以前から、ジャニー喜多川さんが、数多くの候補の中からオーディションに呼ぶ人たちを決めているのか。
という、目利きに興味があったので読んでみた。
元SMAPの中居さんから始まり、木村拓哉さんや、長瀬智也さん、岡田准一さんといった、ジャニーズのスターたちが、
スター街道に来るまでに、そんな努力をしてきたのか、という描写がとても興味深い。
もちろんあれだけのスーパースターには、そう簡単になれると思っていなかったし、
努力をしてきているということはわかっていたが、これほどまでとは思っていなかった。
ジャニーズの中でも特に、90年代以降にデビューしたタレントたちの、
隠れた努力や思い、一人ひとりが信条にしている哲学について具体的に書かれているのがとても楽しい。
さらに、何よりいいのは、それがとてもポジティブに描かれていることだ。
この本は、ありがちな暴露本ではなく、純粋にジャニーズを愛している人が、
華やかに当たるスポットライトの影にある1人の人間像を描いているのだ。
そんな中で、改めて驚いたのは、ジャニー喜多川氏がジャニーズに入れるかどうかの、選択基準だ。
それは、「人間性」と「やる気」だということ。
容姿や、将来的な才能、秘めたタレント性ではなく、人として、ということと、頑張れるか、の2つとのこと。
この判断基準は、企業における判断基準に共通するものがある。
考えてみれば、仕事のスキルややり方は入社後のトレーニングで向上できるが、
人間性とやる気は入社後に簡単に変えられるものではない。
特に「自社の理念」「目指すところ」「ミッション」を理解し、共感する人材でなければ、自分の意思でスキルを身につけることはできないし、長続きしない。
Will・Skillマトリックスで考えると、Willが高いかどうか、で決めているということだろう。
最近言われている「ジョブ型雇用」はもちろんジョブすなわち仕事ができる人を採用する、とか、仕事に必要なスキルを持っている人を採用する、という側面もあるかもしれない。しかし、私の外資系企業での経験では、ジョブ型雇用とは「会社にとって必要なジョブ(この場合は仕事というよりもやるべきこと)がある。そのジョブに適した人を採用する、という意味なので、必ずしもスキルだけではない、ということを覚えておきたいところだ。
その意味でも、この本は人事や採用担当者、スタートアップ企業で人材を確保したい人たちにもおすすめできる1冊だ。
マーケティングアイズ株式会社 代表取締役
関西学院大学 専門職大学院 経営戦略研究科 教授
理央 周(りおう めぐる)
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