「5分会議」、会議の手法を効率化し仕事の成果を上げる研修でも有名な沖本るり子さんの新刊。
この本でも、前半では5分会議の重要性、やることの意味、なぜ5分をやると目的が達成でき、
社員の育成つにながるのかということが書かれている。
私たちは忘れがちだが、「会議」は単発の"会議"というだけではなく、連続した仕事の中での1つのプロセスに過ぎない。それを事前準備から会議後まで数段階に分けて図解されているのがとてもわかりやすい。(24ページ)
高速会議ってなに?それだけで十分なの?という考えを持つ人もいるだろうが、
もちろん、ただ単に5分で会議を終わらせるという意味ではなく、
なぜ会議を高速化すべきなのか、
そうなると、業務やチームはどうなるのか?がわかるように説明されている。
このように、沖本氏の著書には会議の進め方、という手法論だけではなく、
「仕事にとって会議はなぜ必要なのか?」
「目的を達成できる会議のあり方とは何か?」
「会議を通してチームをマネジメントできるか?」
といった本質的なところをカバーしている点がいい。
手法だけ真似してもできないからだ。
また、この本の良さは自社でやってみることができる、
という再現性の高さにある。
たとえば、5分会議をやる時に、「5つの工夫」をすることで、成果を出せるようにしていくエッセンスがあるとのこと。それらは、視点、見える化、参加者全員で意見を出す、立場が関係なくなる、身内で揉めないこと。
さらに、人が育たない会議のNGパターンがいくつか載っている。例えば、
- いつも同じ人が仕切るとそれは依存を生み出す。
- 追加の割に時間がかかっている、とか、
- 1人の人だけが増えている、
- 議題から外れてしまう
これらをチェックシートとして自社の会議の状況に当てはめてみるのも、この本の使い方だろう。
以前、大手家電メーカーのマーケティングマネージャーが「私の仕事はの半分以上は会議なんです」と言っていた。これはまさに、典型的な大企業病。
中小企業や、ベンチャー企業は、ヒト、モノ、カネ、時間、情報、という経営資源に余裕がない。なので、1人の社員が生産性を上げることで、売り上げと利益に貢献することができる幅がとても広くなる。そのために、効率化できるものは効率化し、本来やらなければいけない成果を出す仕事、将来につなげる仕事、顧客のためになる仕事に、最大限の知恵を絞るために時間を投下しなければいけない。
私は常々、会議はものごとを決定するところであり、議論や討論は会議に臨む前に徹底的にやり、会議は「やるかやらないか」「GOかNO GOか」を決める場所であると考えている。
経営は意思決定の連続であり、会議はその重要なツールだ。
その意味でも、この著作はとても参考になる。
マーケティング プロデューサー
理央 周(りおう めぐる)
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