ビジネスは成長ではない
人生はお金ではない
人間の寿命が延び100年生きる時代になったときに、これまでと同じ考え方でキャリアを見ないほうがいいし、人生を設計しない方が良いと言う観点に立ったとても面白い冊だった。
時間術の本を書いているからか、私にも、最近働き方改革についての講演依頼が多いので参考になるかと思って読んでみた。
まず、この本の特徴は100年の寿命に伸びるということになると、それだけ私たちが生きていく時間も増えるわけなので、今までのように仕事と呼ぶ要請と言う2つのステージではなく、仕事1、仕事2、第3の最後のステージ、と3つのステージで分ける、というような変化が当たり前の時代になるというのは大前提だ。
したがって、1番この本の言いたいことを、一言で言い表せているのは、レクリエーションからリ・クリエーションと言うことであろう。これまでと比べ、定年になったら仕事は終わり、それから余暇の時代といったようなキャリアの考え方、またはプライベートの考え方ではなく、人生の3つのステージでどういう風に生きるのか、それを仕事、お金、時間といったような切り口で考えている点が新しく面白いのだ。
そして、各所に書かれている視点もユニークだ。第4章の見えない資産の中で、お金に換算できない無形の資産の価値とは何かという考え方が出てくる。無形資産とは、1つは生産性資産、1つは活力資産、1つは変身資産の3つとのこと。このように体系化して新しい試み、そして私たちが新しくやること、を非常に具体的に、しかもリアルに描いている点が、これからの人生、そしてキャリア形成の参考になる。
ここ数年、働き方改革が叫ばれている中で、多くの問題点は企業側と働く人の側とのギャップにあると私は思っている。
中でも、仕事において成果を計測する際には、アウトプットすなわち計測可能な達成したことという認識の人がほとんどである。しかし、まず1つは大きな視点で俯瞰しなければその生産性が正しいかどうかがわからないという点を考慮しなければならない。さらに、数値的な生産性だけではなく、質的な創造性につながる生産性も考えなければならない。1時間に1つでも多くのケーキを作る、という数量的な生産性だけでなく、売れるケーキをどう作るかといったような知恵を絞る創造的で質的な生産性にも目を向けるべきであろう。クリエイティビティが向上していかない限り、縮小する市場の中で生き残ることは難しい。
そんな中で、この本は私たちがどうやって創造性豊かな感性豊かな仕事ができるかについて、1つの道しるべになってくれる。
その意味でも、とても有益な一冊だった。
章立てはこちら:
序章 100年ライフ
第1章 長い将来
第2章 過去の資金計画
第3章 雇用の未来
第4章 見えない資産
第5章 新しいシナリオ
第6章 新しいステージ
第7章 新しいお金の考え方
第8章 新しい時間の使い方
第9章 未来の人間関係
終章 変革の課題
マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)
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