米フェイスブックは5月19日、電子商取引〜ネット通販などいわゆるECの機能である、「ショップス(Shops)」を強化すると発表しました。フェイスブックの傘下の、インスタグラムでもこの機能を使うことができるようになります。
ちなみに、これまでもFacebookやインスタグラムでも、簡単なECの機能があり、ユーザーは、投稿された記事や広告から物を買うことはできました。
このショップスはさらに、その上をいく機能と仕組みがあるため、このショップスという機能を使うと、これまでよりも、個人事業主や中小企業が手軽にネット通販を始められるようになりそうです。
具体的には、ツイートや記事、広告にあるリンクから買ってもらう、ということではなく、Facebookやインスタグラムの中に「店舗」を開くことができる、ということになります。
ウォールストリートジャーナルによると、フェイスブックは、「ショピファイ」など他のネット通販サイトを利用する事業者に、そうしたサイトへのリンクを認めるとのことです。これによって、フェイスブックの関連アプリ全体で現在23億6000万人を数えるデイリーユーザー基盤を活用できる、とのことです。
もうこうなると、いくつかの国の人口を足したくらいの大きな経済圏、といった感じです。
フェイスブックがEC機能を強化することで、消費者がSNSのような交流サイトなどで商品を選んで購入できるようになるのですが、新型コロナウイルス拡大防止の機運によって、ネット通販を利用する機会が増えていることが、この事業拡大につながったのでしょう。
これまで、SNSは友達同士でのコミュニケーションや、気軽な投稿を楽しむなど、
つながりや共感があって、いいねを押したり、コメントを返したり、
リツイートやシェアをして拡散したり、という具合に使われていました。
その意味で、どちらかといえばSNSは「商売」とは無縁なところにあったので、売り込みをするのには適さないメディアというイメージでした。Earned mediaに分類されることが多いのもこのような背景からでしょう。
ところが、先日紹介したフェイスブックのコロナ危機を乗り越えるグループのように、
共感して買うのならいいよね、という雰囲気が出てきたのも事実です。
実際、私の先輩で旅行会社の経営者は、「今は旅行できないけれど、私の友人の撮った素敵な海外の写真を見て、海外旅行に行けるようになった時を夢見てください」などと、その方の写真を定期的に投稿していました。こうなると、旅行に行けるようになったら、その旅行会社から行きたくなります。
その時に、今まではフェイスブックの投稿に自社のリンクを貼り、そこをクリックしてもらい自社サイトに行ってもらうという流れでしたが、ショップスができると、1クリックでできるようになるのです。
このような形で、共感から購入、という流れが1つのSNSの上でできる「利便性」というところが、ショップスの特徴でしょう。
また、店舗を出す事業者が広告を出すでしょうから、フェイスブックとしての新しい収益源になりますよね。
SNSの新しい形が見えてきそうで、とても楽しみです。
マーケティング プロデューサー
理央 周(りおう めぐる)
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