Marketing i's [マーケティングアイズ]

マーケティングはサイエンス(科学)に基づいたアート(芸術)である

法人営業のマーケティングとは?訪問回数を増やせば売上金額は上がるのか?:売れない問題大全集

法人営業にマーケティングは必要なのでしょうか?

あなたはこんなことを夢に見たことはありませんか?

朝、出社して自席に着き、パソコンを立ち上げると、
お客様から購入希望のメールが大量に届いていて、
「もう受注処理が間に合わない!」と、
文字通り嬉しい悲鳴をあげる。

あるいは、なんとなく苦手にしている取引先を訪問すると、
取引先の購買部長がニコニコしながら待っていて、
「よく来てくれたね。待っていたよ。
ハンコを押すから、早く契約書を出してよ」
と言ってくれる......。

「契約してください!」と売り込まなくても、
お客様に買ってもらえる。

月々のノルマに苦しめられることもない。

営業担当者にとって、
これこそが夢と考える人は多いと思います。

しかし、ここで私たちは発想を転換する必要があります。
この「夢」を、実現すべき理想としなければならないのです。

私は、これまで多くの企業でマーケティング・マネジャーとして、
セールスを担当する方々と仕事をしてきました。
私自身もセールスの仕事に直接携わったこともあります。

そして今は、現役のコンサルタント、研修講師、大学教授として、
様々な業種の企業の、数多くの法人営業の組織に、
コンサルティング、社員研修、レクチャーを提供しています。

売りの現場で起こる、様々な「売れない」問題を、
マーケティングの知恵と工夫で解決してきたのです。

これらの経験から分かったのは、
いつも成果を出せる、優秀だな、
という印象を受けたセールスの方々は、
「買ってください」を連呼するような、
無理な「売り込み」をしないということです。

つまり、顧客が自発的に買いたくなるような状況、
仕組みづくり、アプローチをいつも考えているのです。

このブログでは、営業担当者、マーケティング実務担当者、
企画に携わる人たち、事業主や経営者が必ずぶち当たる、
「売れない」という問題について、

  • 売れなかった問題の事例
  • 理想の姿
  • 理想の姿に向かうための理由の深掘り

の3つを考えていきます。
それでは進めていきましょう!

今回取り上げる問題は、
「訪問数を増やしたけれど、売り上げが上がらない」
です。

これは、法人営業、BtoBの営業にはついて回る問題ですよね。

私が支援をさせていただいた、あるメーカーグループの卸売部門A社の事例をお話しします。

A社は、伝統ある製造業が親会社で、営業員もみなさんとても誇りを持って落ち着いて働いています。

約7年前、この会社の社長さんから、
「理央さん、うちの会社の営業研修をお願いします」と依頼されて、
まずは、毎月の営業会議に参加させていただきました。

営業会議なので、そこではまず毎月の営業成績の報告から入ります。
そうなると、目標を達成できなかった方々は口をそろえて、
「来月は、あと10件多く得意先を回り、目標を必達します」
「しっかりと、汗をかきます」
といった報告が大半でした。

しかし、この場合の理想の姿は、
月末には、いつも目標の数字が達成できて、
「毎月の営業会議に出るのが楽しみです」
となることではありませんか?

このギャップは、どこから生まれてくるのでしょうか?
目標の金額、すなわちノルマを達成するには、
得意先への訪問回数を増やせばいい、
と、思い込んでいませんか?

確かに、それは半分あたり、半分不正解です。

本当に訪問回数を増やすだけで、
売り上げ金額を上げることができるのか、
ということについて、もう少し深掘りをしていきましょう。

営業の売り上げ金額を、昔中学で習った、
「因数分解」をしてみましょう。

売り上げ金額の方程式は、

訪問回数 X 受注の確率 X 顧客単価 = 売り上げ金額

ですから、確かに訪問回数を上げれば、他の2つが同じ数でも、
売り上げ金額は上がる計算になりますよね。

ということは、逆に訪問回数をあげなくても、
受注の確率または、顧客単価を上げることができれば、
売り上げ金額を上げることはできます。

では、それぞれをどうやって上げればいいのでしょうか?

受注の確率は、
「正しいお客様に絞って、
優先して訪問すること」
で上げることができますよね。

顧客単価は、
「ライバルより優位に立つことで、
値引きに頼らなくても売れるようにすること」
「お客様にあなたの会社の価値を分かってもらうことで、
高額な製品やサービスを購入してもらうこと」
で、こちらも上げることができるのです。

訪問回数は、行動の量ですが、
前者は「ターゲティング」 、後者は「差別化」、
すなわち、マーケティングの考え方で生み出すことができるのです。

法人営業のためのマーケティングについては、以下のサイトでも詳しく解説していますので参考にしてください。
→ 売れない問題解決ドリル

あなたもぜひ、明日からやってみてください。

執筆者

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役 理央 周(りおう めぐる)
石油会社、家電メーカー、大型車両メーカーなどに、新規事業立ち上げ・ブランド構築のコンサルティングと、法人営業にマーケティングを注入する社員研修を提供。 2013年より2023年まで、関西学院大学 経営戦略研究科で教授を務める。
著書は「売れない問題 解決の公式」(日本経済新聞出版)など国内外で23冊。米国、台湾、香港など海外でも講演。テレビ、ラジオの出演や新聞・雑誌への寄稿も多数。YouTubeでも最新のマーケティング情報を発信中。 本名 児玉洋典 

BtoBや法人営業のマーケティングについてついて話を聞いてみたい、今の営業スタイルを変えたい、新しいビジネスを軌道に乗せたい、など、
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