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カテゴリ:「ビジネス書書評」の記事

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事業を創る人の大研究 田中聡氏 中原淳氏 著

ここのところ、イノベーションの必要性とか、新規事業の創設など、これまでにない試みや既存事業の枠を出た発想を、社員に求めたいと言う企業様からの研修が多く、気になったので読んでみた。

まず、この本の帯に書いてある、新規事業は斬新なアイディアがあればうまくいく説ってホント?というのが面白い。

経営陣や、企業の上層部の人たちは、新規事業は既存事業の枠の外にあるとか、これまでにない発想をやってみなさいと言うようなことを従業員に求めることが多い。

広い意味で、これは間違っていないのだが、従業員の立場からすると、そうは言ってもという感覚がある場合が多い。

新規事業スタートの、初期段階においては斬新な発想を持ち、それを事業として昇華させていくというプロセスが必要だ。

しかし、一方で新しいアイディアと言うものは、読んで字のごとく今までにないものなので、上層部や頭の固い人たちから見ると、新規性が、奇抜性に見えたりするのだ。この時に、上司の方としてはその斬新さを見逃さないようにしなければいけないし、従業員側の方では、上司や他部署、経営者の方から何を言われても自分の意見は正しいんだという強い気持ちと、理論武装が必要だ。

この本では、発想をどう産み出すかというプロセスよりも、発想を産み出すための人間性、キャラクター、考え方や組織のあり方という「ヒト的な側面」において、何が必要なのかに焦点を置いている点が面白い。

また、新規事業は、当たり前のことだが、継続していくものである。その意味で、初期段階が終わるころから中期段階にかけての実現可能性がなければいけない。

ここで、常々問題になるのは斬新なアイディアと、実現可能性と言う普遍性は、時々相反するものだ。斬新であればあるほど、奇想天外なものになり、また、実現可能性が高ければ高いほど、今までやってきたことに近いものになりがちだ。

このようなジレンマを解決するためには、一筋縄ではいかないのだが、この本には実際にそういった新規事業を手がけ、失敗と成功を繰り返してきた人たちの事例が多く書かれている。

この段階においても、貫き通すと言う非常に強い信念が企画段階から必要であるが、そういう点においても参考になる一冊だ。

マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)


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本質思考 MIT式課題設定&問題解決 平井孝志氏著

マーケティングを仕事にしていると、課題を解決することの難しさを身をもって知ることが多くある。

例えば「売れない」という問題は単なる事実的な背景にしか過ぎず、
「なぜ売れないのか」と3、4回深掘りしていくと、
実は販路に問題があり、本来ターゲット層がそれほど来店しないチャネルだった、
ということはよくある。

問題認識が浅いと、当たり前だが、課題形成も的外れになり、
「やっぱり売れなかったね」ということになりがちだ。

この本は、その点を「表層だけ見ていても、真の課題解決には至らない。
より深く本質を見なければならない」
と説いている。

その最たる表現が、第1章に書かれている、
「真剣に考える」「時間をかけて考える」は、
本質思考とは異なる、という点だ。

この本では、本質を「構造(モデル)と因果(ダイナミズム)」から成る、と定義し、全体を捉えた上で、課題解決に至るべきだ、という。

業界や状況によって問題は異なるし、
課題形成のアプローチももちろん異なる。
ひいては、問題解決に至るまでの施策もまちまちだ。
なので、施策や手法から入るのは、
おおよそブレてしまうことが大半である。

情報をインプットし、現状を正しく把握する。
そして、この本質思考をした上でアウトプットすべき施策を考える。
これによって、精度高い施策にたどり着く、
というステップかと思われる。

とても有用な考え方なので、私も研修などの参考にしていきたい。

章立てはこちら;
CHAPTER1 人は意外に深く考えていない
CHAPTER2 本質思考とは何か?
CHAPTER3 本質思考のステップ① モデルを描く
CHAPTER4 本質思考のステップ② ダイナミズムを読み解く
CHAPTER5 本質思考のステップ③ モデルを変える打ち手を探る
CHAPTER6 本質思考のステップ④ 行動し、現実からのフィードバックを得る
CHAPTER7 本質思考を身につけるためのトレーニング方法 

リーダー職、管理職が一度読むといい良書。


マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)


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ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と再生の戦略論朝倉祐介著

日頃、経営資源中でも、モノ=マーケティングを扱っている私としては、ヒトであるところの組織のあり方と、カネであるところの広い意味での会計の重要性を感じていた。

この本では、ファイナンスを「企業価値を最大化する考え方」と定義し、日本企業が陥っている短期的にビジネスを評価する視点をどう直していくべきなのか、そして創造性溢れる視点を持つ企業人として何を見据えていけば良いのかを明快に示している。

財務諸表を読み解くべきだということは、昔から言われていることで、この本にも財務諸表の読み解き方は書かれているのだが、今までにあるファイナンス、会計の本と大きく違うところは、キャッシュフローとBSを、私たちがどう解釈し、それをどのように自社の未来に投資していくのかという考え方と、それで成果を出してきた企業の事例とかミックスされて書かれていることがまずは第1点目。

そして、その視点を持つことで未来に向いた視点を持つことができ、正しい投資につながる、という流れで書かれているのが第2点目だ。

まず、日本企業が陥っている短期的な評価の視点を、損益計算書を重視しすぎる、またはそれしか見ていないという意味で「PL脳」と名付け、その弊害について具体的な事例を挙げている。

どうしても私たちは、財務諸表をその段階での通知表のようなものとして捉えがちだ。しかし、財務諸表は今現在を見るためのだものだけではなく、未来を見通すためにあるのだということこの本は私たちに示唆している。

このPL脳に陥りがちな原因としては、成功体験、役員の高齢化、メディアの影響などが挙げられている。短期的に売り上げと利益を上げなければと言う思考に陥りがちな要因になっているのだろうと思われる。

PL脳に陥るのは、一方で上記のような理由からだけではなく、その前段階においで、財務諸表のそれぞれの役割と、なんのために財務諸表を作成するのかというそもそも論への理解が足りないから、とも感じている。

特に、中小企業、起業家、大企業の新規事業の責任者といったこれから自社のサイズを質量ともに拡大していくビジネス・パーソンにとって、会計は、財務、税務、管理会計の3種類があり、それぞれの役割は何で、何を目指すのか、また、将来を見据えた時に、自社の現在地と未来への道においていくらをどこに投資するのか、という考え方ができないと、日本からアマゾンやアップルは生まれないだろう。

その意味においては、すべてのビジネス・パーソンが読むべき一冊だと言える。

章立てはこちら:
第1章 PL脳に侵された日本の会社とビジネスパーソン 
第2章 ファイナンス思考なくして日本からアマゾンは生まれない
第3章 ファイナンス思考を活かした経営:
〜アマゾン、リクルート、JT、関西ペイント、コニカミノルタ、日立製作所
第4章 PL脳に侵された会社の症例と末路
第5章 なぜPL脳に侵されてしまうのか

マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)


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売り上げの8割を占める優良顧客を逃さない方法 利益を伸ばすリテンションマーケティング入門 大坂祐希枝著

リテンションマーケティング、
サブスクリプションのエンゲージメントを、
どうつなげていくのかということに関して、
事例をもとに、マーケティングのセオリーを、
自社でどう展開していったかということについて書かれている。


そもそも、優良顧客にずっとファンでいていただく、
という事は、当たり前のことだが非常なことだ。


ドラッカーの言うところの、
顧客の創造とは、ファンを作り続けていく仕組みからと私は理解している。


一方で、事業主や経営者の中には、
新規顧客を獲得したいということを、
マーケティング活動の第一の目標にしてしまうことがよくある。


もちろんそれはある意味、正しいことなのだが、
獲得した顧客を維持するということに関して、
努力を忘れてしまう、なおざりになってしまうことが多い。


本来は、新しく顧客になった方々に、
より良いサービスを継続的に提供することで、
長くファンになってもらうことを目指すべきだ。


そしてそのファンの方々が、満足度を高めるごとに、
口コミで広がっていくというのがドラッカーの言うところの、
顧客の創造なのだ。


著者は、wowowに女性取締役として、
初のマーケティングトップになった方とのこと。


そして、業績としては四年連続顧客減から、
12年連続顧客増を達成したという、
成果もしっかりと出してる方だ。


事例では、就任直後に振り返った際に、
無料配信デーの設置が目当てだったり、
自社のことへの理解が薄い代理店から流入した新規顧客は、
やはり解約も早くしているということを、
まず事実として突き止めた。


そしてそこからが、この方の努力の始まりだった。
詳しくは本に書いてあることなのであるが、
一つ一つが自社のビジネスに当てはめてみることができる内容だ。
私の場合でも、クライアントに対して、
この本から提案できる参考になることが多くある。


例えば第3章に書かれている、
解約する人のペルソナを期間ごとに作成するという点だ。


通常ペルソナと言うのは、
顧客を獲得するときに全社一丸となって、
「このような人をターゲットとしよう」
という意思統一のために作られることが多い。


しかし、当時のwowowでは、ある意味逆転の発想があった。


なぜ解約するのか、お客様が何に不満を持っているのか、
このようなタイプのお客様にそもそも自社サービスをおススメしていいのか、という人をペルソナとして設定し浸透させたという、
逆転の発想がここに見られる。


こういった、通常のアプローチと違う事はなかなかできるものではない。
特に、wowowのような大企業では、
組織の壁がこのような新しいアプローチを阻むことが多い。


しかし、この形は、顧客の美味しそうしっかりと捉えている事、
そしてそれが理論武装されていて、
組織を動かす力があったこと、
また著者の実績と日々の仕事ぶりがこの変革を可能にしたのである。
これ以外にも、わかっていたつもりだがわかっていなかった事が多く書かれていることと、それが著者自身の実務体験に沿って書かれているため、とても腹に落ちやすく使える内容になっている。


マーケティングの重要さを知りたい人、のみならず、すべてのビジネスパーソンにお勧めしたい一冊だ。

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科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで 三田一郎著作

まず、タイトルにあるように科学と宗教、特にキリスト教における神の教えは相反するもので、従い科学者は神を信じない、と私は思っていた。

天地創造で神が土から人を作った、すべて神の創造物であるという考え方に対して、進化論をはじめとして化学の考え方が、相反するところが多いのだということを私は思いこんでいたからだ。

この本の帯に、アインシュタインは熱烈な宗教家だったとか、カトリックはビックバンを歓迎したなど、天地創造をめぐる科学者たちの葛藤が逆に、現代の宇宙論を産み出したたのだということが書かれているが、ある程度の知識、ある程度の教養というのは実はリスクを伴うもので、本質を知るとまた歴史を知ると、見えてくるものがあるということをこの本から学ぶことができた。

まず最初に、神とは何か、聖書とは何かという定義がされているので、後の宇宙理論、物理学等に関する宗教と科学の関係性がわかりやすい。

第2章以降は、地動説から天動説に移行する段階でのコペルニクスの時代、次にはガリレオの苦難の時代、さらにニュートンが発見した運動方程式と万有引力、そしてアインシュタインの相対性理論を含めた光を解明する物理学、そしてその後ハイゼンベルグときて、ホーキングの主張した、ビックバンと天動説の関係などが、その時代背景と宗教観とともに描かれている。

この本を読み始めた直後から、とても面白く興味が湧いてきて、最後まで一気読みしてしまったのだが、その理由としては、歴史上、また科学の進化してきたプロセス上で、それぞれ有名な人物や、歴史背景がまさにマッチして描かれていることだ。この本のように、科学と歴史に関して、教科書で表面上のことしか学んでこなかった私にとっては、それぞれが相関してつながりあっていることがとても面白かったのだ。

また、この本から学んだことも2つある。

1つは、世界を変えるような大発見というものは、今目の前にあることだけではなく、テーマを持ってそれを解決しよう、解きあかそうという執念によって生み出されたものだということだ。

何かを、見出すためには、生半可な覚悟では、成し遂げることができない。まずはその点を学ぶことができた。

そして2点目は、どの発見、どの科学者も、常識にとらわれることなく、自由な発想をする、という点だ。

常識の詰め込みだけでは、常識の範囲内でしか物事を考えられなくなる。これは、イノベーション的な発想を阻害する思考停止につながる。

著者も最後に書いていたが、科学に宗教を取り入れると言う事は、思考停止にならないかということに対して、そうではないと断じている。2つを直結させるということではなく、宗教間と、科学は相矛盾することだけではないという点で理解できた。

一見、この本は、ビジネスには関係ないように見えるが、執念を持って成果を達成しようとする強い意志と、既成の概念に囚われない自由な発想と言う意味でおい菜参考になった。

視野を広げるためにも、この本はビジネスパーソンにとってオススメの一冊だ。

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理央 周 発想術の本「ひつまぶしとスマホは同じ原理でできている」

 

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