美術が生まれた因果関係に大いに学ぶところはあるし、特に木村氏の洞察力による芸術への新視点によって自分の歴史観を変えることができる点など、読むことによる勝ちは大きい。教養は、有益な知識を積み重ねること。ビジネスパーソンとして大きな財産になる一冊だ。

マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)


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ライフシフト Life Shift 100年時代の人生戦略「働き方改革」の参考書として


ビジネスは成長ではない
人生はお金ではない

人間の寿命が延び100年生きる時代になったときに、これまでと同じ考え方でキャリアを見ないほうがいいし、人生を設計しない方が良いと言う観点に立ったとても面白い冊だった。

時間術の本を書いているからか、私にも、最近働き方改革についての講演依頼が多いので参考になるかと思って読んでみた。

まず、この本の特徴は100年の寿命に伸びるということになると、それだけ私たちが生きていく時間も増えるわけなので、今までのように仕事と呼ぶ要請と言う2つのステージではなく、仕事1、仕事2、第3の最後のステージ、と3つのステージで分ける、というような変化が当たり前の時代になるというのは大前提だ。

したがって、1番この本の言いたいことを、一言で言い表せているのは、レクリエーションからリ・クリエーションと言うことであろう。これまでと比べ、定年になったら仕事は終わり、それから余暇の時代といったようなキャリアの考え方、またはプライベートの考え方ではなく、人生の3つのステージでどういう風に生きるのか、それを仕事、お金、時間といったような切り口で考えている点が新しく面白いのだ。

そして、各所に書かれている視点もユニークだ。第4章の見えない資産の中で、お金に換算できない無形の資産の価値とは何かという考え方が出てくる。無形資産とは、1つは生産性資産、1つは活力資産、1つは変身資産の3つとのこと。このように体系化して新しい試み、そして私たちが新しくやること、を非常に具体的に、しかもリアルに描いている点が、これからの人生、そしてキャリア形成の参考になる。

ここ数年、働き方改革が叫ばれている中で、多くの問題点は企業側と働く人の側とのギャップにあると私は思っている。

中でも、仕事において成果を計測する際には、アウトプットすなわち計測可能な達成したことという認識の人がほとんどである。しかし、まず1つは大きな視点で俯瞰しなければその生産性が正しいかどうかがわからないという点を考慮しなければならない。さらに、数値的な生産性だけではなく、質的な創造性につながる生産性も考えなければならない。1時間に1つでも多くのケーキを作る、という数量的な生産性だけでなく、売れるケーキをどう作るかといったような知恵を絞る創造的で質的な生産性にも目を向けるべきであろう。クリエイティビティが向上していかない限り、縮小する市場の中で生き残ることは難しい。

そんな中で、この本は私たちがどうやって創造性豊かな感性豊かな仕事ができるかについて、1つの道しるべになってくれる。

その意味でも、とても有益な一冊だった。

章立てはこちら:

序章 100年ライフ
第1章 長い将来
第2章 過去の資金計画
第3章 雇用の未来
第4章 見えない資産
第5章 新しいシナリオ
第6章 新しいステージ
第7章  新しいお金の考え方
第8章  新しい時間の使い方
第9章 未来の人間関係
終章 変革の課題

マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)

最新刊!「実践マーケティング入門」


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世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?経営におけるアートとサイエンス 山口周氏

この本のエッセンスは、
「分析、論理に軸足を置くサイエンスに基づいた経営では、この複雑にうごめく環境下での経営は困難だ」
という問題に対する答えを述べている点にある。

私は常々、マーケティングは「サイエンスに基づいたアートだ」
と思っている。

マーケティング活動の顧客コミュニケーションの際に、
消費者や顧客の直接目に触れるクリエイティブは、
「アート」に機能性をもたせたものだと考えている。
アーティストが生み出す芸術に、企業側としての意図を加味する、
という意味で。

一方で、数多くの成功哲学やキャリアポルノ的なアプローチでは、
普遍性、再現性に乏しくなる傾向がある、とも思ってきた。

人間は、感情の生き物なので、必ずしも論理的に行動をするわけではない。
その意味でも、今年ノーベル賞経済学賞の受賞テーマが、行動経済学だったことが興味深い。

この本では、その一つの回答として、アートとサイエンスに加えて、
「クラフト」という概念を加えていることが私には参考になった。

というのは、混沌としているからこそ、垂直的に問題を解決できることは重要だと思うし、現実社会での経営活動やマーケティングにおいて、分析と課題形成までのステップにおいては、サイエンスの側面が必要である。

前述のアートという抽象的な側面と、成功哲学的なアプローチでの普遍性と体系性がカバーできないという側面を
をクラフトという個別の体験が固めてくれ、さらにそこをサイエンスがサポートする、というアート、クラフト、サイエンスの三位一体が、私の長年の疑問のヒントになりそうだ。

イノベーションが必要とされる今、「とはいうものの何をどうしたらいいのか?」というのがマーケティングの実務担当者の悩みだと思う。

イノベーションには、アート、美的感覚というものをいかに自分の視野に取り入れるか、という大きな気づきを与えてくれ、さらに具体例も書かれている。その意味で一読の価値がある1冊だと言える。


目次はこちら:

第1章 論理的・理性的な情報処理スキルの限界
第2章 巨大な「自己実現欲求の市場」の登場
第3章 システムの変化が早すぎる世界
第4章 脳科学と美意識
第5章 受験エリートと美意識
第6章 美のモノサシ
第7章 どう「美意識」を鍛えるか?


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スタンフォード式最高の睡眠 成果を出したいビジネス・パーソンに必要な夜の眠り方と朝の起き方

表紙の帯に「睡眠研究の最前線」とある通り、究極の疲労回復は睡眠だとずっと思っていた。たくさん眠るのは良いことなのか悪いことなのか、という眠りは量より質、スタンフォードで見つけた睡眠の法則という内容が面白かった。

【なぜ、この本を読んでみたのか?】

先日読んだ、最高の休息法(その時の記事はこちら ⇒ 世界のエリートがやっている最高の休息法)が、ボクの仕事とプライベートを、かなり加速させ充実させた。その時の記事にも書いたのだが、ボクはそれまで、呼吸法や睡眠、食事法などはスピリチュアルで、一人の成功体験も基づくものだから、再現性が低いものだと「思い込んで」いた。しかし、あの本以降、科学的にも証明できるアプローチがあり、また、ロジカルに書かれている本があると知り、「睡眠」に関して読んでみたのがこの本だ。

この本にもある通り、食事や栄養に気を使い、健康的な生活をし、体を鍛えることはビジネス・パーソンの常識になっている。その中で、まだ、なかなか手を付けられていなかったのが、睡眠である、という点が以外と盲点だったことに気が付いた。

中でも、この本の良さは科学的なエビデンスに基づいている点にある。一般的な成功哲学、自分がやってみてうまくいったという個人の見解ではなく、研究に基づいた内容をベースにしているので、普遍性と再現性も高いのであろう。

【ビジネス・パーソンとして実践したいポイント】

まず、質が高い睡眠を得るためには、眠りに入った「最初の90分」をしっかり眠るという点。レム睡眠とノンレム睡眠の繰り返しの最初の黄金の90分が重要だということを、科学的なアプローチで説明している。

どうしても、資料を作らないといけない時の徹夜はやはりよくないので、黄金の90分眠った後に起きて作成するほうがよい、といった具合に応用するとのことだ。

そしてなにより、この本の目玉は第4章の「覚醒」にある。
考えてみれば、ビジネス・パーソンにとって良い睡眠をとることは、ある意味手段であって、目的ではない。目的は、しっかりと仕事をする体制を整えることにある。

したがって、パッと気持ちよく朝に起きることができ、その後しっかりと質の高い仕事ができることが重要なのだ。

この本では、覚醒のスイッチは光と体温にある、と説明し、具体的な手法、たとえば起床時には光をしっかり浴びること、また体温を上げることを説明している。

睡眠ジャンクに陥らないように、という箇所に書かれている超一流のアスリートの 5つの共通点も面白い。

いずれにせよ、自己管理による体調の質のキープは、仕事の質に大きく影響する。
食事、鍛えることに加えて、睡眠も考え直すべきだということを再確認させてくれた、とても貴重な1冊になった。

章立ては、

  • プロローグ ぐっすりを追求した究極のスタンフォード・メソッド
  • 第0章 よく寝るだけでパフォーマンスは上がらない
  • 第1章 なぜ人は人生の3分の1チャンネルのか
  • 第2章 夜に秘められた黄金の90分の法則
  • 第3章 スタンフォード色最高の睡眠法
  • 第4章 長久曲!熟眠をもたらすスタンフォード覚醒戦略
  • 第5章 眠気を制するものは人生を制する
  • エピローグ 睡眠緊急の最前線スタンフォードで見つけたこと

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