「15秒で口説く エレベーターピッチの達人」を読んでみた。
エレベーターピッチ(Elevator Pitch)とは、ベンチャー起業家が、投資家にたまたまエレベーターで出会ったとき、階下に着くまでの1分くらいで自社
や自分のアイディアを売り込むことで、シリコンバレーでもともと使われ始めた造語とのこと。
pitch という単語そのものに「売り込む」という意味を込める時もある。
実際のビジネスにおいては、1分で売り込むかどうかは別として、自分の主張を相手に伝えることが重要なのは言うまでもない。ボク自身「外資系とMBAで学んだ先を読む会話術」でもふれたとおり、まずは相手の注意を惹き、こちら側の意図に近づけるためにも、最初に印象を残すことが重要なのだ。
著者によれば、短期の記憶はほとんど消失してしまう。最初の10秒で90%は消えるとのこと。
したがって、忘れられてしまうことを前提として考えると、こちらの土俵に相手を持ってくることに勤めるべきである。
たとえば、初めて会う相手に自分のことを記憶づける場合や、取引先へのプレゼンの冒頭で伝える際に、このエレベーターピッチの考え方は必要になる。つまり、短時間で自分の言いたいことをコンサイスにまとめて伝える、ということになる。
エレベーターピッチをどう仕事で使うのか?
ボク自身、大学院での講義の毎回の最初は、学生にエレベーターピッチでの自己紹介をさせる。
また、講義でのチームプレゼンにおいても、プレゼンの目的をピッチさせるのだ。
これによって、学生たちが世に出る時に使える「考え方と手法」に慣れさせることで、実践できるようにしていきたいためである。
この本の特長は、その再現性にある。
まず本の内容は、以下のような構成になっている。
エレベーターピッチとは?
エレベーターピッチを使う場面やその際の注意
実践編としての練習問題
中でも、デリバリースキル(=相手に届ける技術)の具体例が挙げられている点が新しく、また使えるポイントになっている。
仕事上のコミュニケーションは相手に伝えてなんぼ、である。
その時に、言葉ではない「非言語コミュニケーション」の部分で何をすべきかを理解できていると、当然ながら伝わる度合いも上がってくる。
著者は「ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣」シリーズの美月あきこ氏なので、CA時代の経験も生かし、その点が細かく具体的に書かれているので、仕事への応用も容易そうだ。その意味でもおススメの1冊である。
- エレベーターピッチの重要性を認識する
- どのような場面でエレベーターピッチを使うかを意識する
- 著者のCAとしての経験を、自分の仕事に当てはめる
マーケティング コンサルタント
理央 周
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