電通のコピーライターの方が書いた、「言葉にできるは武器になる」読了。
まずなるほど、と思ったのは、
「言葉はコミュニケーションの道具、だけではない」
という点。
考えがはっきりしていなければ、言葉は浮かんでこない、
したがって、いいコピーは生まれない。
と著者は言う。
マーケティングを生業にしている私にとって、
キャッチコピーやボディーコピーをひねり出すことは、いつも大変な労力を伴う。
自社イベント用に製作する集客のチラシも、
クライアントが作るホームページのキャッチコピーも、然りだ。
マーケティングはそもそも、「人を動かす」ことを目的とする。
言葉はその大きな動機づけになり、
ターゲットの行動を変容し、「買いたく」なる。
その言葉をひねり出す前段階で、すべきことがある、
と著者は言っているのだ。
当たり前のようでできていない、
ここでも戦略が必要なのだと実感した。
では具体的にどうすればよいか、というと、
自分の中に「思考サイクル」をインストールすればよい、と言っている。
それは、
- 思考を漠然としたものではなく、内なる言葉としてとらえる
- 内なる言葉を、俯瞰した目線で観察する
- そして、考えを進めることに集中し、内なる言葉の解像度を上げる
という3つのステップとのこと。
(第2章より)
さらに、この「内なる言葉」に意識を向け続ける習慣をつけることから始めるべきとも言っている。
ここから具体的に、何をどうやってすればよいかが書かれている。
その説明が、事例を基にわかりやすく書かれているのが、
実際に仕事に使える、という意味において再現性が高い。
たとえば、A4の紙が武器になる、というパートでは、
ただ頭に浮かんだアイディアの数々は、
机の上に散らばった書類と同じ。
「考えたつもり」になっているだけで、
書類の質とは関係が無い、
と断言している。
したがって、この書きだそうとする習慣を付ければよいのだ。
このステップをT字型思考で進めていく。
その具体的な手法も、4章以降に説明されている。
仕事の多くは、異なる価値観を持つ相手と、共通理解を持ち、
お互いの主張に近づけていくことを目的とする。
その、媒介手段として、「言葉」が必須になる。
これまで軽視していたつもりはないが、
言葉をどう使えば効果的な仕事ができるのか、
非常に参考になった。
すべてのビジネス・パーソンにとって必読の1冊である。
マーケティング コンサルタント 理央 周(りおう めぐる)
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