Marketing i's [マーケティングアイズ]

マーケティングはサイエンス(科学)に基づいたアート(芸術)である

値引きでなく選ばれる飲食店 本当の差別化とは 名古屋 ワインバー アローザのチーズ会

クライアントさんにお連れいただき、よく行く東桜にあるワインバーの「アローザ」さん。「チーズ会」に、久しぶりに参加した。

年に数回開催するとのことで、ボクも2回目。
毎回、チーズソムリエの方が厳選した、美味しくて珍しいチーズを、ワインと軽食とともにいただく。

このチーズ会の良さはこのソムリエの方が、懇切丁寧にチーズを説明してくれるところにある。

会は、生ハム、サラミとジャムの前菜から始まる。

お酒の方は、スパークリングワインをいただきながら、今日出てくる、まだ塊になっている生チーズを順番に説明してくれる。

味だけではなく、それぞれのチーズの由来や作られ方、現地での食べ方、どのワインと合うかなど、プロならではの視点で解説してくれる。このように、整理整頓して教えてくれるので、私たちも「ふむふむ」と聴きながら、楽しむことができる。

時間が午後7時からなので、間に軽く食事を挟みながら、会は進む。もちろんこのサーモンやハムなんかも、美味しいし、サイズもちょうどいい。チーズを楽しむ会が大前提なので、その辺の演出も僕たちには嬉しい。

チーズをいただくときは、このようにスライスして、パンと出してくれたり、

アイルランドの塩も出してくれた。この塩が絶品で、ほのかに香りがついているので、パンにちょっと載せても美味しくいただける。

締めは、かなり甘いスイーツと一緒に刻んでクリーム状にしてくれたものを、やはりパンにつけていただく。チーズと混ぜたこちらは、甘すぎずちょうどいいデザートになる。これもワインにぴったりマッチするのだ。

あっという間の3時間だった。

私は美味しいものが大好きだ。自分でも作るし、何より家族や友人たちとの食事は、楽しく元気になることができる。

一方で、常々、飲食店の経営は難しいと感じる。お客さんたちは、美味しいものをよく知っている。そもそも、美味しいものをしっかりと作ることは難しい。また、目玉メニューがないと、なかなか覚えてもらえない。流行のスピードも速いし、価格破壊もある。

ニューヨークなどで食事をすると、日本の飲食店の価格は、破壊的に「安い」と感じる。向こうでは、ちょっとしたカフェでもランチを一人1000円では食べられない。チップも必要だし、そもそもが高い。と感じていたのだが、実は逆で「日本の飲食店が安すぎる」のだと思うようになった。

では、単に値上げをすればいいのか、というとそういう問題ではない。消費者は価格に敏感だし、周りの飲食店と比べられてしまう。

まずすべきは、美味しいこと。当たり前のようだが、顧客は飲食店に「美味しくて当たり前」だと思って来店する。そこはずしてはいけない。私のお気に入りの飲食店のシェフたちは、ここに全力を注いでいる。

同じように大事なことは「居心地がいい」こと。顧客は美味しいものを食べにくるのだが、本当に欲しいのは「楽しいひととき」を過ごすこと。その場所、そのシチュエーションでの思い出に残る、人に話したくなるような体験が欲しいのだ。そしてそれこそが、リピートにつながる。

やはり私のお気に入りのオーナーシェフたちは、味を磨いて当たり前。さらに、食事の出し方、内装、新メニュー、このようなイベントを企画し、楽しんでもらうことに力を抜かない。アローザでのこのチーズ会も1つの体験型、コト消費のワインバーの楽しみ方を提供してくれる。

顧客は、体験を通してリピートする。製品やサービスは忘れられやすいが、体験は思い出に残るからだ。飲食店でなくても、どの業界にも通じることだ。

マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)


*ブログの定期購読はこちらから → follow 
us in feedly *ブックマークはこちら→  
このエントリーをはてなブックマークに追加

最新刊「売り上げがぐいぐい伸びるお客様の動かし方」~顧客視点で売り上げアップ!

新規事業・ビジネスモデル開発を目指す経 営者の方はこちら:→マーケティング アイズ

まぐまぐ大賞2016年ビジネス部門で5位受賞!売れる理由を学ぶメルマガ

⇒ では、ヒット商品に共通する「仕掛け」はマーケ ティングに あり!という記事を毎週発刊しています。

関連記事はこちらです:↓