私は評伝、自伝というカテゴリーはほとんど読まないが、各界の経営者の方々が推薦しているので読んでみた。
巨大グループの創業者、とある通り、岡田屋、ジャスコとイオングループをゼロから創り上げた小嶋氏のビジネス哲学が見事に描かれていた。
以下、私が感銘した点を抜粋すると、
- 終戦直後、岡田屋の商品券をお持ちの方には現金をお渡ししますというチラシを配った
- 私たちのショッピングセンターは、必ずその地域の人たちとご一緒するということが原則
- 人事は人間を知ることから始まる。人間を知る事は人間を愛することから始まる。愛する事は理解することである。
- (ダーウィンの言葉を引用して)学問で成功するのは頭の良し悪しよりも、むしろ心的態度の問題であるとしている。心的態度とは、真面目、正直、勤勉とは異なる、ある種の知識と技術と言う。
- 成功した実業家に共通している事は、自分の事業計画や目標が成功している状態をはっきりと具体的に見ること
- 危機に学んだこととして、第一に情報の大切さ。第二に知った事は実行すること。そして第3に危機に備えて準備しておくこと
- 量をこなすと質に変化する
- イノベーターの芽を摘まない
- 同じ情報の共有、同じ目的の共有、そして同じ結果の共有があってこそ組織を活性化できる
- 欲しい時には人を採らない。ことある時に備えよ
- 安易な妥協が良い結果を生み出すことは決してない
これらの経営哲学は、もちろん小嶋氏が実践されてきたことなので、各界の経営者たちが共感し、実践したいと考えることは当然だ。
しかし、企業の実務担当者、リーダーたちは、これらの経営哲学を、自分ごととして考えるべきだと私は思う。私自身、会社員時代は自分勝手で、「会社は何もしてくれない」「自分が成果を出せばそれでいい」と考えていたが、一流の経営者は、常にこのようなことを考え、実践の果てにこの境地にたどり着くのだ、ということをマネージャーたちも知るべきだ。
経営者にならなくとも、損益に責任を持ち、仕事を遂行する、という点から考えるとリーダーたちは経営者マインドを持って仕事にあたるべき。その意味でも、リーダー職のマネージャーたちにオススメの1冊だ。
マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)
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