思考の整理学読了。
【外山滋比古氏の特徴】
時代を超えた、ビジネス・パーソンのバイブルとして名高いこの本を、
次に10冊目として出版する「情報」の本の一助になるかと思って読んでみた。
思考の整理学、そして外山滋比古氏の特徴として上げられるのは、
「知の蓄積が教養である」
ということ。
随所に、ビジネス・パーソンが分かっているべき教養としての知識に裏付けられた内容がちりばめられて
いる。
次にエッセイ的な表現が面白い。
触媒 という節の中で、思考におけるカクテル法、という考え方を紹介している。
「優れたカクテルを作るには、バーテンダーの主観や個性が全面に出るのは感心しない。
小さな自我は抑えて、よいものどうしを結びつきやすくなって初めて、
良いものができる」
と、新結合的なことを、バーテンダーが作るカクテルに例えている。
こういった、分かりやすく、すっと入りやすいアナロジーまずは持ってきて、本題に入るので、
理解しやすいし、読者もはらに落ちる。
表現者としても、外山氏は一流なのだ。
この節の本質はその後にある、
「カクテル法を主にする学者は主観的になることを警戒する。
主観が強くなれば、学者の精神は触媒材でなく、化学の素材になってしまう。
それでは、創作活動になってしまう」
という部分だ。
学者ではなく、マーケティングを世に広めたいという考えと理念で仕事をしている私にとって、
いつもジレンマがある。
そのジレンマとは、
主観的な「手法論」や「成功哲学」を述べている書籍などは多い。
同時に、それらを書いたり話したりしている人たちが多いのは事実だ。
その理由としては「わかりやすい」からである。
しかし、あくまで成功哲学はその人が成果を出した手法であって、
主観性が高いがゆえに、誰にでもあてはまる、という意味で、
再現性が高いとは一概には言えない。
一方で、アカデミックなアプローチはえてして難解である。
専門用語も多く、複雑なステップで書かれていて、ボリュームも多い。
しかし、客観性を重視する学問的なアプローチは、成功哲学と違い再現性は高い。
なぜなら、多くの人たちの「眼」で見られた後に世に出ているので、
当てはまる、という意味で再現できる可能性が高くなるのだ。
この意味において、この節に関して大きく共感した。
【この本のエッセンス】
この本では、多くの示唆に富んだ内容が書かれている。
- 思考の整理学とは忘れることである
- 知識は、初期には多く取り入れるべき、しかし、後期は飽和状態になるので「削る」べきだ
~ マラソンに例えると前半は遠くに言えば行くほどよいが、「折り返し点」がある
後半は、スタート地点に向かう。なぜなら、一直線ではゴールにたどり着かないからだ
- 我々には、情報を改変しようとする「拡散的作用」と、まとまりに整理しようとする「収斂的作用」が
ある。これらは相反するものだ
といった部分である。
私には、上記の部分が特に参考になった。
なぜなら冒頭にも書いた通り、私は自分が書く「情報収集法」の執筆に参考にするためにこの本を読んだ
。
ビジネス書は目的を明確にして読むべきである。
これまで30年以上の間、この本を読んだ200万人は、
この本で知識を得て、教養とし、自分の仕事や生活に活かしたのだと思う。
この本は、皆が認めたとおりの良書である。
マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)
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