Marketing i's [マーケティングアイズ]

マーケティングはサイエンス(科学)に基づいたアート(芸術)である

良い値決め悪い値決め きちんと儲けるためのプライシング戦略 田中靖浩氏著作

値決めは経営、という稲盛氏の言葉にもあるように、値決めに関しては、私もマーケターとして細心の注意を払ってきた。

また、企業の経営者へのコンサルティング、事業本部長クラスの実務担当者へのマーケティング研修する際に感じるのが、値決めに対する理解度のばらつきだ。成果を出している企業では多くの場合経験値で値決めがされている。あながち間違いではないが、より精度高い値決めをする必要性を感じてきたのだ。ということもあって、私がレクチャーする場合は常に、値決めに関して最も力を込めて説明してきた。

この本は、公認会計士である田中靖浩氏が書いていることもあり、管理会計的な要素からとてもわかりやすく書かれているのが特徴だ。

まさに、第1章にある「頑張っても儲からない」という多くの経営者が持つ悩みは、

売り上げ−コスト=利益

というPL思考から来ていると私も感じてきた。

もちろん、損益に関して最新の注意を払う事は企業経営者にとって、最大限に力を入れるべきポイントだ。しかし、価格設定に関しては、この本で書かれているように、自社のビジネスに対する「哲学」すなわち経営理念に基づく考え方が必要だし、それに伴う手法の理解も必要だ。

この本で第5章に書かれている「顧客満足を高める価格を設定」することによるプライスの作り方など、参考にできる点が多い。値決めは自社のためだけでなく、価格を上げるだけでもなく、複数の儲けを組み合わせるという、「プライシングミックス」の考え方がその点を示している。

この本では、良い値決めの仕方と、悪い値決めの仕方を対比させながら書かれているため、今自社がやっている値決めがいいか悪いかを判断できるし、さらに改善しようと思った場合にどのように問題点洗い出し、より良いプライシングを決められることの参考になる。

その意味でも、とても役に立つ再現性の高い一冊だ。

マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)


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