「アップル、AirBnB、UBERなど、イノベーションを起こす人材には共通点がある」という帯に惹かれ、
また、ここのところ依頼の多い「人材教育」「人材育成」に生かそうと思ったので読んでみた。
さらに、なぜアートやデザインが重要なのか、という点も気になるところだ。
第1章に、このSTEAM人材には3つの顔があると著者たちは言う。
それは、人間を大切にするヒューマニスト、イノベーター、デザイナーを併せ持つ人材が、
究極のSTEAM人材の本質だとのこと。
論理的思考の力であるロジカルシンキングや、批判的思考をするクリティカルシンキングと、
デザイン思考とこれらの違いは、論理力と思考力との区別によるものだと著者は言う。
著者は、デザイン思考は、ものづくりの思考の中で、なぜ作るのかというWHY?問いかけから始まり、何を作るのかWHATを発見し、どう作るのかというハウを模索するプロセスだと言うなかで、この辺が、論理よりも直感だ、ということの元になっているのだろう。
確かに私の経験で考えてみるとは、成果を出すことができる優れた経営者には、
この直感によるデザイン思考が強い傾向があると感じてきた。
なので、ロジカルシンキングができる人材に、直感力を足すことができれば強い人材になる、と考えてきたのだ。
一方で、デザイン思考のように「内なる」ものであり、目に見えてこないアプローチをどのようにして人材育成に反映していくのかという点が難しいと感じてきた。直感を単純化し、フレームワーク化していくことができるのだろうか、という疑問だ。
その点に関しては、第4章に書かれているロジカルシンキングとデザイン思考の比較が参考にできた。
ここにある各要素をベースに、まずは自分自身を棚卸しさせ、不足分を補充するというやり方があるだろう。
さらに、第3章に書かれている「イノベーターのマインドセット」にある、3つのカテゴリーが参考になった。
詳細は省くが、
- 型にはまらない
- ひとまずやってみる
- 失敗して前進する
という内容とプロセスは、意外と今のビジネス・パーソンが意識していないアプローチだ。
これを第4章の、アハ体験、エンパシーマップなどと組みわせて行けば良いということに気づかされた。
これまで、自社の課題だった人材育成にデザイン思考を取り入れていくことの大きな助けになった1冊になった。
マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)
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