Marketing i's [マーケティングアイズ]

マーケティングはサイエンス(科学)に基づいたアート(芸術)である

顧客ブランド養成講座
収益を好転させるマーケティングとイノベーション

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売れない問題は誰の問題なのか?ポストコロナ禍・AI時代のマーケティングは本来の顧客視点と仮説・検証、仕組み構築


私としては4年ぶりに、22冊目になるビジネス書を書きました。
タイトルは、「売れない問題 解決の公式」
マーケティング、直球の本になります。

ビジネスには「売れない」という問題は付いて回ります。

SaaS、マーケティングオートメーション、新しいSNSなどを、
やってみたけど上手くいかないのは難しく考えすぎているからだったりします。

マーケティングをひとことで言うと、
「自然に売れる仕組みが入った計画を作り実践すること」です。

この"売れる仕組み"を、「売れないという売り手の問題解決」から、
「顧客が買わない」という、
「買い手の問題発見から解決まで」という視点で考えるのが、本書のポイントです。

また、いくら市場が変わり、顧客の行動が変わっても、
売れない問題の解決は至ってシンプルだったりします。

それは、売れる仕組みを考えた時の、3つの戦略、
「何を、誰に、どうやって」のどれが間違っているからなのです。

本書では現場での実務として、
「売れる仕組み」を実践している現場で、
売れないという問題が起こった時に、
「何を、誰に、どうやって」の順で考え、作成した計画を、
検証する時はその逆の、
「どうやって」から「誰に」「何を」の順で検証する手法を紹介していきます。

売り上げがジリジリ落ちてきた、
新しい顧客が獲得できない、
値引きしないと売れない、
という「売れない」という問題を、深掘りしていくと、

市場のつかみが浅い
潜在ニーズを掴めていない
顧客が価値を感じていない

という真の問題にたどり着きます。

主語が「顧客は」になるのです。
したがって、企業が売れないのではなく、
実は顧客が"買わない"のが真の問題なのです。

コロナ禍やウクライナ情勢の変化などで激変した市場では、
企業目線ではなく、顧客視点での問題解決が必要なのです。

複雑になった顧客が抱える問題を正確に把握し、
顧客が持つ問題をどう解決していくのか、に焦点をおくべきなのです。

3つの戦略に置き換えてみると、
新しい顧客ができないは「ニーズがつかみきれていない」→何を
売り上げ減は「市場のつかみが浅い」→誰に
広告が効かないのは「顧客が知らない、見ていない」→どうやって
が間違っているからなのです。

マーケティングの戦略を立てる時は、
Product(売り物)→Target(売り先)→Communication(売り方)の頭文字を取った、
PTCサイクルの一連の流れで考える、と以前書きました。

実際に計画を実施してみて、
売れない問題が出てきた時、多くの場合は顧客に接している販促や広告などの「売り方」が間違っています。

実施後に問題が出た時は、逆にC→T→Pの順で、
PDCAのように検証を繰り返し「どうやって」に反映していくといいのです。

それではここからは、
Communication(売り方)、Target(売り先)、Product(売り物)
の順にみていきましょう。

どうやって=売り方〜宣伝・プロモーションより共感・コミュニケーション

【問題の理由】
ターゲットが、あなたの発信物を見ていない・
表現がターゲットの心に刺さっていない
そもそもその商品・サービスが要らない

【解決ポイント】
ターゲットを動かせているか?:検索、来店、購入、推奨させ
売り逃しがないか:ターゲットが便利に探し、買え、受け取れるか

【事例】本書の中では、以下のような事例を紹介しています。

広告の反応が減ってきた石油会社のカーリース
なぜ、断捨離をすると売れるチラシになるのか?
ホームページにもQRコードをつけるのですか?と訝るデザイナー
かっこいいサイトより「売れる」サイトを目指す
カタログ請求のリンクが追いかける部品メーカーのホームページ
スシローのアプリはなぜ、売り込まないのか?
10歳の子でもわかるアロマサロンの上級コースのネーミング
「レクサス全車種入ります」で稼いだタワーパーキング

誰に=似顔絵が描けるくらいにターゲットの解像度を上げる

広告、販促、営業が効かないのはターゲットがずれているから
【解決ポイント】潜在ニーズを掴む・本音を探る
ターゲットの価値観→行動→メディア組み合わせへ

【事例】
今までの営業スタイルが効かなくなると予見したメーカー社長
追加注文やリピートのメールが続々と来るのが理想なのに
うちの営業はモノしか売らない、売りやすいものから売ると嘆く社長
お客様は2種類いた! 
マーケティングオートメーションを入れて見えてきた攻略法
カスタマーサクセスを定義〜売るのは部品・欲しいのはコスト削減
ソリューション営業は「三河屋さんだ!」
営業部長はライバルの模倣品にも「落ち着け」と指示できる
試食会をやったら違うお客様が来てしまったショコラティエ
郊外の駅の中で売れるアイスクリームは誰が買っているのか?
もったいない、を儲けに変えてSDGsで売り伸ばした引越会社

何を=差別化より独自化、シェアよりブランディング、モノより効用・便益

【解決ポイント】
物の違いでなく「より良いと認識」されることを目指す
潜在ニーズをどれだけ引き出せるかが勝負
ブランド構築の4ステップをチェック:想起されるかRecall→見た目の価値Perceived Value→ターゲットと距離感が近いかAssociation→行動と心の忠誠心を持たれているかRoyalty
カスタマージャーニーとバリューチェーンを組み合わせて棚卸しし、顧客が知らないうちに犠牲にしていることに強みを当てる
中小企業やスタートアップに必要なニッチトップを奪取せよ

【事例】
ハードとソフトをセットで販売してモノ売りからコト売りに脱皮したカーエレクトロニクスメーカー
理央さん、がん保険いらないですよね〜ソニー生命の保険営業マンは保険の説明はせず将来の目標、夢を聞く
新しいお客様が取れないのは独自化ができていないから
卵を売らず卵かけご飯を売る養鶏会社
損して得取れは正しいのか?〜LCCのピーチのサブスクとガチャ
月に3日間しか売らないどら焼きが欲しくなるわけ〜「いまだけ、ここだけ、あなただけ」
じゃらんに頼らないホテルは新聞を揃える〜豊田プレステージホテル

どうやって〜仕組み化
PTCモデルでCTPの順で検証、修正した「売れる仕組み」を作る

SNS時代に求められるオムニチャネル化
なぜアマゾンはホールフーズを買収したのか?
ニューヨークにあるアマゾンロッカーで売り伸ばす
アマゾンブックスでは書籍よりアレクサとKindleを売っていた
探す、買う、受け取るがシームレスに
売り上げがジリ貧になる現状維持を予見し手を打った製薬卸会社
これから伸びる調剤薬局市場にいけ!
営業会議の後に「売り上げ倍増は無理です...」
業界脳から抜け出せない元スーパー営業マンの苦悩
カスタマーサクセス、数字、成功事例の横展開を仕組み化
段ボールの什器は実は理にかなっているジレットモデル
「忙しいからいらないよ」をどう切り返すのか?
「こんなリストを作ったんですけどどうですか?」とコンサルタントに逆提案してきた営業リーダー
自主独立して新しい販路で4倍の売り上げ達成

どう仕事を進めればいいのか?

計画を常にCTPでチェック〜好奇心を持ち顧客感度を上げる
パーパス経営の考え方をあてはめてマーケティング組織を作る
社員全員マーケターに:3つの力で自力走行する組織に
何を:仮説力(チャンスとリスクを発見できる)
誰に:顧客力(ニーズ、インサイトを掴める)
どうやって:動かす力(顧客と自社内を動かせる)

この本は、マーケティング担当者や専門家のための本ではありません。

これからマーケティングを身につけたい人
営業、経理、人事、IT、生産製造などマーケティング部以外の人
売り上げや利益に悩む企業経営者や個人事業主の方

に読んでほしいと思っています。

また、この本の詳しい解説と、ビジネス書著者の皆さんの読後感想などが見られる特設サイトはこちらから:

売れない問題 解決の公式 解説サイト

最新刊「売れない問題 解決の公式」は↓の画像をクリック:

マーケティングアイズ株式会社 代表取締役
関西学院大学 経営戦略研究科 教授

理央 周(りおう めぐる)

奥浜名湖 三ヶ日インター近くの蜂蜜のお店 長坂養蜂場 ビーハッピーBee Happy



奥浜名湖に行った時にふと見つけたこちらのお店。
20台くらい停められそうな駐車場がいっぱいになるほどの人気店のよう。
外観もカッコいいので入ってみた。

ただ単にはちみつを売っている、というのではなく、なんだか楽しそうな雰囲気が外装に出ているのがいい。
入ってみると、案の定若い女性やファミリー層などで混んでいた。



体に良さそうで美味しそうなハチミツが、バラエティ多く売られている。
まず入っていくと、一番最初にあるのが、「試食」できるスペース。
このように、様々な種類のはちみつが小さいスプーンとともにおいてあり、
少しずつ舐めて確かめることができる。
横には小さいクラッカーもあり、つけて食べてみることもできるのだ。

中でも目につくのが、各カテゴリーごと棚ごとにあるこのような「手書きの」POP類。
なんとも温かい感じが伝わってくる。

はちみつがメインの商材なのだが、それ以外にも多くのはちみつ関連の商材がある。
こちらはハンドクリーム。
娘がつけてみたが、香りよくかなり効きそうだ、とのこと。



そのおすすめPOPがこちら。
スタッフの方々が、それぞれのオススメを書いている。
「しっとりしているのにべとつかない」
『朝リップを塗って、夜まで潤ってました」
「肌に優しいから大切な人に送ってあげたい」
といった具合だ。

このように書かれていると、お客さんが見た際に「実際に自分がつけたらどうなるのか?」が想像でき、購買につながる確率が高まる。
ブランドマネジメントでいうところの、「ブランド・アソシエーション〜ブランドと自分との関連性・距離感」が縮まるのだ。

それらのコメントが、各店員さんの写真とともに貼られているのも、このブランドアソシエーションを高める。

こちらのレモンはちみつはヨーグルトに入れるといい、とのオススメが書かれているのも同様の効果を得られる。



同じようにこちらのはちみつドリンクにも、
「お父さん、運転お疲れ様」と書かれていることも、
「帰りの運転前に一本飲んで行こうかな」
という状況を想起させるトリガーになりそうだ。


このカレー肉味噌のコーナーには、
ママ向けにはパンにたっぷり、パパ向けにはソーセージとジャガイモに塗って、お子様向けにはほかほかご飯にと、
「食べ方」が書かれている。

そしてさらに、ごはんに卵、はしといったシチュエーションのディスプレイがされているのも、この商品の使用状況を想起させる秀逸なアイディアだ。

他にも、シチュエーションを想起できるPOPが満載だ。




入り口にはこのように車椅子も貸し出している。
このあたりにも、お客様、地域など関わる多くの人たちに配慮している会社なんだ、と言うことが伝わってくる。

流行る店にはこのような仕掛けがあり、それがマーケティングのセオリーやフレームワークに合致、
すなわち「理にかなっている」のだ。
その好例の店舗だった。

マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)


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ニューヨーク JACK'S WIFE FREDA チェルシーの居心地がいいカフェ リピートする理由

アッパーウエストサイドから、地下鉄でSOHOのホテルに帰ろうとした時に、間違えて14th Street駅で降りてしまった。まあ、少し歩けばいいかなと思ったけれど、その前にちょっと一休み、と思い歩き出した時にふと立ち寄ったのがこちら。JACK'S WIFE FREDA チェルシー。

温かい感じの外観に、オープンな雰囲気がまずは好感度高い。入ってみると夕方だったこともあり、お客さんたちの大半が食事をしていた。

「お茶だけでもいいですか?」と聞いてみると「もちろん!Why not!」と明るく答えてくれる店員さんも感じがいい。少し寒い日だったので、僕はカフェラテをオーダー。上手く撮れていないけど、しっかりとしたラテアートだった。

妻も「なかなか落ち着けるわね。JACK'S WIFE FREDAって言うくらいだからあそこに貼ってあるイラストの方がオーナーなのかしら」とのこと。見てみると、落ち着いたシンプルなモノクロの、上品な女性のイラストが貼られている。下の画像は、このお店のホームページにあるチェルシー店のページ。中央にあるのがそのイラスト。このお店の雰囲気にぴったりなのだ。

JACK'S WIFE FREDA チェルシー

体もあたたまり、チェックをお願いすると、この画像にある「絵葉書」も一緒に持ってきてくれる。このJACK'S WIFE FREDA のイラストが描かれているとても素敵なハガキだ。

支払いを終え、僕たちがこのはがきをもらったことを喜んでいたら、お店の方が「あなたもどうぞ」と、妻にもくれた。このページの一番上にある、赤いハートの形の風船をたくさん引っ張っている自転車の男性のイラスト。その下にはJACK ♡  FREDAとある。

ほんのちょっとしたことだけれど、これはとても嬉しい。

カフェなどの飲食店はとても競争が厳しい。次から次へと新しい業態が生まれるし、それに伴い流行りのメニューも開発せねばならない。ともすると、競合にばかり目がいき、価格競争になりがちな業界とも言える。また、画期的なメニューや斬新さも求められるが、当たり前のことだけれど、開発は容易ではない。

販促の手法も、広告を出す、SNSや食べログなどの口コミサイトに掲載する、SEO対策をするなど、どうしても手法に頼ってしまいがちだ。

もちろんこのJACK'S WIFE FREDA もインスタグラムはやっているし、ホームページで予約が取れるようにしている。

一方で、ホームページにはこの店のネーミングの由来や料理とお店に込めている意味など、ブランドのストーリーをしっかりと語っている。その中でも最も印象深いのが、温かさだろう。そのブランドのもつ最も核になる温かさを表現しているのが、このイラストであり、お勘定の時にさりげなくくれるこのハガキだ。

さらに、僕の妻にももう1枚くれたこと。店のルールとして1人一枚と決めているわけではなく、この店員さんの判断で、旅行者であり嬉しそうにしている僕たちに好意でくれたのだと思われる。社員の一人一人がこのような判断ができるように権限移譲をしていること、そしてそれを実践していることも、このカフェの素晴らしい点だと言える。

お客さんたちは、美味しいものを食べにくる、がゆえに、美味しくて当たり前だ、と感じている。そして、食事に来てお客さんたちが一番欲しいものは、お店での楽しいひと時だ。

美味しい、という大前提を徹底した上でこのような気配りができることで、店を出てからも好感度は続き、覚えてもらえる。そしてそれがリピートにつながるのだ。シンプルなことだが顧客視点、という意味において重要なこと。

またニューヨークに行く際には、立ち寄りたいお店だ。

マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)


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サブスクリプション マーケティング モノが売れない時代の顧客との関わり方 再読

サブスクリプションマーケティング.JPG

ITの浸透により、定額制の継続課金すなわちサブスクリプション課金がそれに伴って一般的になってきた。

この本では、そのサブスクリプションをマーケティングに活用する考え方について、とても明快に書かれているので読んでみた。

まずイントロダクションのところで、サブスクリプションマーケティングは価値の育成(バリューナーチャーリング)であると定義している。  

Part 3の、戦略の実践のところにも明記されているが、サブスクリプションは、決して顧客を食い物にするものでは無い。すなわち、消してダークサイドのマーケティングでは無いのだということに意識しなければならない。

Part1には、アマゾンの事例が書かれている。まさにアマゾンは、価値のあるコンテンツ用意して、顧客のニーズに即座に対応し、顧客に利便性を提供することで、顧客価値を生み出している。サブスクリプションに価値を付加していると著者は言うのだ。

ビジネスの主役は、顧客であるということを考えたときに、とても理にかなっている考え方だ。この、本質をけして外してはいけないというところからスタートしているのが良い。

これ以降、マーケターとして顧客を獲得し維持し、継続して顧客に価値を提供する仕組みを作る際に気をつけなければいけないことが、とても具体的に書かれている。

収益の推移を追いかけないと、レベニューギャップに陥ること、カスタマーローンチの考え方で、新規顧客に価値をわかってもらう手法など、企業の事例を紹介して、とても具体的に書かれているので、自分の仕事に生かすことができる。

考えてみれば、サブスクリプションに限らず、継続して顧客に価値を提供することで長く自社の製品を買ってもらうという事は、今に始まったことではない。ITのおかげで以前よりも、シンプルな形で課金できるようになっただけだ。

顧客に価値を提供し、忠誠心を持ってもらいブランドを構築するということは、基本中の基本だ。

そのことを思い出させてくれる良書だった。

マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)


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ファンベース 佐藤尚之 支持され、愛され、長く売れ続けるために


私もファンである、つなぐ代表、コミニケーションディレクターのサトナオさんこと、佐藤尚之さんの著作。

副題にもある通り、マーケティングが目指すところである、「顧客獲得及び顧客を維持すること」に真っ正面から向き合ったテーマで書かれている。言い方を変えると、まさに顧客から支持され愛されることと同義語だ。わかっていてもなかなか難しいこの顧客維持に関して、このファンベースは、マーケティングの本質を押さえつつも、新しい内容を入れ込み、整理整頓した上でまとめられている。

ここで語られているファンベースは、顧客が、私たちの事業、商品またはサービスのファンになって、共感、愛着、信頼をもたれるにより顧客を維持していけるフレームワークだ。

具体的に、何をすればいいのか、ということに関しては、95ページの図17にとてもわかりやすくまとめられている。

消費者がファンになるステップを、一見さんから、何度か来てくれている人、常連さんそして超常連さんというふうにつながっていくいき、そしてそれぞれ短期単発施策と長期的な戦略などを組み合わせていくことでそのステップ同士をマーケティング的努力で繋げていくということが、しっかりとまとめられている。

そしてそれは、3つのアプローチで推進する。ファンのライフタイムバリューを上げ、それに伴いファンを育てていくという目的で、共感を強くする、愛着を強くする、そして信頼を強くするという3つのステップで進める。

わかっていてもなかなかできないのが、このファンベース的なアプローチだ。ロイヤリティを醸成していく際に、この本に提示されている、具体的な事例とコンセプトを元にすれば、やってみる価値はあるだろう。

愛着を強くする、の部分で語られている接点について、メディアや自社サービスによって顧客に接する時間をより大切にすることが重要だという。有名なビジネス書である、真実の瞬間の事例が出ているが、真実の瞬間そのものとは、サービスをする瞬間ではなく、「顧客が企業の価値を判断する瞬間」だと定義をしている。

売り手目線になってしまうと、「うちの会社は」と主語を自社で物事を考えてしまう。買い手目線、顧客目線であるには、「お客様は」という具合に主語が「お客様」にならなければならない。視点をこのように変化させ、毎日の習慣とする訓練にすると顧客視点になることができてくる。

また、お客様、特に重要顧客に対して必要以上にへりくだる必要は無いという点だ。お金をより多く使ってくれているお客様が重要だ、と捉えるわけではなく、価値交換に置いて対等であると認識すべきだと強く述べている。過剰にへりくだる必要はなく、それだけの価値を提供しているのだと胸を張って誇りを持つべきだと言っている点は企業として全社員が持つべき感覚だろう。

売る、と言うのではなく価値を共感してもらい支持してもらう、というのがこのファンベースにある基本だ。

この視点は、何度も言うようになかなか持つことが難しい。しかしこの本に書かれている事はフレームワークとして再現性高くまとまっている。もちろん、全て真似することはもちろんできないけれども、自社の重要な課題を整理整頓し、いちどトライしてみる、またはテスト的に社内でやってみると価値があるだろう。

ITが進化しSNSが発展し世の中に浸透してきているこの時代に、単にメディアの変化というだけではなく、環境も大きく変わりそれにより生活者の行動や思考も変わっている。そんな中で、マーケティングが顧客に何を提供できるのか、顧客が感じる価値は何なのか、ということを再度改めて考え直させてくれる機会になる1冊だ。

すべてのビジネスパーソンにおススメの一冊だ。


マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)


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記念切手の顧客視点:マーケティングは顧客の悩みを解決すること

マーケティングがすべきことは「顧客の悩みを解決する」こと。

今日、年賀はがきの返事を出すために郵便局に切手を買いに行った。
「52円切手を10枚ください」というと、
郵便局の受付の方が、
「10枚セットの記念切手もこちらに何種類かありますがいかがですか?」
と勧めてくださった。

ビジネス・パートナーたちに出すこともあり、
飾りの無い通常の切手の方が無難だといつも思い、いったんお断りしたところ、
「こちらセットだと、糊がついているので裏側を湿らせたりしなくてもハガキに貼れるんですよ」
と、教えてくださった。

それまで、切手は一枚一枚裏をなめるとかして貼らなければならないと思い込んでいた。
これは便利と、ふみの日用の一番シンプルなデザインの切手を買って、
年賀状に貼って出したのだが、これがとても便利。
なぜ今までなかったのか、不思議なくらいだった。

【マーケティング=顧客視点ですべきこと】

この切手に学ぶことは2点。

まずは、顧客が常々不便だと感じていることを発見し、
即実行すること。

私が物心ついてからずっと切手は裏をなめて貼るもので、
それがなんとなく不快だった。

しかし、「それが当たり前」だと信じ込んでいたのだ。
それは郵便局側も同じことだろう。
それに、もし「顧客の不便を解消するためにシールにしましょう」
という意見が出たとしても、
「コストがかかるから無理だな」
という意見も出るかもしれない。

しかし、シールにすることで、10枚セットが売れる可能性も高まる。

ここで重要なのは「自社に当てはめる」こと。

顧客が不便に感じていることを、いち早く発見し、
改善改良することで、顧客満足にもつながるし、
競合に先んでることもできる。

もう1点は、顧客にそれを「教えてあげる」こと。
私ももしこの局員さんに教えてもらえなかったら、きっとこのセットを買うことはなかった。
お客様は私たちが思っているほど、
「私たちのことを知らない」のだ。

本来、マーケティングコミュニケーションでしなければならないことは、
「お客様が今は知らないけれど、教えてもらったら嬉しいこと」
を伝えること。

つまり、潜在的なニーズを伝えることである。
顕在的なニーズを伝えても、「ふ~ん」で終わってしまう。

今日の郵便局での発見においては、とても有益な体験をすることができた。

マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)


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マーケティングのススメ 21世紀のマーケティングとイノベーション

マーケティングの大家、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院教授フィリップコトラー氏と、
ネスレ日本株式会社社長兼CEOの高岡浩三氏の共著ということで、
興味を持って読んでみた。

なぜ、21世紀のマーケティングが必要なのか という高岡氏の問題認識と、
その方向性の提示からこの本は始まっている。

第1章は、コトラー氏と高岡氏の対談。
21世紀のマーケティングとは何か?
定義をしている。
学者であるコトラー氏と実業を営んでいる高岡氏の、それぞれの視点が面白い。

コトラー氏はことあるごとに、日本企業には「戦略が必要だ」と説いている。
確かに、戦術論には長けているが、こと戦略となると、理解もバラバラだし、
なにより、語られることが無い。

その意味で、文中でも、
一般の人にマーケティングの真意が広く理解されていない。
マーケティングのマーケティングが必要だ
と述べている点に関しては、強く共感するし、
私自身の経営理念に近いことをうれしく感じる。

その前段に、イノベーションの重要性が語られている。
マーケティング活動によって、社会と顧客に価値を提供するためには、
革新的なプロダクトが必須になる。
すなわち、イノベーションである。

そのイノベーションは、「カイゼン」では生まれない、
ビジネス的なブレイクスルーにはならない。
したがって、
顧客の心の「ホット・ボタン」を押すには至らないのだ、
とも言っている。

この章の最後に、これからの日本企業のマーケティングに何が必要なのか、
という質問に対して、
「創造性豊かで、チャレンジ精神旺盛な若者を育てる大学」
の必要性を説いている。

この視点と、将来への展望も素晴らしい。

第2章では、コトラー氏がマーケティングの変遷について語っている。
マーケティング3.0の内容の、ダイジェスト版なのだが、
マーケティング4.0という次のフェイズに移行する、と言っている点が新しい。

メディアや経済環境が複雑になってくると、
消費者の志向も多様化する。
その中で、「ヒトの自己実現欲求」が高くなる、
したがって、多様化するニーズにこたえるのと同時に、
先取りをしていくべきなのだ、
と解釈した。

以降、

第3章 顧客と顧客の問題とは何か?
第4章 イノベーションとリノベーション
第5章 問題解決は問題発見が原点
第6章 コトラー・ビジネス・プログラムの全貌

と続くのだが、この本は一貫して、
ユーザーの問題を解決することがマーケティングのミッションで、
そのためには、「ユーザー視点」になることだと説いている。

これこそ、ドラッカーの言う、セリングとマーケティングの違いで、
マーケティングの定義を、21世紀に当てはめている、
具体的で、実際の仕事に再現できる内容だった。

マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)

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クリスマスプレゼントをくれたタクシー運転手さんに学ぶ顧客中心主義:顧客視点でいることの重要性

クリスマスプレゼント.jpg

「乗っていただいたお客様に、
クリスマス・プレゼント差し上げてるんです。
この中から、お好きなものをどうぞ」
昨日、家族3人で食事した後、近くの駅から乗ったタクシーの運転手さんが、
プレゼントをくれた。

高2の娘は、イヤーマフラーを選んで大喜び。
家に帰ってからも、一日中楽しく過ごせた。

そもそも、タクシー会社のマーケティングは難しいと思っていた。
それは、乗るほうも運転する方も、お互いを選べないから。

どうブランドしていこう、とか、
ではネットを使って、とか、
LINEやアプリを使って再購入を、
等と考えてしまう。

これらはすべて、手法であり戦術論にしか過ぎない、
ということに、この運転手さんに気づかせていただいた。

ボクも、うちの家族も、
これからきっと、この会社さん過去の運転手さんを名指しして、
なにかあったら、うちに迎えに来てもらうだろう。

この運転手さんは、
「タクシーの仕事を始めたばっかりなんです。
ちょっとでも、楽しんで乗っていただければいいなと思って、
自分で買ってきました」
とのことだった。

「お客様が何をすると喜ぶのか?」
を考えることが、そもそもの基本。

選ばれる商売って、きっとこういうことなんだなと実感。
原点に戻ることができた1日でした。

ありがとうございました!

マーケティング コンサル タント 理央 周(りおう めぐる)


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関連記事はこちらです:↓

鱧と松茸のしゃぶしゃぶ 流行る飲食店に必要な美味しさとユニークさ

昨日は、仲間6人と「鱧とマツタケ」のしゃぶしゃぶを。
鱧の季節が終わりに近づき、
逆にマツタケがどんどん旬になってくるこの時期の、
とても新鮮な組みあわせ。

さらに、鱧もマツタケもしゃぶしゃぶで食べるのは初めて。

まずいただいたのはお造り。鱧はやっぱり梅肉和えで。

マツタケと鱧の包み焼。ホイルを開けた瞬間の香りが最高にいい。この時期の日本で食べられる最高のお料理だと思う。

ボク個人的には、とても美味しく感じたのがこちら。鱧の天ぷらと、「巨峰」の天ぷら。葡萄をてんぷらにしていただくのは初めて。甘酸っぱい感じがいい。なかなかこういう発想ができない。

こちらは雑炊。鱧とマツタケの出汁がしっかりと出ていて美味しい。

組み合わせも、料理法も、画期的。
かといって、奇をてらった演出があるわけでもない、
ご夫婦お二人でされている、
10人ちょっとしか入らない、とてもオーソドックスなお店で、
6人とも大満足。

やっぱり料理の基本は「美味しさ」
そこに、自由な発想によるユニークさがあると、
選ばれる店になる。

名古屋市西区浅間 呑ひゃら

マーケティング コンサルタント 理央 周(りおう めぐる)


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鉄板クイジーヌフレンチ Kafkaカフカに誕生日ディナー@四間道

6月はボクと妻の誕生月ということで、娘と3人で合同の誕生日パーティーを、こちらの隠れ家風フレンチレストランでやってきた。

名古屋の僕のお気に入りエリアに、四間道というところがある。その近くの円頓寺商店街近くに、ひっそりと佇むこの店。まず店の看板からしてかっこいいのだ。

まず最初は、こちらの濾過していないビールから。

泡がスッキリ、ビールそのものはライトな感覚で、すっと喉を通る。新しい感覚のビールだ。


すっきりしていてなかなかおいしいのが、「他にはあまりない」という点がまたいい感じだった。こういうドリンクをいっぱい持っておく、というのが非常に大事だ。

コース料理もオススメ、ということらしいが、この日はアラカルトでいろんなものを頼んでみた。

まずはこちらのサラダから。イチジクと、チーズに旬の野菜が乗っかっている。緑のジャムが甘すぎずおいしい。

もう1日の野菜はこちら、これはヤングコーンとアスパラの焼き野菜。
さっと焼いて、塩胡椒しているだけのに見えるがとてもおいしい。特にヤングコーンのヒゲのところがシャキシャキでこんなに美味しく食べられるというのを知ったのは妻も喜んでいた。

カフカの1番の特徴は、鉄板で目の前で焼いてくれるというところにある。だからこの日も、カウンターを取り目の前で焼いているところを見ていた。娘はとても喜んで、動画を撮っていた。ちなみに、シェフはとてもイケメンで妻も娘もお店を出てから話題にしていた。

ボクがとても気に入ったのは、こちらのトリガイ、ホタテ、トマトの焼き野菜。焼きたてをすぐに出してくれるので、シャキシャキ感が半端ではない。

ワインはほとんどがオーガニックのものらしく、今日頼んだフランスの赤ワインも、少し軽めでなかなかイケる。娘も大好きなので前回も頼んだんだけれども、チーズの盛り合わせ4種を頼んだ。

こちらに来たらやはりオムレツ。今日はあっさりとしたプレーンオムレツに、サマートリュフをトッピング。これこそ、鉄板で焼いているところを見るべき一品。あっという間に中身ふわふわのオムレツができるのだ。

娘が大好きということもあって、フォワグラを頼んだ。ボクも妻も好物なので、フレンチに来るとよく頼むのだが、こちらのは表面がカリッと、中がふわふわ。味ももちろんだが、野菜との相性も抜群。

そしてメインはこちらのビーフ。なかなかこちらの店でも入らない、島根 隠岐牛のステーキとのこと。オーナーのおすすめなので、ちょっと奮発して食べてみたが、とろける美味しさ。サシも入っていて柔らかいのだが、肉そのものも味もしっかりする。ボク的には、これがあるときは連絡をしてほしいくらい、美味しい牛肉だった。

そして最後にデザートはこちらの大判焼き。結構頼みすぎてお腹いっぱいだったけれども、スイーツは別腹とのことで、娘も妻も満足していた。

予約したときに、妻と僕の誕生日なんです、と伝えておいたら、「ハッピーバースデー」と書いてくれた。それがとてもうれしい。こういった細かい心遣いがまた来たくなる理由になる。

また来たくなるお店の理由:

  • 自分の料理に愛情がある
  • そのお店だけのメニューがある
  • お客様のことをしっかりと覚えていて予想以上のサービスをする

こちらのカフカさんはその全てが揃っていた。

お店の場所はこちら↓ 地下鉄国際センター駅または名古屋駅が近いです。

*名古屋グルメ参考図書

   

 

マーケティング コンサルタント 理央 周(りおう めぐる)


最新刊 6月中旬発刊予定 
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