Marketing i's [マーケティングアイズ]

マーケティングはサイエンス(科学)に基づいたアート(芸術)である

私の体を鞭打つ言葉:哲学書を自分の仕事と人生に当てはめる

「私の体を鞭打つ言葉」読了。
珍しい「哲学アイドル」であり「哲学ナビゲーター」の原田まりる氏の著作。
かなり面白く読むことができた。

私の体を鞭打つ言葉哲学とは                              

これまで哲学は、中学高校の教科書で少し、社会人になってからはほとんど触れたことがないエリアの学問であり、考え方だった。
哲学とは、「世界・人生の根本原理を追及する学問となる」とのことである(Wikipediaにあった広辞苑からの引用より)。

カント、ニーチェ、ショーペンハウエル、、、
著名な哲学科は多く、実存主義、論理実証主義などの考え方も広く伝わっている。
また、日々の生活の中で「生きるとは」ということに関してぼんやりとは考えてもいる。
しかし、体系的に、また自分のこれまでの、またこれからの生き方について、深く考えてみたことはそれほどない。

この本では、原田氏のこれまでの経験を、ニーチェやカントの考え方に照らし合わせ哲学的に考察している。そしてそれは、自分の生き方や、物事の捉え方、結論の出し方に応用できるものであると気づかせてくれる。

たとえば、「不幸は卒業できる」の章では、学生時代、原田氏がクラスメイトや担任に違和感を抱き続けてきたことを、ニーチェの著作「ツァラトゥストラはこう言った」での考え方に当てはめている。
ニーチェが「世界や人生には、決定的、絶対的な意味はなく、様々な苦悩も繰り返される」、「人生は永劫回帰」であると唱えているため、「超人であれ」と言っているとのこと。つまり、繰り返されるだけの人生の中で、生きていく意味は「自分で見つけるのだ」という意味である。

原田氏は続けて「嘆いていても今は変わらない。自分で切り開くしかない」と解釈し、(ここが重要之なのだが)自分でも実践している。

哲学の考えを仕事や人生に活かすには             

このように著者の体験に、偉大な哲学者たちの考え方を当てはめて書いているため、簡潔に理解できる。ビジネス書の多くは、理論やフレームワークの説明に終始し、例題やケーススタディーを入れ込むことで、再現性を高めようとするアプローチの本が大半である。

しかし、自分の実体験を哲学の考え方に当てはめてるという逆のアプローチでこの本が進むので、「もし自分の場合ならこうだな」と仕事や私生活で再現ができやすいのだ。

ボク自身、この本から学んだことは「周りに違和感を持たれても自分の信じることをすべき」ということと「みんなと同じでなくてもいい」ということ。

マーケティング活動で自社独自の強みを発見する時のアプローチに似ている。

また、原田氏は「哲学の素晴らしさを世の中に広めよう」としているように見受けられた。ボクが「マーケティングの重要さと楽しさ」を伝えていきたいのと同じなので、その点も多いに共感できたのだ。なので、内容が濃い割に、文体も読みやすく、表現も専門的な用語に偏っていない。


年末年始やリラックスしながら普段読まないカテゴリーの本を読みたいときなどにぴったりの、おススメの一冊である。

■この本の使い方■
  1. 原田氏が語る、著名な哲学者の考え方をまずは理解
  2. 次に自分が持っているであろう固定観念や過去の成功体験をいったん捨てる
  3. 原田氏の経験と哲学者の考えをもとに、自分に当てはめる


マーケティング コンサルタント
理央 周


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